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61. 焦燥

 

 くらりと視界が揺らぐのは、きっと熱が上がったせいだと思った。頭が痛いのは、思いがけない考えに、吐き気がしたせいだと思った。


 聞こえてきた無線に、ああ、ほらねと人知れず思う。

 そう思ったのは果たして自分の意思なのか、『かつての自分』が思うのか。そんなことすら、セリオスにとって些細なことだった。

 今動かないと後悔する。そんな確信があった。

 乗り込んだ座席の中で、薬が効くのを待ちながら、セリオスは目を閉じた。こんな事しないといけなくなったのも、全部、無線を垂れ流しにしたアルフェリオのせいだ。



 心配してくれたユーイを部屋に閉じ込めるのは、思っていたよりも簡単だった。

 手元の無線から聞こえてきたやりとりに、確かにユーイも動揺していた。けれども、申し訳なさを感じているせいか、部屋に必要な薬があるからと言えば、彼女は率先して動いてくれた。

 初めてリシュリオと共に飛ぼうとした時、羽交い締めにしてきた人物と同じなのだと思うと、対応の差に驚きを通り越して感心してしまう。


 ユーイが部屋に入って薬を探し始めたタイミングで扉をそっと閉め、持ち合わせの工具で外から遠慮なく鍵を壊して閉め出した。

「セリオスさん?!」

「ユーイさん、ごめんね」

 ガチャンという音共に、異変に気がついたのは間もなくだった。驚いた様子で内側から呼ぶ声は、何度となく扉を叩いているが、丈夫な飛空艇の扉は蹴破る事は出来ないだろう。また、向こう側は向こう側で揉めている今、彼女のことはすぐには気に留められないだろう。時間稼ぎは十分そうだ。


「寒っ……こんなことしたら、めちゃめちゃ怒られるだろうなぁ……」


 締め出す前に持ち出した防寒着を着込みながら、セリオスはテラスに出た。雪混じりの風はあまりにも冷たく、向かい風も相まって頬をかすめる粉雪が刃物のように感じる。

 強風にあおられて飛ばされないように、精一杯踏ん張った。


 無線の冒頭を聞いた途端に、妙な確信があった。多分きっと、アルフェリオは何が何でも飛び出していく。

 行かせないほうが良いのだろうけれども、多分、そうする方が困難だろうと解ってしまった。だってどうせ、プライドなのか引け目なのか、アルフェリオはリシュリオ達を頼ることが出来ない。


 命綱を引っ張り出して、飛空艇の外通路を黙々と上がった。流石にここまでする必要は無いだろうなあと思いつつも、急かされるように上を目指した。


 こんな仲間に黙ってでも行動しないといけないと思ったのは、多分、記憶の彼方に隠れている幼い彼が焦っているせいだろう。心配しすぎだよと、自分に向けて言うのもおかしな話だった。



 やがてガタと扉が開けられた音を聞きつけて目を開けると、丁度飛び乗ってこちらを見下ろす、驚いた表情と目が合った。

「え、セリオス……?」

「連れてってよ、アルフェリオ」

 端的に告げたら、即座に首を振られた。

「駄目だ。そこどいて」

「でも僕も必要でしょう? あんたの部下の人、殺されちゃうじゃない」

 手元の無線機を振って見せたら、君も聞いていたのと眉をひそめられた。

「アルの事は関係ないよ。彼は彼で、こんな日が来ても受け入れるだけの覚悟をとっくにしていたことだ」

「親方……父さんを取り戻したいんだ。今度こそ、全部終わらせたい」

「君に一体何が出来るって言うの。虚弱な君は、自分の身一つすら守れないだろ」

「そうだよ。でもね、それならそれなりの方法があるんだよ。黒姫の図面、読み解き方を知りたくないの?」

「そんなの無くていいんだよ。実現されちゃ困るんだもの」

 真剣に告げても、アルフェリオの表情は変わらない。そこをどいてと腕を掴まれて、セリオスもその胸ぐらを掴み返した。

「僕が望むところに連れてっていけるのは自分だって、あんたが最初に言ったんだよ。連れてけよ。それとも、ここで足止めしてたらリシュリオ達が来てくれるかな。あの時みたいに」

