VS.ドラガン part5
折れた刃が地面へ転がり甲高い音を立てる。だが、それと同時に舞うはずだったもの、エアリアとカレンの鮮血は流れることはなかった。
「僕の仲間をやらせるわけにはいかないな」
ギリギリのところでリオンの剣が、ドラガンの雷槍を防ぐ。
攻撃を阻止されたというのに、ドラガンの顔には笑みが浮かんでいた。
「そうでなくてはな」
「このぉっ!! フリーズラッシュ!!」
ドラガンの言葉に斬撃で答え、そのまま連撃を浴びせかける。剣から放たれるは氷結の斬撃。連続して飛来する氷の刃に、ドラガンは炎槍を振り対抗する。
「この程度っ!!」
力任せに粉砕した氷刃が粒子となってキラキラと輝きながら周囲を舞う。その奥でリオンがニヤリと笑っていた。
(……っ!? マズいっ!)
そう思った時には遅かった。舞っていた粒子が、周囲の水分を吸収し一気に再凍結し始める。氷刃を砕いた張本人を巻き込みながら。
「本命はこっちか……」
炎の魔術で全身が凍り付くことだけは防いだが、上手く身動きが取れなくなる。悔しそうに歯噛みしながらリオンを睨みつけるドラガン。
「とりあえず、あなたの魔力はしばらく封印させてもらいます」
囚われの身となったドラガンの魔力に鍵をかけようとリオンが近づく。とにもかくにも協力無比な魔力を野放しにしておくわけにもいかない。封印術式はそこまで得意というわけではないが“自在術式”の補助を使えば何とかなるだろう。
だが、相手が動かないからと、ほんの一瞬でも気を抜いたのが間違いだった。
「リオンッ!!」
エアリアの叫びを聞き、即座にその場から離れた。
その瞬間、どこからか火球が夥しい数で飛来してきた。それは、最初にドラガンの放った火球。リオンが凍り付かせ、氷柱に閉じ込めた炎の魔術だった。ずっと氷柱の中で魔術として保たれていたのだ。
それをドラガンが解き放ったのだ。リオンの気が緩んだこのタイミングを狙って。
しかもリオンはさらにミスを重ねていた。飛んできた火球を避けてしまったのは良くなかった。防ごうと思えば防げるものだった。
ドラガンの狙いはリオンではなかったのだ。
「相手を無力化したと確認するまで気を抜くなと言ったはずだがな」
爆炎の中をドラガンが歩いてくる。槍を振るい、その爆炎を吸収し強力な炎槍を形成しながら。
「ドラガン……」
「残念だったな。仕切り直しだ」
周囲が歪んで見えるほどの熱量を誇る炎槍を構えるドラガン。その熱を払うかのように冷気を纏わせた杖をリオンが構える。
その横ではエアリアがリオンから借りた剣を構え、後ろではカレンが複製されたリュックの調整をしていた。
「お荷物たちもやる気というわけか」
「荷物なんかじゃない。頼もしい仲間だ」
爆熱と豪氷が互いを喰いあうかのように激突した。




