命を懸けた戦闘
戦闘シーンって難しいですね……。
俺は今この世界に来て一番緊張している。今まで戦ってきたのは動物だけだ。ミリスとルイルイと摸擬戦はしていたが、本格的に命を懸けた戦いはこれが初めてだ。こいつは強い。剣術に関しては勝ち目がないだろう。俺の剣術レベルは4で相手は7だ。しかし、魔法と能力では、俺の方が有利だ。問題はあの黒い魔剣だ。あの禍々しい雰囲気から闇の能力だろうとは思うが、決めつけはよくない。気を付けなければ。
「そっちからこないのか?なら、仕掛けさせてもらう」
ロイドは魔剣を構え、俺に突っ込んでくる。その勢いのまま魔剣を上から振り下ろしてくる。
速い! 剣でまともに受ければ、相手のペースに乗せられてしまう。俺は振り下ろしてくる魔剣をバックステップで躱す。躱しながら、魔法を準備し、ロイドに向かって魔法を放つ。
「闇砲!」
全てを飲み込みそうな闇のビームがロイドに向かう。ロイドは闇砲を魔剣で受け止める。闇砲は魔剣に当たると、まるで吸収されるかのように消えてしまう。
「吸収した……?」
「ああ、お前の魔力は相当なものだな。しかし、俺には闇は効かないぞ?」
ロイドはそう言うと、もう一度俺に斬りかかってくる。そのスピードはさっきよりも速く、剣で受け止めるしかない。俺は剣に魔力を流して強化し、魔剣を受け止める。
重い。ロイドの一撃は途轍もなく重かった。腕全体にその振動が伝わってくる。攻撃は一撃では終わらず、何度も追撃がくる。
やはり、剣の勝負では勝てない。力に関しては俺とロイドのステータスは同じだ。それに加えて、剣術のレベルが違いすぎる。俺が勝つためには魔法でどうにかするしかない。しかし、闇魔法はあの魔剣がある限り効かない可能性が高い。だが、魔剣で防御出来なければ、ダメージは通るはずだ。そのためにも、まず、距離をとらなければ。
「おぉぉぉぉ!」
俺は腕に身体強化を集中させ、力任せに魔剣を押し返す。すると、ロイドは驚いたかのように後ろにのけぞった。
俺は、のけぞった体制のロイドに魔法を放つ。
「重力サンドイッチ!」
魔法名がダサいって? 余計なお世話ですー。
魔法名がダサいのは置いといて、ロイドを前と後ろから強力な重力で挟む。このまま押し潰れてくれたらいいんだが。
「がぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ロイドは体が潰させる痛みに耐えながら、魔法から抜け出した。抜け出せたが、無償ではなく、骨の何本かは折れているようだ。
「どうした?そんな怪物のような声を出して」
おっと、自分で言ったことだけど、なんで俺煽っているんだろうか。俺も知らぬうちに命を懸けた死闘を楽しんでいるのかもしれない。
「ほざくな……! 一瞬で終わらせてやるぞ……!」
すると、ただでさえ禍々しい魔剣から、闇の魔力が漏れ出す。漏れ出した魔力は、魔剣に纏わりついている。これ結構やばそうなんですけど……! 俺は闇の魔力に対する耐性は強いけど、あれを食らうと結構やばいな。避けるか? おそらく避けるにはここじゃ狭すぎる。なら、迎え撃つしかない。その魔剣の闇以上の闇で飲み込んでやる……!
「死にやがれ! 邪悪斬撃!」
俺を簡単に飲み込めるほどの巨大な闇の斬撃が俺に迫る。
俺は使える魔力をありったけ集める。俺が今使える最高の魔法だ。これで無理なら俺の負けだ。
「逆にその闇ごと飲み込んでやる……! 暗黒世界!」
俺が魔法を放つと、ロイドの放った闇の斬撃を容易に飲み込めるほどの闇が生まれる。
「な、なんだ!? その魔法は……!」
俺の放った魔法は闇の斬撃をそのまま消滅させ、ロイドに迫る。ロイドは魔法をさっきと同じように魔剣で受け止める。
「ぐぅぅぅ……! この魔剣で受け止めきれないほどの闇だと……! ふ、ふざけ……」
ロイドはそのまま闇に飲み込まれて、消滅した。
「ふぅ、何とか勝てたな…… この魔法が通じて良かった。ん?」
ロイドのいた場所には、魔剣だけが地面に転がっていた。
「これはこれは、今ので魔剣だけは無事だったのか。これ俺に使えるかな?」
俺が魔剣を手に取ると、急に魔剣が黒く輝きだす。
「な、なんだ!?」
輝きが収まると、そこにはさっきよりも更に、禍々しい魔剣があった。とにかく黒い。握り、柄、刃の部分全てが黒いのだ。柄の真ん中には、闇のオーブのようなものが埋まっている。刃の部分は80㎝ほどだろうか。握りの部分も入れて約1mほどの大きさだ。
「これは、すごいな。すごい手に馴染む。それに一見重そうなのに、とても軽い。この魔剣が俺を主と認めてくれた的な感じか?」
なんとなく魔剣がそうだと言っている気がした。
「まさかこんなにいい魔剣が手に入るとはな。ラッキーだな! これから頼むよ。さっ、ミリスとルイルイは大丈夫だろうか」
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