目覚め
「ん、んー、ここは……?」
目が覚めるとそこは、縦横が10メートルくらいある立方体のような洞窟だった。洞窟の奥にポツンと一つ、この空間には似つかわしくない王が座るような椅子と、その横には頭と同じ大きさほどの水晶がふわふわと浮いていた。
「俺は異世界に来たのか……?恐らくそうだろうな。 まず、水晶が浮いている時点でおかしいぞ」
俺は水晶に近づき、その水晶に手をかざしてみる。
すると、急に水晶は光りだす。
「なんだ!?眩しっ!」
光が収まり目をあけると、そこには、まるでレイスティナ様をそのまま小さくしたような30センチほどの女性が浮いていた。背中には、小さな羽が生えており、 まるで、おとぎ話の妖精のようだ。
「初めまして。アラベス・オリジン様。私は、レイスティナ様の命によりこれからアラベス様のサポートをさせていただきます、ミリスと申します。これからよろしくお願いします」
は……?アラベスとは、確か俺の事だ。このミリスという妖精が、これから俺の事をサポートしてくれるのか?
「えっと、私はアラベス・オリジンです。レイスティナ様から名前を貰いました。色々教えてもらえるってことですか……?」
「それほどかしこまらなくてもよろしいですよ?これから長い付き合いになるでしょうから」
「そうですか?ありがとう。これからよろしく!ミリスさんも気楽に接してください!」
「そうかしら? いやー、よかったー!ずっとこんな喋り方しなくちゃいけないと思うとどうしようかと悩んでいたのよ!アラベス、あなたは良い人ね!感謝してあげるわ!私の事は特別にミリスって呼んでいいわよ!」
なんだろうか、あれほど仕事が出来そうな感じだったのに……今はアホにしか見えないんだが……しかも、姿がレイスティナ様と瓜二つだから、余計アホっぽく見えるぞ。
「じゃ、じゃぁ、ミリスって呼ばしてもらうよ。これから俺がどうすればいいか教えてくれる?」
今は説明してもらうことが先だ。しっかり説明してもらえるのか心配だが……
「わかったわ!そうねー、まずはステータスからにしましょ! ステータスって、声に出してもいいし、心の中でもいいから言ってみて!」
「おお!ステータスか!そういうの興奮するな!では、さっそく。ステータス!!」
名前 アラベス・オリジン
種族 魔人
職業 ダンジョンマスター
レベル 1
力 F
魔力 C
敏捷 D
器用 D
耐久 F
固有スキル 迷宮王
スキル 闇魔法1 重力魔法1
加護 闇と混沌の女神レイスティナ
種族が人じゃなくなってる……魔人になってるんですけど。一度死んだからかな?でも、俺の体は変わった感じはしない。身長も死ぬ前と同じ180cmくらいある。顔だって触った感じ変わっていない。体は鍛えたから、しっかり筋肉がついている。種族だけが変わっているのか。いっそのことイケメンにしてほしかったなー。
このステータスは高いのか?レベルもあるらしい。 固有スキルが迷宮王?なんだそれ?スキルには、闇魔法と重力魔法。かっこいいんですけど!!重力が特にいい感じ!加護はレイスティナ様の加護が付いている。ありがとうございます、レイスティナ様。
「どう?見れたかしら?」
「ああ、見れたよ。でも、このステータスが凄いのかどうか分からなくてね」
「私が見てあげるわ!私に対してステータスを開示するって、念じてみて!それで私もアラベスのステータスを見れるわ!」
俺はミリスにステータスを開示すると念じてみる。
「見れたわよ!そうそう、ステータスはあんまり誰かに見せたりしないようにね?私は別よ!」
「見せる相手がミリスしかいないから大丈夫だよ。それで、俺のステータスはどうなんだ?」
「そうねー、結構高い方よ!さすがね!大体他の種族のレベル1のステータスは、全部Iくらいだからね。種族によってHの項目があったりするけどね!」
「ステータスって、最高はSか?最低がI?」
「最高はSSSよ!ここまで成長出来たらいいけれど、確か今世界でSSSのステータスを持った存在はいないわ。これからは分からないけれどね。最低はIであっているわ!」
それなら俺のステイタスは相当高いことになるな。将来的には一つでもSSSまで成長させたいものだ。
「この固有スキル、スキルと加護はどんなものなんだ?」
「固有スキルはアラベスだけが持っているスキルよ!固有スキルは強力なものがほとんどね。スキルは、鍛錬をして獲得するものね。その人の才能によって獲得が難しかったり、獲得自体できないものもあるわ。加護は、神様が気に入ったものにあげるものよ。レイスティナ様に感謝しなさい!加護を持っていると、成長が早くなったり、スキルを獲得出来たりするのよ!アラベスだったら、闇魔法と重力魔法はレイスティナ様の加護を持っていることで獲得したの。スキルって、本当は努力して獲得できるものなの。だから、何もしていないのにスキルを持っているのは、レイスティナ様のおかげってことね」
レイスティナ様には毎日感謝することにしよう。 しかし、迷宮王とはなんなんだろうか?
「レイスティナ様には毎日感謝することにするよ。ところで俺の固有スキルなんだけど、迷宮王ってなんだかわかるか?」
「いい心がけね!その迷宮王だけど、中々強力よ!迷宮王の効果は、アラベスが生み出した魔人や魔物の成長を早めることができるの。さらに!生み出した魔人や魔物が強くなれば、あなたも強化されていくわ!」
「それって、仲間が強くなればなるほど俺は強くなるってことか?」
「ええ、その通りよ!当然、アラベスはレベルを上げたり、鍛錬をすることでも強くなれるわ。はっきり言って、迷宮王はうまく仲間を増やすことが出来れば、強力なものになるわ」
迷宮王って、チートじゃん!これは嬉しいな!そういえば、レイスティナ様が最後に強力なスキルをあげるって言ってたな。結構やばいこと頼まれたと思っていたけど、案外どうにかなるか……?
「なら、俺は仲間を増やして、一緒に強くなればいいのかな?あ、そうだ。外に出た魔物に迷宮王の効果はどうなんだ?」
「そうね、仲間を増やして強くなることは重要ね!それね、外に出て生活する魔物には適応されないわ」
さすがに外に出ていく魔物には適応されないか。外に出て生活してもらう魔物と、ダンジョンで生活する魔物の数はしっかり管理するべきだな。
「ステータスのことは、理解できたよ。それでその魔人や魔物を生み出したり、ダンジョンを拡張するには、どうしたらいいんだ?」
「それは簡単よ!この水晶に手をかざしてみて」
俺はミリスに言われたとおりに、水晶に手をかざしてみる。すると、目の前にはパソコンの画面のようなものが浮かび上がる。そこには、魔人召喚、魔物召喚、ダンジョン拡張などの項目が出ている。
「出たわね。画面の左上を見てみて。ダンジョンポイント――DPってあるでしょ?最初から特別に一万ポイント入っているわ!このポイントを使って、色々していくの! 簡単でしょ?」
確かに簡単そうだ。最初は不安だったけど、案外何とかなりそうだ。ミリスはアホの子かと思ったけど、頼りになりそうだしな。
「ミリス、説明ありがとな!何とかなりそうだよ」
「ふふん!これくらいどうってことないわ!これから頑張るわよ!目指すは、最強のダンジョンにすることなんだから!」
「頑張るわよー!「「おーー!」」
これからどうなるかは、分からないけど、どうにかなるかな。今は頑張るだけだ!
読んでいただきありがとうございました!