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8/11

麻戦

 リアナは日本を満喫しまくっていた。


 知らない間にどこからか知り合いが数多くなっている。


 いつも通りリアナの家に遊びに来たはるかは、いつか嗅いだことのある香りがリアナの部屋に充満していることに気づいた。


 森の中でたまにするような青臭くどこかフルーティな甘い匂いに嗅ぎ覚えがあった。

 思い出した。

 アリスがたまにキセルで吸っていた煙の匂いだ。


 目の前には洋楽のヒップホップを聴きながらリズムにのりながら目を真っ赤にしたリアナがこっちを向いて手を振ってくる。


「やっほー、はるちゃーん。ヤーマンラスタ〜!イェミネム最高!」


 わけのわからない挨拶に戸惑う。


 すると彼女は、なにやらお茶っ葉に似た緑色をした葉屑を慣れた手つきでジョイントペーパーでくるっと巻き、舌でペロっとのり付けした。

 見事な煙草をいとも簡単に完成させてみせた。


 はるかに吸うことを薦めるリアナであったが、勿論はるかは未成年であり、喫煙経験もない。


「大丈夫〜、これ煙草じゃなくて漢方薬みたいなもんだから〜」


 この前の快感を忘れられないはるかは少し興味を持つが、今更だが法律は犯したくない。

 これもまた日本の法律に反するものかと尋ねるが、喫煙は違法ではないようでリアナはスマートフォンを見せる。


「ってこれ、大麻じゃん!ダメ、ゼッタイのやつでしょ?どうして喫煙は違法じゃないんだろう。」



 自分でも調べ、その真実や矛盾に疑問を感じるが、しだいに関心を持っていく。

 アルコールやニコチンの方がはるかに危険なもので、体への害はコーヒーに含まれるカフェイン程度の毒性であり依存性もほとんどないという研究結果が出ている。

 あらゆる病気を治したり、症状を軽減したり医療的には優れた効能があり、海外では医療目的や嗜好品として合法化が進んでいるのは事実である。

 こんなに取り締まりが厳しいのは日本だけで、ほとんどの国が非犯罪か罰金制度がある国では警察に見つかっても見逃してもらえることがほとんどであるようだ。

 残念ながら日本では議論や研究さえさせてもらえず、大麻で命を救えた人達が亡くなってしまった例も多い。

 元々アメリカがタバコを売りたいがために、貧民層が安くで手に入る大麻を無理やり禁止したことで戦後日本にもその押し付けで日本中の麻が燃やされてしまったのである。


 麻と日本は切っても切れない関係で、麻の繊維は日本では古くからしめ縄の材料は稲や麦などのイネ科の植物の藁や、麻の繊維などが用いられており、神事のお祓いの大麻おおぬさなどに用いられてきており、今も麻糸、麻布の原料として合法的に栽培されています。



 その事実を知ったはるかはとてもダメ、ゼッタイ的な思考停止的考えや日本の法律に疑問を覚える。


 真実を知り、マリファナ博士になったはるかはなんのためらいもなくリアナに渡された巻きたばこを口にくわえて火をつける。


 はじめての煙にむせてしまって咳が止まらない。


「貸して」と、言いながらチュパチュパかっこよく吸引して、リアナは灰を落としながら吸い方を教える。

「んーっ」と息を止めながらまっすぐに手を伸ばし、人差し指と親指でつかんだジョイントをはるかに差し出す。

 今度はうまく吸えたようで、6回ほどまわしあった後、灰皿へと手をまわす。


 2回目くらいからはるかの意識には相当な変化が現れている。

 まず、何もかもが とにかく可笑しい。

 物凄くリラックスした気分になってリアナとの会話が楽しくて仕方がない。


 そしてかかっているトゥヌープドッグの音楽。

 壮大な音の世界が体全体を包み込み、体の中までなだれ込んでくる。一粒一粒の音がはっきりと聞こえてきて、それらの音は折り重なり、はるかの心をひきこみ幸福感をもたらす。

