第5.5話:彼女の見据える××
今回の襲撃。
灰色の髪を短く切った女性。
「あの人のため、あの子を探すため、あの人の憎きモノ、壊します。」
その発言のあの人は予想がついている。
あいつらが罪を犯したのは恐らくあの時がハジメテのはず。
それならば陽炎に恨みを持つ者は私を除いて1人しか思いつかない。
いや、あのこが生きていれば話は別、あるいは結託する可能性があるのか。
「あぁ、面倒だ。」
つい、そんな言葉がこぼれる。
ただでさえ、数日前に加入した少年が特別であるというのに。
私から最愛を奪った、その糸を引く一番上であろう連中の好きにはさせない。
その一心でここまで来た。
「ま、確信はまだ持てない、状況証拠だけなんだけど。」
恐らく水月たちは知っている。
その裏で糸引く存在を。
仮説を結ぶことができれば、証明される。
「貴方の、仇を討ちたいわけじゃない。
これは私の、自己満足だ。」
写真の中の私たちはいつも笑っている。
幸せだったあの日々、決して長くはなかった、あの日々。
小さな枠の中で、悪魔と神父は笑っている。
すべてが終われば私はどうするのだろうか?
まぁ、それは、その時が来ればわかるだろうと思考を放棄する。
願わくば、貴方の元へと目を閉じる。
閉じた目を開けば私を呼ぶ音がする。
「迷える子羊に道標を与えなくちゃ、ね。」
かつて私を理解し、相談に乗ってくれていた男が笑った気がした。
今はもう、私の記憶の中にしかいないであろう男が。
先程までのしんみりした空気なんぞなかったことにするかのように私は笑う。
いつでも私は強いんだ。
だって、貴方がいるのだから。
扉を開いた私は口を開く。
「アポなし訪問とは、今日のことが気になったのかい?」
貴方なら、もっとうまく聞いてあげられるのかもしれないね、なんて片隅で思いながら。