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闘技大会 part3

ーービビィイイイイイイ!!!!


リオンが、大会参加者の男を場外へと蹴り飛ばしたその時、けたたましい音が空中の光球から鳴り響いた。

「そこまでぇ!! 各ブロック四人の選手が決まったぁあ!!」

十二人の本戦参加者が決定したことを、司会の男が声を大にして叫んでいた。観客たちも興奮収まらぬ様子で歓声を上げている。

リオンが軽く見渡すと、エアリアとカレンも無事に本戦に残ったようだった。残りの一人は、フードを目深にかぶった人物で、男女の区別もつかない者だった。

(魔道士か……?)

てっきり屈強な体躯の人物が勝ち残るものと思っていたので以外に感じた。そのせいか、少々無遠慮な視線を送ってしまっていたらしい。


「……?」

フードの人物が目深にかぶったフードから僅かに覗く、鈍い銀色の瞳でこちらを訝しむような視線を向けてきた。

(やべっ)

絡まれては堪らないと、慌ててリオンは視線を外す。不思議そうにしながらも、フードの人物も向き直った。



「リオン、君も無事だったか!」

「お二人なら大丈夫だと思っていたっスよ」

エアリアとカレンの二人が駆け寄ってきて、全員が予選突破したことを口々に喜んでいる。

その間にも、光球は予選突破した者たちの名を叫んでいる。そのたびに、観客席からは歓声が上がっている。

「さぁ!! ラストブロックの四人だ! まず一人目、ガラン王国から修行の旅をしている、美人騎士エアリス選手だ!! 予選では武器を使っていなかったが、その実力や如何に!!」


ーーウオオオォオ!!!!!


「偽名にしたんですか?」

「流石に、正直に書くわけにはいかないからな」

確かに、ガラン王国の近衛騎士団長が出場したとなれば、大騒ぎになるのは必至だろう。


「続いて二人目! クウド商業連合出身の魔道具発明家、カレン選手だ!! 予選ではその発明品で、危なげながらも勝ち抜いて見せた!! 本戦ではどんな道具が見られるか!!」


ーーワァアアアア!!!


「ウチも偽名を使ったりした方が良かったっスかね?」

「うん? いや、カレンは大丈夫だろう。他のブロックにも魔道具開発者が、自身の発明品を売り込むために参加しているようだったしな」

「なら良かったっス」


「三人目は……おや? ほとんどのプロフィールが伏せられているぞ? 謎の男!! リオン選手だ!! 予選では一切の不安も感じさせない安定した戦い振りを見せてくれたが、本戦でもその実力を発揮できるか!!」


ーーワァアアアア!!!


「リオンさんも、正体バレを防ぐためにっスか?」

「いや、単純に書くことがなかっただけだ」

千年前の男の情報など、書いたところで信じてもらえるはずもない、と判断しリオンはほとんどの項目を白紙で出したのだが、流石の司会振りだった。上手く観客たちの興奮を煽っていた。


「さぁ!! ラストもラスト、予選突破の十二人目!! おっと、この人物も情報が伏せられているぞ! 予選でもいつの間にか相手を場外へと送っていた、リオン選手以上に謎のベールに包まれた、フラム選手だ!! 予選ではその実力の全てが見れるのか!!」


ーーウォオオオオオオオ!!!


「あの人、不思議な雰囲気の人っスね」

「ああ、戦っている時、視界の端に入ったりしていたが、攻撃している様子がなかったな。警戒した方がいいかもしれん」

本戦出場者の紹介も終わり、光球が観客へ向け、本戦の案内を叫び始める。

「さぁ、いよいよ出そろった十二人の精鋭たち!! 本戦ではどのような戦いを見せてくれるのか? みんな、明日の本戦からも目が離せないぜ!!!」


ひょんなことから始まった闘技大会、いよいよ本戦の時が近づいていた。

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