「……君が引き止め役だって?」

 バカなことをと鼻で笑おうとして、真剣なセリオスの表情にアルフェリオも口元を引き締めた。

「後悔する事になるよ」

「あんたがただ死ぬつもりだったら、いずれそうなるだろうね。ああ、そうか。僕も道連れにする? 出来ないよね?」

「……ほんと、可愛げのないくそガキだなぁ」

 苦く笑ったアルフェリオは、繋留しているケーブルに目を向けた。

「はあ……わかった。反重力装置を起動して。あいにく僕はリシュリオさんたちほど操縦は上手くないからね。放り出されても知らないよ」

「望むところだよ」

 挑むような気持ちで頷くと、握りしめていた無線機の電源を入れた。

「エスタ、聞こえる? リシュリオはそばにいる? 悪いんだけど、僕、アルフェリオについて行ってくる」

『え、ちょっと急に何言ってるの?』

 即座に帰ってきた戸惑いの言葉に、セリオスはきっぱりと告げた。

「帝国に乗り込んでくる」

『バカなこと言ってるんじゃないわよ! ……え? 嘘よね?』

「本気だよ。親方も黒姫も、アルフェリオのことも。やれるだけのことをやってくるから、あとはお願いね」

『な、ちょっと! そんな勝手、リシュリオさんたちになんて……リシュリオさん! ルーザさん!! ……もう、何やって……いいからセリオス、早まった事しないで』

「んー……」

 未だに操舵室にエスタと共にいなく、アルフェリオが単独で来たところをみると、きっとルーザと揉めているのだろうと想像するのは容易かった。

「待っていたいところだけどさ、時間ないんだ。呼んでも応答なかったから、事後報告でごめん。後で怒られるって言っといて」

『ちょっとちょっと待っ……!』

「行ってくる」

 慌てた声を聞き流し、無線機の電源を切った。

「心配してくれてるのにいいんだ?」

 ことの成り行きを見守っていたアルフェリオに、セリオスはちらりと目を向け、ブレーキのペダルを踏みながら反重力装置を起動した。ふわと水面の船のように揺れたかと思うと、危なっかしく揺れながら、ゆっくり風に滑りはじめていた。

「もう、誰かに手を引かれるまで、ただ空を見上げ続けるのは止めようと思ったんだ」

 真剣に告げると、呆れたような笑い声が返ってきた。

「計画性のない無鉄砲は、見上げてるだけのほうがマシかもしれないよー?」

「それってアルフェリオに言ってる? あるから行くんでしょ」

「……やだねぇ、可愛げがないったら。四翼飛行機(フロート)の操縦経験は? 無いなら奥に入って」

 指し示された足元を見ると、確かに人一人余裕で入れる空間があった。セリオスが潜り込むと当時に、入れ代わりでアルフェリオは係留していた金具を外していた。側の欄干にひっかけると、その足で飛び乗った。

