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働く気力はありますか?

「で、あんたいつ働くん?」


居間で本を読んでいると、煎餅をバリボリと食べる母から突如爆弾を落とされる。

一緒に団子を頬張っていた俺は危うく喉を詰まらせそうになった。


「あーうん。今バイト探してる。」


帰省一ヵ月半。

蝉も静かになってきて、そろそろ言われると思っていた一言だ。

仕事に明け暮れていた分支出は少なかったが収入も少なかった。

今となってはなんのために必死こいて働いてたんだかわかりゃしない。

だがこのまま何もしないというのは無理だ。精神的に死んでしまう。



そして爆弾投下から二週間後、俺は社会生活復帰のためバイトを始めた。

太陽がコンクリートを焼き付ける中、近くの中学校からマラソンの掛け声が聞こえてくる。


「ワカモノハゲンキダナー。」


俺の職場は地元の人間しか使わない小さなガソリンスタンドだ。

手が汚れる、ガソリン臭い、ヤンチャな人との遭遇率が高いと不安はつきなかったが時給がいい。

なんと時給1250円。

社畜してた時より時給が高い!!なんてことだ!!

しかも経験・資格・学歴問わずで履歴書まで要らなかった。


『あー君、田中さん家の息子さんなの。うん、いいよ。明日から来れる?』


老人オーナーの言葉に耳を疑った。正直緩すぎる。

しかもセルフ給油だから、俺はたまに掃除をして他は事務所にこもって呼び出された時だけ出て行けばいい。

最初はわざと仕事を教えて貰えないのかと疑心暗鬼になったけど、そういうわけでもないみたいだ。

今のところは。


「暇。」


暇に殺されそうになりながら誰も映らない監視カメラを見守る日々が始まった。


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