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死の先に

明滅する視界が少しずつ元に戻り、自分が傷を負っていないことにエアリアは気が付いた。

あれだけの魔力の奔流を間近で受けたのに無事だった訳は、

「はあ……はあ……、あとほんの一瞬でも遅ければやられていた……」

言って、リオンが魔術による障壁を解除する。

そう、謎の魔族の魔力が直撃する瞬間、防御術式を展開したため二人はダメージを負うことがなかった。



ふと、周囲へ視線をやるとエアリアはゾッとした。

弾かれた魔力により二人が立っている場所以外が溶解し吹き飛んでいたのだ。

(私だけなら、この溶けた物の一部だった……)

あのほんのわずかな時間の中で、高威力の魔力の放出を防ぎきる障壁を展開できるほどのリオンの魔術技量の高さに息をのむ。


ーーウゥ"オ"オ"オ"オ"!!


謎の魔族は望んだ結果が得られなかったことへの怒りか、こちらを不気味な瞳で睨みながら、ガラスをこすり合わせるような不快な声で叫ぶ。

だが、その開いた口にリオンは素早く魔道杖を突っ込み魔術を発動した。

「させるか! サンダーバスター!」

謎の魔族の口内に直接雷の魔術が放たれ、そのあまりの衝撃に体をガクガクと痙攣させ、左目の光もチカチカと点滅している。

そして、一際大きく体を跳ねさせるとそのまま動かなくなり瞳の光も徐々に暗くなり、再び光を灯すことはなくなった。



「や、やったのか……?」

エアリアが恐る恐るといった具合に尋ねてくる。

よほどトラウマになっているのか、剣先でつついたりしてその生死を入念に確認している。

「内部組織をほとんど破壊したので恐らく大丈夫だと思いますよ」

リオンが苦笑しながら答える。

先ほどの雷の魔術は謎の魔族の全身を駆け巡り、その体組織のほぼ全てを引き裂いた。いくら再生能力があろうとここまでやれば、流石にもう復活出来ないはず。

その証拠に、両の目からは光が失われ再び動き出す気配はない。

「そ、そうか……まあ、一応頭も潰しておこう」

そう言って、エアリアが謎の魔族の頭部、ちょうど脳があるであろう部分に剣を突き立てる。

「えっ?」

拍子抜けするくらい意外なほどあっさりと剣を飲み込む頭部だったが、そこから血や脳髄が流れ出てくることはなかった。

そこまでしても何の反応も示さない当たり完全に死滅したようだった。



「はぁあああ……」

リオンが床に座り込み長いため息をつく。終わるかどうか分からない戦いというのは想像以上に神経をすり減らす。

チラリと視線をエアリアに向けると、彼女も近くのデスクに腰掛け、額の汗を拭っている。

その所作が妙に様になっていて、リオンは思わず彼女に見惚れた。

「ん? どうした、私に何か付いているか?」

エアリアはリオンの視線に気づくと、自分の体をキョロキョロと見ている。

リオンは気恥ずかしくなり視線を逸らして、

「え、あ、いや なんでもないです」

そう言って適当にごまかす。



その時、外の雨が一層強くなり雨粒が窓を叩く音が部屋内にも響き渡る。

「かなり強いな、外は大丈夫だろうか」

エアリアは窓から様子を伺う。

だが、外の心配をする余裕はすぐに消え去った。



「あら、実験体の反応が消えたから来てみたらリオンじゃない」

聞き覚えのある声に振り向くと、部屋の一角に褐色肌の魔女というべき姿の魔族が空中に腰掛けるように浮かんでいた。

「その声、マリーベート……か?」

「久しぶりね……リオン」

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