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戦闘!プロトワイバーン&ネーリ

 あのセンサーの赤い目で何時から自分達を見つめていたのだろとクラックは大剣を構えながら疑問に思う。

 鳥のような頭にも見えるがその長い頭部はどう見ても鳥らしさの一欠片も無いのだが銀色のくちばしが電灯の光を浴びて、淡く輝いていた。

 その巨体では到底、この窓枠のサイズでは中には入れないだろうがプロトワイバーンは何処に隠していたのだろうか、その身体の大きさかとは裏腹の細い機械の手を出して無理矢理に窓枠を手でこじ開けるように掴んで拡げたて中に入ってきたのだった。

 機械が呼吸なんてする筈もないのにプロトワイバーンは尖ったくちばしを大きく上げて息を吸うような真似をしてみせた。否、それは真似なんかではなくて本当にプロトワイバーンは息を吸収したのだった。喉の奥に隠された火炎放射機に酸素を蓄えていたのだった。


 「離れるぞッ!!」

 

 クラックが叫んだ時にはプロトワイバーンのくちばしは高温で熱せられて既に夕焼けを如く赤色でバチバチと火の粉が弾けていた。

 そして凍える吹雪とは真逆の灼熱の息が光線銃のように一方向に集中砲火された。

 アーフィとクラックはお互い別方向に避けたが火炎放射はそれを真ん中で区切るようにデスクを溶かし、資料を燃やし、床を焦がした。

 辺りは焦げ臭い臭いで包まれたがクラックに機械銃の銃口が向けられた途端、弾丸が放たれ火薬の臭いも混じった。


 「────ッ!!」


 クラックは必死に大剣のその広い面積で弾丸を弾いて守っていたが振動が腕に来て持ちこたえるだけで精一杯だった。

 絶体絶命という言葉がよく似合う状況だろう。


 「クラック!」


 アーフィはトレンチコートの中から素早くマグナムを手に取ると狙いを定めて機関銃に弾丸を放った。

 狙いどうりの軌道に乗った弾丸は神速の勢いでクラックを撃ち続けている機関銃の一つを完全に撃ち抜きど真ん中に小さな穴を空けるとその程度の損傷でそんな派手な反応をするのかと言いたくなるくらいド派手に爆発したが精々、小さな機関銃がバラバラになる程度の小規模のものだった為、プロトワイバーン自体にはダメージは無かった。


 『- --- -- ---』


 プロトワイバーンは何か信号のような機械音を出すとアーフィに顔を向けてくちばしを大きく空けると火炎放射機を喉の奥から出した。

 クラックは弾丸の豪雨から解放されたが今度はアーフィがマズイと感じ、大剣を滑らして〈破風撃(はふうげき)〉を放とうとしたがプロトワイバーンの鞭のような細長い金属の尻尾の凪ぎ払いを腹部に喰らってしまい吹っ飛ばされてしまう。

 

 「ぐぁっ!?」


 クラックは壁に大の字で激突するが直ぐに体制を立て直し、大剣を片手で軽々しく振るうと柄を握る手に力を今まで以上に籠めて技を〈連斬撃(れんざんげき)〉を放つ。


 「はぁぁッ!」


 一撃目を決め手プロトワイバーンが怯み、アーフィに向けていた火炎放射機をしまわせて二手目に移ろうとした時だった。

 クラックが大剣を右斜め下に振るおうとした瞬間、目の前を弾丸が通り犬のようなモンスターであるドゥールドッグがクラックに噛み付いてきた。

 クラックはドゥールドッグに二手目を撃って首をはねたが奥に見える通路に三体くらいのドゥールドッグの姿が見えた。


 「アーフィ!犬みたいなモンスターに気を付けろ!」


 「クラック!こっちはそれどころじゃないわ!奥に兵士が少なくとも五人はいるわ!」


 アーフィとクラックはお互いにの背中を預けあっていた。アーフィは兵士にマグナムの銃口を向けて、クラックはプロトワイバーンとドゥールドッグに刃を向けた。

 

 「お前がクラック・ジョーハートか……」


 アーフィは引き金に指を掛けて通路の奥を睨む。

 そこにはヘルメットを被ってる兵士とは一風変わった格好した男がいた。

 黒いコートを着ていて、クラックのように金属の分厚い腕輪、そして背中には長い剣を背負っていた若い金髪の男がそこにいた。

 

