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魔具

 後日ギルドへ行くと、血の気のないミカの姿とアリス、身長の高い野暮ったい男がいた。


 その男が近づいてきて話しかけてきた。


「僕の名前はロハン、よろしく!ねえねえ早速なんだけど、見せてよ見せてよ、例の魔具!」



  2人がスマホを見せたり変化させたりするとロハンは舞い上がって喜んでいる。正直ノリノリすぎて気持ちが悪い。周りの目もあるんだから察せよ、と。



  大声でいちいち興奮しながら感動する彼。

 恥ずかしさに耐えられず人の少ない奥のフロアーに移動し、5人で飲み物を飲みながら話すことにした。


  ロハンは一人で魔具について語っている。


 ミカの顔色はものすごく悪く引きつっている。アリスに怯えているような気もするが一言も話さないのは一体なにがあったんだろうと聞ける雰囲気さえもない。


  ロハンの話をまとめると、変化できる魔具は本人の意思を元にして具現化するとのこと。

 さらに使いこなし方をマスターしている人は魔具を持ち運びやすい形にして携帯しているという。


  その話に興奮したみかは表情を急に変えながらためしに魔法用の魔具をいとも簡単にタロットカード型に変化させてみせた。


  ロハンとアリスは驚きを隠せない。


「魔法少女と言えばカードと相場は決まってるのよ!」


  自慢げに話すミカは、今にも

 汝のあるべき姿に戻れ。ク○ウカード!と叫びそうであった。


「じゃあ私はアクセサリーかな。」


  続いてララもスキル用などの魔具をバングル、ネックレスやピアスなどに変化させていく。


  はるかも同じようにキーホルダーや数珠などに変化させてゆくが、腰につけたマイクである日本刀だけはそのままにしておきたいらしく変化させなかった。



  そして魔法とスキルを混ぜた戦い方の方が効率が良いらしい。


  ロハンの戦闘隊形は召喚獣に任せきりなので

 個人戦は得意ではない。


  まだまだ魔具の謎が多く、研究途中らしい。

 今判明しているのは魔法用、スキル用、武具の3種類。


  一緒に研究している少女がいるという。

 かなりの戦闘マニアで魔具をほぼほぼ使いこなしているようだ。


  その少女のところに行くように勧められたが、アリスは反対していた。


  なんというか性格に難癖があるらしく、まともに話を聞いてくれるかも怪しいという。


  ロハンが自分の持っている魔具自慢を始める。

 アリスは呆れた表情で戦闘に使えそうなものだけを紹介させる。


  すると使えそうなものはららがほとんど恐喝し、「これだけは許して!」と、数十個取られたロハンは泣きながら帰っていった。


「私達はこの子の修行を兼ねた仕事へ行くけどあなた達もどう?」


  昨日の傷が癒えていない一行はアリスの誘いを断らざるをえなかった。


 急に思い立ったはるかは決意した。

「私、その女の人に会いに行ってみる!」


「本当に行くの?門前払いされるのがオチよ?」


「それでも!」


 アリスはなぜかはるかに対する評価が上がった。


「じゃあ、私達はいきましょうか」「はい、師匠。」


  こんな従順なミカを見たのは初めてだった。

 なにがあったかは想像はつかないが、とてつもない仕込みをされているのだけは伝わった。


  ロハンにもらった地図を頼りに例の彼女の元へと向かっている途中にツシンに出くわした。


  なにやらピリピリした様子で、前にはいかにも悪そうな集団と対峙している。


「お、こいつらがお前の召喚奴隷じゃねーのか?」

 上からガラの悪い男達が見つめてくる。

「奴隷ではありません!なんなんですかあなたは?」

 つり目になるはるかの問いに男は答える。

「ちょっとツシンとちょっと戦いの約束があってね、これは好都合だ。これでちゃんと正々堂々デュエルができる。」


  前に石を投げてきたこの辺の悪さをしている連中のボス、ドランだ。


「なんてタイミングで現れてんだよお前ら!ミカはどうした?」


  修行をしていることを伝える2人。


 まぁこうなったら2人でも勝機はあるかもしれない。


「決まりだな。デュエル開始だ!こい、ゴーレム!」


  頭上から大きな人型の岩の塊が、ドシンという音と共に現れた。


「さあ、始めるぞ!まずは弱そうな腰に剣のようなものをつけたやつを狙え!」


  と、合図を受け取ったかのようにはるかの上空からパンチが振ってくる。

 刀で受け止めるが圧倒的に力がたりない。このままでは押しつぶされてしまう。



  そこにスーパーサイア人化したララがパンチをパンチで返す。


  体勢を崩すゴーレム。


  腕時計型に変形させたスマホを光らせるはるか。


「出でよスマホ剣!(仮)」


 名前を考えないとダサすぎる。


「ほほう、少しはマシな奴隷じゃねーか。だがこれは受け止めれるかな?」


  ゴーレムは両手を組んで大きく振りかぶった。


「来るよ!」「うん、まかせて!」


  振りかざした両手ははるかとララを狙う。


「スキル、テレポステップ!」


  地面に穴が開くほどの攻撃であったがはるかとララは左右に瞬間移動したように見えた。

 ロハンのスキル魔具が活躍した瞬間だった。


「今よ!」


  はるかは頷くと


「雷鳴双剣!」


  と上空に2つの雷と共に切った。


 と思ったが弾かれた。


「?!」


「烈風脚!」


  ララの攻撃はゴーレムの胸にヒットした。こうかはばつぐんだ。


  ツシンは言葉を失った。負けていられないと踏み出そうとした瞬間、ドラン本体が悪ガキ達を連れて殴りかかってきた。


  周りの雑魚に構っていると ドランに一撃を食らってしまった。



  ツシンの周りに緑色のオーラが回転しはじめた。


「めんどくせえ!いくぞ!」

 