 すでに浮き上っていた四翼飛行機(フロート)は、反重力装置の高度を上げただけで、飛空艇との速度の違いで離脱する。


 離れるのは一瞬だった。

 操舵室の窓に、こちらを見上げて何かを叫んでいるエスタの姿があった事には、アルフェリオだけが気がついた。



 * * *



 あーもう! と、物に当たるわけにもいかず、リシュリオは唸りながら頭を抱えた。

「あのバカ! 何考えてんだよ!」

「……ごめんなさい。無線じゃセリオスを引き留められなかったの」

 操舵席で申し訳なさそうに身を小さくしたエスタに、リシュリオは眉間をもんだ。

「エスタのせいじゃねぇよ。……クソッ、やっぱアルフェリオを行かせるべきじゃなかったか」

「ごめん。セリがアルフェリオについて行くのは、流石に予想していなかったな」

「私が閉じ込められてしまったばっかりに、申し訳ございません……」

 作業の手を止めて顔を上げたルーザも、救出されたユーイも共に肩を落としていた。

「……まあ、過ぎたことを皆で謝っていても仕方ねぇか。セリがまさか、人を閉じ込めてまでしてついて行くとは、俺も思ってなかったし」

 なんでまた急に、と。深く溜め息をついてから、気持ちを切り換えるように座席に寄りかかったリシュリオは、肩身が狭そうなユーイに目を向けた。

「さっきの無線、あんたの見解を聞かせて欲しい。あいつ……アルフェリオと話してた相手……ええと、兄貴だっけ?」

「あ……そうよ! マーガスって……第一王子の名前だったはずで、でもとっくに亡くなってるって聞いていたわ」

 リシュリオの言葉にエスタもハッとした様子で後ろをちらりと伺った。

「そう、ですね。私もマーガス様は亡くなられている認識でした。十三年前の技術開発研究所の倒壊後に、その悲惨さを憂いて皇帝陛下に苦言を申し立てたところ、反感を買ってその場で処されたと」

 少しばかり言いにくそうにしたユーイに、リシュリオは腕を組んで片目を瞑る。

「随分と横暴な話だな。よくそんな奴が王になってるよ」

「そうですね。そこだけ聞けば、皇帝陛下が暴君のように聞こえてもおかしくありません」

「普段は違うって?」

「ええ。如何様な辺鄙な場所にある村でも、人が住んでいる限り物資の不足がないように気を配り、生活が豊かになるようにと、ありとあらゆる手を尽くされておりました」

「……言われてみれば確かに、帝国領土内ってされている村に行っても、寂れているって感じたことはなかったけど」

 思い出すのは、訪れた事のある各地の集落だ。外部の人間ということで、少しばかり警戒されていたとしても、排他的に訪れを拒絶されたことまでは記憶にない。

「そんな優れた王様が、裏では子ども使って研究やってたのか?」

「そうですね。それが国の発展に繋がるからとされておりました」

「……どうもわかんねぇな」

 辺境の地に住む人間に気を配れて、施設で囲った子どもは研究対象として使う。私情が大いに関わっているというか。その二つの間にある認識の差に、リシュリオは眉間にしわを刻んだ。

 考えても仕方がないかと首を振り、「それなら」 と尋ねた。

「さっきの無線の奴は、アルフェリオの兄貴本人で間違いないのか?」

「恐らく。……そうですね。状況的に考えられるのは、あの時亡くなったのは、マーガス様の影のものだったのかもしれません」

「身代わりを立てて死を演出を、か。何のためかわかんねぇな」

「アルフェリオ様の考えで言うならば、王城に拘束される時間が無いだけで、出来ることが無限にあると仰っていました。公務の大概は形式張ったもので、業務そのものは有能な官僚たちに任せておけばほとんどの場合、『王位継承者』としての仕事はないと仰っていました」

 書類にハンコ押すだけの為に、一日ずっと椅子に座ってるのは時間の無駄、と。遠い目をしたユーイの記憶としては、仕事はそれだけではないのだけれどもと大いに語っていた。

「あー。そういやあいつも、寝たきりのフリして飛び回ってたんだったな」

 似たもの兄弟かよ、と。リシュリオはうんざりして目を宙に向けた。


 ユーイは少し考えた様子で口を閉ざした。口にしていいものか迷ったのか視線を泳がせ、やがて溜め息とともに、己が感じていたものをぽつりと呟いた。

「あのご様子では、マーガス様は少なくとも、今も(・・)アルフェリオ様を疎ましく思っている事でしょう」

「今も? 王位継承権の問題か? 第一王子様なら、余程の無能で無い限り引き継がれるもんじゃねぇの」

 王族の慣例なんて知らねぇけどと、不思議そうにしたリシュリオにユーイは苦々しい表情を浮かべた。

「慣例通りであればそのはずです。ただ何と言うか、アルフェリオ様はあの通り、目標を成し遂げる為には自ら駆け回りますので、昔から落ち着きがないと周りから言われておりました。ですが同時に、その分の功績を積み上げておりましたので、アルフェリオ様自身にそのつもりがなくとも、次期王をアルフェリオ様にという声が無いわけではありせんでした」