 「誰だ……」


 クラックは男に背を向けながらも男に質問をした。


 「ふんッ。裏切り者に語る名など持ち合わせてないわ」


 「裏切り者だと?嗤わせるな。裏切ったのは貴様ら軍であろうに」


 クラックの顔は誰も見ることはなかったがアーフィは相当怒った顔をしているんだろうなと予想した。

 

 「その脳は良く出来てるみたいだな。全て自分の良いように思い込めるのだからな」


 金髪の男が挑発した途端だった。クラックが物凄い勢いで後ろへと走って男に斬りかかったのだった。

 男は剣を抜くと、二倍くらい大きさに差がある剣でクラックの大剣を受け止めて男は顔色一つ変えず、他の兵士達が衝撃で飛ばされるなか平然と立っていたのだった。


 「お前の名なんぞ聞きたくもないが生涯、馬鹿にしてやる為に吐かせてやる」


 「フッ……面白い冗談を言うなクラック・ジョーハート。この俺がお前に負けるだと?笑止千万ッ!」


 男は剣がクラックの大剣に押されたままだというのにクラックごとはね除けて剣を振るった。

 その剣は妙に機械的で黒色に塗装されていたが所々の部品が銀色に輝き、剣というにはあまりにも頼りない刃が薄い剣だった。


 「アーフィ、そいつらを任せれるか?」


 「勿論よ。クラックこそあの金髪野郎を頼めるかしら?」


 クラックは爽やかに「任せろ」と返答し、大剣を滑らせて金髪の男へと走っていった。





 

 クラックは滑らせていた大剣を下から金髪の男に向けて斬り上げたが男はまたもや片手で握った剣で手馴れたようにクラックの攻撃をいなした。


 「くっ……」


 「ワンパターンだな」


 男はクラックを煽った後、華麗な動きで剣を振るい連続で攻撃を叩き込んだがクラックは全て大剣で防いだ。

 しかし男の素早く、強烈な突きの攻撃でクラックを押し退けられ、唇を噛みしめながら止まろうと足に力を入れた。

 クラックは下を向いていた視線を男に戻すとさっきまでいた所からは既に消えていて男はクラックの剣を足場として利用し空中から攻撃を仕掛けて来ていた。

 クラックは空中からの攻撃に戸惑うこと無く回転するように避けると男には剣で防がれたが腕にズシンと重みが来る一撃を与えた。


 「クソッ」


 「どうした三流。その程度か?」


 男は地面を勢いよく蹴り飛ばすとクラックに鳥が滑空したような速さで飛んでいき男の連撃をどれも危機一髪で回避するが最後に腹部を蹴られて少しだけ吹っ飛ばされた。


 「──ッ!」


 この男の身体能力はどう考えても異常でいくら持っている剣がクラックの大剣より軽くてもあのスピードは常人が出せるものではなかった。


 「どうしたジョーハート。散々あれだけ威勢を張ってたのに結局その程度か?」


 この男は確実に人を煽るのがクラックは上手いと思っている。これは決して誉めているのではなく貶しているのだった。

 クラックは壁に大剣を滑らせて〈破風撃(はふうげき)〉を壁に放ち徐々に天井に昇っていき男の頭上でそれは弾けた。

 瓦礫が男に降り注ぐが難なく木っ端微塵に斬り裂かれていて刃の先端をクラックに向けたが男の目の前にはクラックは居らず、さっき自分がやってみせた攻撃の真似事をクラックは仕掛けてきた。

 男は剣を水平に振るったがクラックは振るわれた剣を足場にして穴の空いた天井に突っ込んだ。


 「俺を馬鹿にするなら倒してからにしろ。お前ごときに倒される訳ないがな」


 クラックは金属の腕輪で飾り付けた右腕を男の方向に伸ばすと神経を集中させて感覚を研ぎ澄ます。

 一本一本の指先まで力を流し混んで自分の身体の中にある“魔力”を溜めた。

 腕輪に彫られた細い線が緑色に輝き手のひらに風を集める。

 そして集まった風は散弾のように粒となって風の魔法〈エアド〉が放たれる。

 


 「調子に乗りおって……痛み目を見るぞ?」


 男は剣を振るって風の粒をかき消したり、避けれる物は全て避けてリスクを減らしていたが右肩、左足に一つずつ命中してまう。傷は付かなかったが金属バットで叩かれたような痛みが襲った。