 PVの映像に吸い込まれて、見えているものすべてが美しいという感覚現象。

 もう音楽と映像の虜になり、画面から目を離せないほど夢中になっている。


 英語が得意なはるかはその一言一言のリリックが脳をめぐっては共感の繰り返しでかなり心地がいい。


「どう?なかなか良いでしょ〜、ブランドものにゃにょよ〜これぇ〜ファブリーズッ!プシュッ!」


 ふわふわなフィーリングの中、はるかはリアナのその言葉に息ができないくらい大爆笑している。


「ちょwww待ってwwwもうやめてwww」


 はるかに近寄ってまでファブリーズをかけまくるリアナ。


「え?やめませぇ〜ん!ほらっプシュップシッwww」


 リアナも笑いだしたし、面白い会話をお互いに言っては笑い、の繰り返しをしていた。


 ようやく笑いが止まったところで、はるかはとにかく喉が渇きます。口の中がパッサパサに乾いてきました。


 飲み物をもらうためにリアナに許可をもらい、ちゃんとしたヴァルビックを飲むことにした。


 コップの縁に口をあてる。流れてくる水を感じる。そして飲み込む。飲み込んだものが喉と通り抜ける。


 たったそれだけのことが一大イベントになります。


 ある意味一つの儀式とでも。


 水だけではなく、コーヒーやお茶、または紅茶を飲んだ場合もはるかは大衝撃をうけます。


 本当に素晴らしく美味しいのですから。


 生まれて初めて感じるような深いコーヒーの味わいを堪能した。


 テレビをYoutubeからアニメに切り替えると、まるでそのアニメの主人公にでもなったかの様にストーリーに没入してしまい、わずか30分のアニメで5時間くらいの超大作を見たような気分になる。



