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VS.マリーベート part1

夜空を切り取ったかのように暗いローブに全身を包んだマリーベートが怪しく微笑む。

タイトなローブなので彼女が体を動かすたびに、その扇情的なボディラインが艶めかしく強調される。

「実験体を倒したのがあなただったとはねぇ」

ゆったりとした口調はかつてのものと変わりはなかったが、彼女から感じられる魔力の波動はやはり魔族特有の物だった。

「このおかしなバケモノはお前が造ったのか?」

リオンは魔道杖を構えながら尋ねる。

自在術式マルチスキル”の影響を受け、内から沸々と湧き上がる彼女への怒りと殺意を必死に押し殺しながら。



「そうよぉ、あなた達人間が開発した魔道鋼エナメタルと魔族の肉体を融合改造したのよ」

その言葉に、エアリアが驚愕の表情を浮かべる。

「なんだと!? 貴様ら魔族がどうやって魔道鋼エナメタルを入手したんだ!?」

「リオン、あなたこそどうやってこの時代に存在してるのかしらぁ?」

だが、マリーベートは答えない。

まるで、エアリアなど始めからそこにいないかのように振舞っている。

「なっ……」

あまりに自然に無視を決め込むマリーベートにエアリアは言葉を失ってしまう。

「マリーベート、お前いくら何でもそれはひどいぞ……」

リオンもつい毒気を抜かれてしまう。

「あらぁ、なんの話かしらぁ」

あくまで、エアリアのことは存在しないものとして扱うつもりなのかとぼけた口調で方をすくめて見せる。



怒りで拳をワナワナと震わせながらもグッと抑えているのは流石に若くして騎士団長を勤め上げるだけはあった。

「あら、からかい甲斐のない女ねぇ、あなた堅物ってよく言われるでしょう?」

マリーベートの心底人をバカにしたような物言いに、

「ふざけるなああ!!」

流石のエアリアも耐えかね、怒声を上げながら斬りかかった。

だが、

「そういうところが、頭が固いってことよぉ」

その動きは自分の手の中とでも言いたげに、指先から小さな火球を一つ飛ばすマリーベート。



それがエアリアの胸に当たった瞬間、その小ささからは想像もできないほどの大きな爆発を起こし彼女の体を反対方向へ吹き飛ばす。

「ぐぅああああ!?」

その勢いのまま壁を突き破り、廊下へ転がってぐったりと動かなくなってしまう。

「エアリアさん!!」

リオンがすかさず駆け寄ろうとすると、急に目の前にマリーベートの顔が現れつんのめってしまう。

「あらぁ、私を放っておいてどこへいくっ!?」

「どけぇっ!!」

リオンは出現させた剣をマリーベートへと横薙ぎにして彼女を引かせるとそのままエアリアのそばまで行き、容態を確かめる。

体を強く打ち付けてはいるが、息もあったし握った手を握り返して来るので意識もちゃんとしているようだった。

「すぐに回復魔術を使います!」

言って、回復術式を展開し魔道杖をそのまま彼女のそばで固定する。



リオンは、もう一本魔道杖を手に出現させると、魔力とともに怒りを込めた雷の魔術をマリーベートへと放つ。

「マリーベート、僕を怒らせたこと後悔させてやる」

口調こそ穏やかだったが、その胸の内にはマリーベートへの怒りと殺意が渦巻いて、もはやリオン自身でも制御ができるか分からないほどだった。

マリーベートも雷の魔術を防ぎつつ、彼のただならぬ雰囲気にそこまでのどこかとぼけたような顔つきから、魔王直属の大幹部“賢魔将”としての顔つきになる。

「リオン、あなたは一体……」

リオンがその言葉に答えることはなく、蒼い水晶体がはめ込まれた魔道杖を構えると凄まじい冷気がマリーベートへと襲い掛かる。

「くっ……!」

マリーベートへはその冷気を防ぎ、自身も魔道杖を手に出現させそこから熱線を放つ。瑪瑙色のねじくれた形状の杖から放たれた熱線は空中を立体的に動きながら、避けようとするリオンへと向かっていく。

「チッ」

避け切れないと判断したリオンは小さく舌打ちをすると防御術式を展開する。障壁に阻まれた熱線が、壁や床にぶつかりドロドロと溶かしていく。

リオンはそれには構わず、氷の魔術を再び放つ。

今度は冷気ではなく彼女への意趣返しのつもりか氷の光線、とでも言うような魔術だった。

「こ、この力っ……」


氷の光線が眼前に迫る中、マリーベートの瞳には冷気を纏った死神が手招きしているのが見えた気がした。

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