 男はクラックを暗闇に似ている黒い目で睨むとまたもや地面を蹴り、穴へと向かったがクラックが大剣を構えて、男が跳んできたところに思い切り刃を振るった。

 男は空中で何とか剣で受けることに成功するが踏ん張れる足場なんて無く、そのまま衝撃で吹っ飛ばされてしまう。

 クラックは追い討ちを掛けるように大剣を滑らし〈破風撃〉を放つ。

 見える斬撃は今までとは違い、縦に長かったのが横に長くなっていて、より広範囲に衝撃が当たるように工夫したものだった。

 またこれも吹っ飛ばされている最中の男には手も足も出ず、追撃を許してしまい直接命中してしまう。


 「くぁッ──!」


 男は転がり続けコートの一部にも見えたその黒い煙は一瞬にして暗闇へと旅立ち吸収されてしまうが男のダメージはこの暗闇も吸収してくれることはなかった。


 「終わりだ。三流」


 クラックは大剣の先端を男に向けて藍色のコートを夜風になびかせていた。

 大剣は青白く輝くライトに照らされて時々、お互いの視線を奪っていた。鮮やかな銀色を男の喉へとだんだん運ばせるとクラックは一つ質問した。


 「最後に名を聞いてやろう」


 すると男は口角を吊り上げた。


 「フッフッフ……アッハッハ!」


 「何が可笑しい」


 クラックは更に大剣を近付けると下から蹴り上げられたかと思えば今度は正面から蹴りを入れられて大剣をガードする。

 男はバックジャンプをすると剣を夜空へと掲げ地面に強く叩きつけた。

 なんと剣はガシャンと音を立てて変形し、何かを入れるスペースが出てきて男はコートのボタンを外して中に手を突っ込むと銀色の薄っぺらい刃状の板を取り出した。

 

 「喜べクラック・ジョーハート。とことん遊んでやる。第二ラウンドのスタートだ」


 男は刃状の板を剣にできた謎のスペースに上から落として入れると

剣を振るい金属の板を入れたスペースを収納した。

 さっきまでの軽そうな剣に変わり無かったが刃はさっきよりも分厚くなっていて二つの刃の先端が淡いライトの青白い光に照らされていた。


 「何が遊びだ。お前程度では遊びにもならん」


 「遊ばれるのはお前だクラック・ジョーハート、精々頑張って着いてくるんだな」


 男は二つの刃のある剣で地面を乱暴に斬りつけて傷痕を付けた。


 「そうだな…冥土の土産に名前を教えてやる。俺の名はネーリ・フォルシフォスだ。よく覚えとくんだな自分を殺した男の名として」


 「覚えてやらんこともない。後悔するんだな、お前は俺に殺されて死んだ後も馬鹿にされるんだからな」


 クラックが大剣を空高く掲げネーリに斬りかかろうと振り落としたその時、ネーリはコートの中から一般的な軍隊用の拳銃を取り出しクラックに二、三発撃ちこんだ。


 「くっ!」


 クラックは大剣で放たれた弾丸を防ぎ、間合いを取った。もしあれ以上近くで放たれたら今度は防げなかったからだ。


 「さて、クラック・ジョーハート。俺は今からお前を殺す。…お前の言いたいことも分かる。確かに軍は市民に隠し、モンスターを創り、そのせいで被害も出ている」


 ネーリは拳銃の銃口をクラックに向けたまま右に移動しクラックはそれとは反対に大剣を構え左に移動し、一定の距離を保っていた。


 「だがな俺にも俺なりの正義がある。それはお前とは違うし今更変えるつもりもない。だからクラック・ジョーハート、いや軍の裏切り者よ、俺の正義が正しいと思い込める為に死んでくれッ!!」


 ネーリは強くコンクリートの地面を蹴るとクラックにその黒色の剣を振るい今再びその獰猛さを露にし襲い掛かった。






 




 




読了ありがとうございました。

やっと魔法の登場なのでここで一つ解説をしたいと思います。


魔法について──魔法の属性は今の時点で五つ見つかっており、炎、水、風、氷、電気となっています。(クラックが使っていたのは風属性)

魔法の発動にはクラックが身に付けている腕輪『回路装置』が必要で、これがないと体内にある魔力を魔法として使うことは出来ません。逆にこれがあれば誰でも魔法を使うことができます。

モンスターは体内に魔力と共に回路装置に似た器官が存在するので無くても魔法を使えます。

そして魔法は一人につき一属性でして回路装置はそれにあった属性の回路に姿を変えます。

長々と話しましたが、結局は魔法は一人一属性で撃つには回路装置が必要ってことです。

解説は以上です。ではまた。


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