「なるほどな。無難に引き継げるはずのものが引き継げない可能性に不満を持って、ってか」

「そう考えるのが自然かと思います。ただそもそも、公式的に死が確認されているマーガス様には、王位継承権が無いはずなのです」

「大袈裟な出来事が立て続いているから、その混乱に乗じて『奇跡の生還』って銘打つつもり、なんてな」

「…………あり得なくはない話ですね」

「それでまかり通るのかよ……」

 それが許されたとしたら世も末だ。そんなリシュリオの嘆いた様子に、ユーイはただ肩を落した。

 がしがしと頭をかくと、リシュリオは切り換えるように膝を打った。

「ま、そこについて嘆いていても仕方ねぇか。ルーザ、そっちはどうだ?」

 箱型の硬化鞄に収めた、普段使うことのない通信機の前に陣取っていたルーザは、呼びかけられて片耳のヘッドホンを僅かにずらした。聞こえてくる音をメモ取る手を止めること無く、うーんと苦笑する。

「えらい長文で説教くらってる」

「マニエストから? なんでまた」

「要約すると、『軽率』だってさ」

「そこに関しては何も言えねぇよ」

 うえっと唇の端をゆがめたリシュリオに、ルーザも肩を竦めて見せた。

「あとは、マレスティナに帝国の人間がちらほら入ってきてるみたいだね。そっちはヴィーオやオックスたちが動いてくれてるから、心配いらないってさ。商人たちはオーバンやマグニットがそれとなく誘導しているって」

「マグニットのとこ、帝国のスパイが多いんじゃなかったか?」

「そこを含めての情報操作だから任せろって言ってるよ。それから裏町はソリドが中心になって、安全確保を引き受けてくれたってさ」

「まじか。あのジジイ、もう年なのに出しゃばって大丈夫かよ」

「平気でしょ。当分死ななそうだし」

「……今度帰る時は、ちゃんと自分で土産持ってくか」

「あはは。すごく喜ぶんじゃない?」

 そうだな、と。苦笑しながら頷いた。

「それから悪い話になるけど、アズネロさんはやっぱり帝国に連れて行かれてるってさ」

「相っ変わらずマニエストは耳が早えな。まあ、さっきの話からして、そうだろうな」

「あの人、趣味が盗聴と傍受範囲の拡張だから、仕方ないね」

 どうせこの会話も聞いてるよ、と。ルーザがくすくすと苦笑していると、耳に届いた電子音にまた笑った。

「べトムはあえて帝国についてるみたいだね。お陰で余計にマニエストのとこに情報が入りやすくなってる。マレスティナの方はあっちでどうにかするから、僕らはアルフェリオに手を貸してやれってさ。根本を叩かないと、マレスティナだけでなく、浮空島全域の脅威があり続けることになる訳だし」

「異論はねぇけど、問題はどうやって実現するかだよな」

「我が主が申し訳ございません。臣下もろくに頼れないお馬鹿さんなので……」

「気にすんなって。今に始まったことじゃねぇし」

「帝国の情報は随時マニエストが集めてくれるから、ひとまず僕らも帝国を目指せばいいんじゃないかな」

 ルーザの提案に、リシュリオも首肯した。

「そうだな。あんた、アルフェリオの潜伏場所に心当たりはあるか?」

「心当たりはなくはないですが、マーガス様の動向を考えるに、既存の潜伏場所はすでに特定されている可能性が高いです。アルフェリオ様もそれは理解していると存じますので、恐らく私の既知の場所には居ないでしょう」

