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不死なる怪物

二人は崩れ落ちた実験体から距離をとり、武器を構えたままにらみ据える。

マリーベートがわざわざ魔力を注ぎ込んだ以上、これで終わりとは到底思えなかった。

すると、案の定実験体は二つに裂かれた体をモゾモゾと動かし始めた。

「うえ……」

焦げた切断面から細い、神経なのか血管なのかはわからないがなにか糸のようなものを何本も伸ばし、絡ませあいながら再生していく実験体を見てエアリアは気持ち悪そうに呻き声をあげる。

「なんてバケモンだ……」

リオンもそのあまりの悍しさに眉をひそめる。



そうして二つの肉塊は一つに繋がりあうと、元の実験体として立ち上がりこちらに視線を向ける。

無表情なはずのその顔は心なしか笑っているように見えた。


――ウゥ"オ"オ"オ"オ"!!


ガラスを擦りあわすような不快な叫びをあげると実験体は二人へと飛び掛かる。

その左腕に刃だけの斧を出現させると、それを力任せに振り下ろす。

だが二人とも今度は受け止めずに、二手に別れて躱す。

実験体はすかさず、リオンへは口、エアリアへは右手を向けると双方から魔力を放つ。

それを障壁で受けるも、凄まじい衝撃が二人を襲う。

「「うっ……がぁあああ!!」」

障壁よりも先に、支える腕の方が壊れそうになる程の痛みに二人は叫び声をあげてしまう。だが障壁を少しだけ角度をつけることで何とか魔力の砲撃を受け流すことに成功する。



「こいつ……あの魔族の力でここまで強化されるのか……」

「生命力が異常活性されています。急激な魔力上昇はそれによるものでしょう」

リオンは実験体から迸る魔力を探知して言った。

「再生能力にものを言わせ生命力を魔力に変換しているのか……」

そう、魔力の質が先ほどとほとんど変わらないのにここまでの威力を出せるのは、不死身とも言える異常な生命力を魔力に換え数の暴力で攻めているに他ならなかった。



「マリーベートの奴……」

命を冒涜するようなやり方に、リオンは憎々しげに呟く。

千年前には見せることなかったあの冷たい微笑みを思い出すと、頭の中に黒い憎念が沸き上がって来る。

「おいっ!リオン!!」

叫び声を聞いてハッとなるリオンだったが既に遅かった。

「っ!?」

例え一瞬でもよそ見をする者を実験体が放っておくはずがなかった。

人の胴体程もあろうかという太い尻尾の一撃をまともに受けてしまい、大きく吹き飛ばされる。

「ぎぃああああああ!!!!」

体が千切れそうになるかのような痛みに床をのたうち回る。先ほどの一撃とは比べ物にならない痛みだった。意識を失わないのが不思議と思えるほど、いや失えた方がまだ楽だっただろう。



「はぁ……はぁ……」

回復術式を最大出力で使用することで何とか、よろよろと力なくリオンは立ち上がった。

少しずつ痛みの引いていく体に、一つのことを気が付く

(……もしかして)


――ギィィィン!!


その時、耳をつんざく金属音とともにエアリアの怒声が飛ぶ。

「おいっ!!まだ呆けているつもりか!」

エアリアは再び斬りかかろうとしていた実験体の凶刃を受け止めるとそのまま蹴り飛ばす。

「すみません、奴を倒す方法が分かったんです」


そう言ってリオンは魔道杖を構えるとエアリアの隣に並んだ。

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