初戦闘
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四匹の狼が俺達の方へ四方から迫ってきている。 運の悪いことにその内の二匹は、 俺を狙っているようだ。
「二匹俺を狙っている! ミリスとルイルイはそれぞれ一匹ずつ頼む!」
「わかったわ! しっかりやるのよアラベス!」
「我の力を思い知らせてやりましょう!」
「よし、 いくぞ!」
とまぁ、 かっこつけたものの、 日本では喧嘩などしてなければ、 何か武道をしていたわけでもない俺が一番やばいんだけどね。 しかし、 やるしかない。 殺さなければ、 殺される。 ぶっつけ本番だがやってやる!
二匹の狼は俺の事を挟み撃ちにするように迫ってくる。 とにかくどちらかでもひるませたい。 俺は一匹の狼に手の平を受け、 魔力に集中する。
「ふぅ、 ダークボール!」
俺の放ったダークボールは、 一匹の狼に向かって、 飛んでいく。 俺は狼が避けた時に追撃できるよう、 魔力を全体に循環させ体を強化する。 狼はダークボールに驚いたのか、 一瞬動きが鈍ったが、 ギリギリでダークボールを回避する。 俺はその隙を見逃さないように、 狼に向かって、 全力で駆け出し、 狼のこめかみに向かって、 剣を全力で突き立てる。
「おぉぉぉお!!!」
剣はそのまま狼のこめかみを貫く。 手には生き物の肉をえぐる感触が伝わり、 俺の顔には、 狼の血が吹きかかる。
俺は一匹を殺すことができ、 油断してしまう。 俺の後ろからは、 もう一匹の狼が怒りの喧騒で俺の頭をかみちぎるように飛び掛ってくる。 俺は咄嗟に剣の持っていない左腕に多くの魔力を流し、 狼の噛みつきを受け止める。
「ぐぅぅぅ……!」
こういうやばい場面では、 やってみると案外できるようだ。 俺は左腕を他の部位よりも強化することに成功した。 しかし、 とてつもなく痛い。 左腕だけ焼けるような痛みだ。 もし、 強化できていなかったら、 食いちぎられていたかもしれない。
しかし、 今は痛くて何もできませんじゃぁ殺される。 俺は、 左腕の痛みを我慢し、 殺した狼に突き刺さった剣を抜き去り、 力任せに左腕に噛みついている狼の首めがけて剣を振る。
「おらぁぁぁ!!」
俺の振った剣は狼の首を切断することは出来なかったが、 深々と狼の首にめり込んでいる。 狼は少しずつ、 力を失っていきそのまま俺の前に倒れた。 やった。 実際殺したが拒否感というものはないな。 これが人間だったら分からんが、 何となくだが大丈夫そうだ。
「はぁ、 はぁ。 何とか勝てた。 あ、 ミリスとルイルイは!?」
俺はミリスとルイルイを探す。
「アラベスー! 大丈夫かしら!? 私はやったわよ!」
「マスター、 我もあの狼に我との力の差を思い知らせてやりました!」
良かった…… 二人とも無事のようだ。 よく見てみると、 ミリスの殺した狼は、 炎に焼かれたかのように焦げており、 ルイルイの方は、 首が綺麗に切り落とされている。 そして二人とも怪我はないようだ。 俺が一番やばかったらしい。
「おぉ! 俺もやったぞ!」
俺は二人に向かって手を振るが、 左腕を上げることが出来ない。 戦闘中も痛かったが、 アドレナリンでも出ていたようだ。 戦闘中に比べても、 左腕に激痛が走っている。
「痛すぎる。 こんなの初めてだ。 しかし、 これからはこれにも慣れなきゃいけないよな……」
「アラベスあなた、 怪我してるじゃない! ちょっと待ってね! 治してあげるわ!」
そういうとミリスは俺の左腕に手をかざす。
「ヒール」
ミリスがそう言うと俺の左腕は光に包まれ、 少しずつ痛みが治まっていき、 光が収まると、 左腕は治っていた。
「おお! 治ったぞ! ありがとう、 ミリス! すっごい痛かったから、 助かったよ」
「ふふん! これくらい当然よ! それにしても、 アラベスやるじゃない! 狼とは言え、 二匹相手に、 初めての戦闘で勝つなんて!」
「マスターもやりますねー! さすがは、 我のマスターですよ!」
「そうか? はっはっは! 照れるじゃないか! まぁ、 戦闘訓練をこれからしなくちゃいけないなって言うのが、 よく分かったよ。 この狼ってこの世界ではどれくらいの脅威なんだ?」
「そうねー、 戦闘とかしない、 一般市民だと勝てないわね。 魔法とかが使えて、 複数人いれば、 別だけどね」
「やっぱ、 それなりに脅威なんだな」
良かったー、 あんなのを、 一般市民が簡単に殺せたら俺勝てる気しないからな……
「でも、 あれくらいは簡単に勝てるようにしないとね!」
「マスターなら、 すぐ強くなれますよ」
「努力することにするよ。 そういえば、 今のでレベルは上がったのかな? ステイタス」
名前 アラベス・オリジン
種族 魔人ダンジョン
職業 ダンジョンマスター
レベル 3
力 F
魔力 C
敏捷 D
器用 D
耐久 E F→E
固有スキル 迷宮王
スキル 闇魔法1 重力魔法1
加護 闇と混沌の女神レイスティナ
「お? レベルが3になってる!耐久が一つ上がってEになっているな。 噛まれたからか? しかし、 他の項目は上がってないな」
「私は2になってるわね! そんな簡単に上がらないわよ! それにね、 例えばだけど、 ステイタスでも、 同じFでも、 FになったばかりのFと、 もうすぐEに上がりそうなFもあるの。 だから、 項目が上がってなくても、 多少は上がってるのよ」
「へー、 そうなのか。 上がってなくても少しは上がってるんだな」
「そうですよ、 マスター! 我もレベルが2に上がりましたが、 項目に変化はありませんでしたから」
これは地道に上げていくしかなさそうだな。
「ちょっとずつってことだな。 さて、 ダンジョンに戻るとしよう。 この狼はどうする?」
「持って帰りましょ! ダンジョンに吸収させれば、 DPが増えるからね!」
「そうなのか。 でも、 こんなに大きいのどうするんだ?」
「そこは任せなさい! 私の魔法で収納できるから!」
「まじか! そんなことまでできるのか。 すごいんだな!」
「女王はやりますね!」
「そうでしょ! 私はすごいんだから! 私に任せなさい!」
そう言いながらミリスは、 狼一匹ずつに手をかざしていく。 すると狼の死骸はミリスの手に吸い込まれるように消えていく。
すげーな。 あれ俺も練習すれば、 できるのだろうか?
「よし、 ありがとな。 じゃぁ、 帰るか!」
「ええ、 帰りましょ!」
「我らのダンジョンに帰還ですね!」
そうして俺たちはダンジョンに向かって戻っていった。 幸い、 帰りに凶暴な動物に出会うことなく、 ダンジョンに戻ることができた。
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