「まあ、そうだよな」

 ふと手を止めると、ルーザは届く情報に傾聴した。

「ああ……それと。すごく悪い知らせだね」

 顔を上げてヘッドホンを置いたルーザは、エスタの座る座席に手をかけて身を乗り出すと、雲の向こうに目を向けた。まだ何も目視できていないものの、ざっと見回した計測器の一つに、近くの空を飛ぶ飛空艇を知らせる反応があった。

「まだ少し先かな。リオ、操縦桿を握ってくれる? 撒けるなら撒いた方がいいかも。帝国軍だ」

「帝国軍?」

 なんだそれはと首を傾げたリシュリオの隣で、ユーイの表情はさっと血の気が引いていた。

「何故?! 軍がこのようなところに簡単には……」

「搭乗している敵将は、生粋の第一王子狂信者のキググリアって言うらしいよ」

 聞いた途端にユーイは目を見開いた。

「っ……ナシェア……。そういうことでしたか」

「アズネロ親方の弟子を連れてったって奴か」

「はい。おそらく、彼女は彼女でこの日のためにと、ずっと軍部の掌握を行っていたのではないかと思います。アルフェリオ様が王城に留まっていた頃は彼女の姿を従者の中に見たことはありません。おそらく、マーガス様が私兵として囲っていたのでしょう」

「そうか」

 嫌な相手だとリシュリオがぼやいていると、通信機が受信を告げた。何事だろうかとルーザが確認すると、ああと何とも言い難そうに溜め息をついた。

「どうやら相手は本気で僕らを殺しに来てるみたいだね。本気で逃げるか、ここで迎え撃つしかなさそう」

 エスタと入れ代わりで操縦席に座ったリシュリオは、普段使わない測量器や動力の電源を入れた。

「ああ、わかった。エスタ、隣で補助を頼む」

「ええ」

「ルーザは行けるか?」

「うーん、多分ね。面倒だから飛空艇ごと落としいい?」

「できれば制圧してくれ」

「えー」

「情報は欲しいだろうが」

 面倒くさいとぼやいたルーザに、リシュリオは呆れた。

「私も戦わせてください」

 一行の戦闘態勢をみながらユーイは髪をくくり、真剣に告げていた。

「あんたも……? 悪いけど、下手に人を守りながらだとルーザの気が散るし」

「守っていただく必要はございません。王子付き筆頭侍従に求められるものは、不自由ない主の身の回りのお世話だけでなく、軍属の隊長格と同等の実力です」

 一息おいて、ユーイは手を組んだ。

「アルフェリオ様は、あなた方を保護すると申し上げました。それは主が不在の時でも変わりません」

「そうは言っても、あんただって帝国の人間だろ?」

 悩ましく告げたリシュリオに、ユーイは首肯した。

「帝国の人間であることに相違ありません。しかしわが主はアルフェリオ様ただ一人。主が不在だとしても、その命令は、命を賭して遂行します。なので何があろうとも、私の事を気にしていただく必要がありません。もしどのような場面で私が死に面したとしても、捨ておいてください」

「いいよリオ。人質に取られても助けなくていいなら、楽でいい。それに人手があるなら制圧する人数の手間が減るしね」

「お前がいいならまあ……、いいよ」

 仕方がなさそうにリシュリオは肩を落とした。とんとんとノートを指先でたたいたルーザは、楽しそうに告げた。

「奇襲かけてこっちから乗り込みたいんだけど、上からいける?」

「はあ? 誰に言ってんだ。すぐに乗り込む準備してこい。十分後には相手の飛空艇の真上に届けてやるよ」

「ふふ、そうこなくっちゃ」

「小鳥にだって鋭い嘴と鉤爪があるってところ、見せてやろうぜ」

「ええ? なにそれ」

 にやと笑ったリシュリオに、ルーザはくすくすと笑ってヘッドホンを置いた。

 

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