  「双竜脚!」


  左足を挙げた勢いで横方向にかかと落としで周りを吹き飛ばし、そのまま回転して右脚で右サイドの敵を吹き飛ばす。

 完成したばかりの新技である。


  悪餓鬼達は次々と吹き飛ばされていった。

 ドランはツシン睨みつけながら後ずさりする。


  ゴーレムはまだまだ元気である。


「はるかはゴーレムと相性が悪い、コイツをやれ。」


  不適な笑みを浮かべてドランの間合いに入った。


「ねぇ?今どんな気持ち? 女の子に首斬られそうなんだよ?」


  ドランは悔しそうな顔をしながら動けない。

 その時、ゴーレムがはるかを掴んだ。悲鳴をあげ必至に助けを求める。

 そんなはるかを見ていられないららは助けようと「こいつ硬ってんだよなぁー もっぱつ、」


  「烈風脚!」



  ダメージは入っているようだが、はるかを掴んだ手を離そうとしない。


  ツシンも負けずに双龍脚をゴーレムに打ち込むが威力はララの攻撃と似たり寄ったりのダメージだ。


  人は殺したくないがはるかはあの時ドランを斬っていればよかったと後悔した。

 

  ララは考えた。

 本体倒せばゴーレム止まるんじゃね?と。


「普通のスピードパーンチ!」


  ドゴォ!という音とともにドランの顔面が90°回転し、地面に倒れこんだ。


「ありゃ手加減したんだけどなぁ、死んでないよね?ってかゴーレム止まってないしぃいいい!」


  依然はるかは掴まったまま。

 よく見るとツシンまで掴まれていた。


「万策尽きたぁー。もう魔力の限界だよぉ…」



  ララは昨日の疲れも取れてない。

 ドラン本体も意識不明なのでゴーレムを止める手段がわからない。



  このままでは主の失った魔物が街を襲っているのとなんら変わりはなく、大惨事になりかねない。




  その時、歴史は動いた。


「ふっふっふっ。」

  「 私抜きでなにやら楽しいことをやってるじゃあありませんか。」


  建物の上にそびえ立つ者の声がする。



「み、ミカぁ!」



  町中このデュエル騒ぎでクエストどころではなくなっていたミカはアリスと共に騒動を見に来ていたのだ。


「昨日からずっと魔力コントロールの練習やらで地味に電球や薪に小さな火をつけたり…」

 そんな地味な修行をしていたのかよ。

  「師匠、やっちゃっていいですか?」


「ちょうどいい頃合いかもね。 修行を思い出して街に被害が及ばない程度の威力で、できるわね?」

 どうやら威力の強弱のコントロールの修行をさせていたようである。


  ミカは大きく息を吸い込んで呼吸を整えた。


 とある魔法少女のようにカードを人差し指と中指で挟んでキメポーズをとり、クルクルと回して杖にまとわりつけた。

 その姿は元祖魔法少女のそれそのものであった。


「ライトストレートショット!」


  魔光弾がゴーレムに数発当たり、両手を離して倒れ込んだ。


「くっ浅いか。それなら、ウォレリアーク!」


  ゴーレムの体へと水光弾が放物線を描きながら上空へ集まり雷鳴剣のように突き刺すと、ゴーレムの胸に穴が空き、うごかなくなった。


  ふっとスッキリした表情のミカは師匠、修行の続きを、と言わんばかりに去っていった。



「勝った!勝ったぞ!」


  ツシンは大喜びしている。



  はるかは活躍できなくて申し訳なさそうである。



 騒ぎが収まると周りを囲んでいたギャラリーは次々と去っていく。


「はるか、例の場所、行っておいでよ。私こいつと話すことあるから」


  ららの言葉に戸惑いを見せるはるかとツシン。


「まあいいや、私一人の方がいいかもだしね!じゃあ行ってくるね」


  ツシンの引き止めにも応じず一目散に去っていった。


 不敵な笑みを浮かべながら見つめてくるららに対して

 聞いた。「話って?」


  その瞬間ララの右フックがツシンの頬をかすめる。


「語ろうよ、拳で!」

 さらに飛んでくるアッパーをガードしながら「俺のパワー舐めんなよ。お前を歩けない体にしたくない。」


  この間撃ち合いは続いている。


「いいよ、本気できて。」


「マジでしらねぇからな、双竜脚!」


  華麗にかわすララは見様見真似で双龍脚を放つ。

 ツシンは驚いた。習得に2年かかった技だったからである。

「まだまだぁー、格闘技ってのはこういうのをいうのよ!」


  30分闘ってツシンは負けた。

 何よりモンクでもない素人に負けたのが悔しかった。


  まぁ日本ではプロ級の技術なのだから仕方ない。そのことを説明し、明日から老師とモンクの習得と訓練をすることとなった。


  はるかは一人で魔具使いの元へと急ぐ。



 ※5話へ続く

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