 リアナは今度友人らとレイヴパーティーと呼ばれる音楽フェスに誘われたらしい。


 はるかに参加することを勧めるとリアナの影響ですごく興味があったらしく、快諾した。






 そうして楽しい時間を過ごしてたはるかとリアナであったがリアナが急に立ち上がり、「広い公園行こうよ。」と、提案する



 リアナはこっそり何本かポケットにしのびこませ、大規模な公園に到着する。


 木に囲まれた広いスペースでリアナは野球をしている小学生中学生に混ざりこんで試合を申し込んだ。


「もう…」と少しスポーツをしたくなってきたので混ぜてもらうことにした。


 リアナの打順にまわってくる。動画を見て勉強してきたのかバットを構える姿がまた様になっている。


 さすがのリアナも中学生相手に魔具を使うようなそぶりはない。


 中学生のザ・ピッチャーが大きく振りかぶって思いっきり投げた。

 リアナは大きくからぶった。

「あれっ?」「今あんたカーブ投げたでしょ?!男なら正々堂々とストレートで来なさい!」


 少年はストレートに自身があり、最高スピード110㌔近く出るようだ。その辺の中学生としては中々の逸材である。

「ビビらないでくださいよ。」と言い、先程より大きなモーションで投球する。


 そのスピードに驚いたリアナは手を出すことさえできず、キャッチャーミットへと着球した。ストライクである。


 あとがなくなったリアナが焦ってるのが伝わってくる。


 しかしもう一球のストレートを投げた瞬間、子供達は上空を見上げた。


 リアナの打った打球は遥か彼方に吹っ飛んで、空高く消えたボールは東京ドーム3個分程度の距離の見知らぬ土地へ落下した。


「特大ホーームランね!ざまあみなさい!」と言いながらベースを踏んでゆく。


 全員が唖然とし、開いた口が閉じれないでいた。


 あちらのせかいで全ジョブ習得しているリアナは常人より身体能力が優れているのだ。

 それにしても素晴らしいセンスである。


 そして剣道有段者はるかの打順。

 ドキドキしながら1球目を見送る。しかし、なにか打てそうな気がしてきてたまらない。


 次の球だった。はるかがヒットを放つ。

 この時、なぜか自分の思考によって世界が変わっていくような感覚が身につく。こんなにブリブリなのによく飛ばせたものだと疑問に思う。


 リアナの元へ帰った瞬間に話しかけられる。

「わかった?」

「うん。なんかすごく打ちやすかった。」


 麻の効果が効いている間は身体能力や洞察力などが確実にアップしている。


 そうして試合はリアナとはるかがボコボコに打ちまくった為、チームは圧勝した。



 試合が終わると次々と各個違う場所へ移動しはじめる。

「さて、これで後は人が入ってこないように結界を張って、と。」


 リアナははるかにスマートフォンをかざすと、向こうで身につけていた刀やアクセサリー類を全て具現化させてみせた。

 魔具はこちらの世界と向こうの世界で共通であり、スキルで呼び出したようだ。彼女のアクセサリー類や刀に付けていた玉などの魔具に覆われていて完全武装状態のはるか。


 それにリアナに勧められて買った日本製魔具もすでに身につけていたのでやる気がみなぎってきた。


 もう一つ魔法を2人にかけるリアナ。


「リレイズよ、これで私達は死んでもまた生き返るから心配しないで。手違いで殺しちゃったらシャレにならないしね。」

 「よし、これで準備完了ね!」


 一体なにをはじめようというのか不思議そうにリアナと近くで向かい合う。




「タイマンよ、一対一のサシの勝負よ。手加減してあげるから、ほら、私を殺す気でいつでもかかってきなさい。」


 少しの気だるさがあったがすぐさま双雷鳴剣を撃ち込む。が、体ごと回転させた二本の刀を軽々と交わし、上空からの雷は手の平をかざすだけでどこかに飛ばされてしまった。


 その手のいく先は次にはるかを狙っている。


「風衝。」


 はるかは遠くの木まで大きく回転しながら吹き飛ばされてしまった。



「あいったぁ…」もうすでに戦闘不能のはるか。


 彼女に瞬間移動してきて治療魔法をかけるリアナは「こんなもんなのあんた。防御スキルくらいパッと使いなさいよね。」

 なにかに気が付いた様子で「あっそうかもう完全にきれちゃってるわよね。ほら、」と葉巻を差し出す。



「え、持ってきたの?」


 怒りに溢れた顔ではるかは睨んでいる。


「当たり前じゃん、何か問題でもあるの?」


 そう言った瞬間はるかはリアナをひっぱたいた。


「いい加減に日本に慣れてよ!」


 黙り込むリアナ。


 日本で所持していると現行犯逮捕されてしまう日本。それは彼女も承知の上だ。もし結界を張るまでに捕まってしまってははるかはひどく悲しむだろう。

 まあそもそもリアナにはプリズンブレイクなんて余裕だろうし、それ以前に職務質問された警察官を吹き飛ばし、応援を呼ばれてSWATを全滅させることさえしてしまうこともあり得る。

 そうなれば事は重大になることもはるかは先読みできたということを伝えた。


 確かにそう思ったリアナは少し反省した。

が、「バレなきゃ犯罪じゃないんですよ!」と屁理屈で反論する。

話し合いの結果、警官を吹き飛ばしたりはしないと誓い、魔具でなんとかなるだろうという結論に達した。

少し不満そうなはるかは試しに吸ってから闘ってみることにした。


 すると相手の動きが徐々に読めるようになってきたのを実感する。

 リアナの攻撃を次々とかわし攻撃をやめないはるかに「少しは慣れてきたじゃない、じゃあ私も武器出そうかしらね。」

 はるかの激しい攻撃をかわしながらそう言うと魔具をレイピア化し、斬撃を受け止めながら反撃をする。


「目には目を、剣には剣を!」


 そうして2人はとても楽しそうに剣を交え、気付けば辺りは真っ暗で戦闘は深夜までに及んだ。



「今日はこのくらいにしといてあげるわ。」


 リアナは一服もせずシラフでこの強さな為、結局はるかは一撃も攻撃を当てることさえできず、息が上がってしまって立てない。

 それもそのはず、はるかが致命傷を負うたびに回復しては戦い、回復しては戦いを続けていたので仕方がない。


 2人は手を繋いで仲良く雑談しながらそれぞれの家へと帰っていったのであった。




 人の潜在能力を見抜く力のあるリアナのはるかへの特訓はほぼ毎日続いた。


 ※8話へつづく

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