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友人契約  作者: マリーゴールド
15/60

家族公認なら友達ですか?(3)

 ――――――――――――


「ランチセットお二つで、千三百五十円になります」


 日曜日。今日は昼間だけシフトに入っていたため、和樹は西宮にある小さなうどん屋のレジに立っていた。

 うどん屋と言っても、最近のは若い女性もターゲットにしているためか、小綺麗でお洒落な店構えをしている。平日は職場の近いサラリーマンが主な客層となっているが、土日祝日は若い女性や家族連れのお客さんが多く見られた。

 とは言っても、店自体それほど大きくもないので満席になっても、忙しさはたかが知れている。

 飲食店のアルバイトは、どれも賃金が高いが忙しさが目立つ印象だ。しかし、このお店は時給のわりにそれほど忙しくもなく、個人的には掘り出し物のアルバイトだと思っている。

 時刻は二時過ぎ。客足も途絶え始める頃合いだ。


「一ノ瀬くん、宮地さんも、そのテーブル片付けたらあがっていいよ」

「はーい」


 店長が厨房から声をかける。

 この店にいるのは、店長の他に自分と、もう一人、アルバイトの後輩の宮地由希子だ。

 宮地は、この四月から、去年までバイトしてた先輩の代わりに新しく入った後輩だ。

 他にも、平日の昼にバイトに入っている人たちがいるらしいが、夕方、学校が終わってからバイト先に着いた頃には居なくなっている為、一度も顔を合わせたことはない。


「宮地、テーブルは俺がやるから、先にあがっていいよ」

「はーい、ありがとうございます、先輩」


 宮地は軽く頭を下げて、更衣室の方へ行った。

 更衣室は男女別れておらず、ひとつしかない為に、交代で使うことになっていた。

 テーブルを片付けて食器を洗い終えた頃、更衣室の扉が開いた。


「それじゃ、先輩、お先ですー」

「お疲れさん」


 宮地が店から出て行くのを見送り、自分も更衣室に入った。

 試験期間中はアルバイトは休みにしてもらっている為、久し振りの仕事に疲労を感じる。扉越しに店内で付けっ放しにしているテレビから、午後のニュースが聴こえていた。梅雨明けは、まだ少し先になるようだ。

 そういえば、天宮から折り畳み傘を借りっぱなしになっていたのを思い出した。あの後すぐに試験期間に入ったため、返す機会を失っていたのだった。

 日曜に自宅に伺うのは迷惑だろうか。天宮の実家の位置は知っているし、平日に返そうにも学校に持っていけば余計な荷物になる。ただ傘を返すだけだし、まあいいか、帰ったら持って行こう。

 和樹はそう結論づけると、早々と着替えを済ませて店を出た。



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