それぞれの思い
その日はいつもと変わらない日常だった。
茹だるように暑い夏の日だった。
何気ない平日の何気ない帰り道。
"非日常"は常に己にだけまとわりつく。
他者の目に映らない俺のその力は必要だったのだろうか?
外では皆他者に興味なんてない。
家には他に人はなく俺を見る人なんていない。
人間は、他者に関心なんて向けていない。
そんな"非日常"はすでに俺の"日常"であったわけで。
そんなある日であった空色の太陽。
彼女には俺が見えていた。
そんな"非日常"との出会いは俺が興味を示すのも簡単で。
でも今ならわかる。
この出会いがすべての始まりだったんだって。
私はいつでも強くある。
最強と言われる能力の持ち主。
簡単に死ぬことは許されない身体。
それでも最愛を失った私は必要あるのかしら?
生まれたその瞬間から前世の贖罪をぶつけられる哀れな娘。
家の都合で離された前世に押し付けられた恋愛ごっこ。
自分で選び取ろうとした最愛はすでにこの世から消されている。
それでも過去は忘れられない。
この身朽ち果てるまで私はあの人を愛するのだろう。
それでも見えるものは見えてしまうわけで。
捨て身の考えでも利用されるのは面白くない。
ならば一矢報いよう。
ただでやられる気なんて、毛頭ない。
目覚めた時は既に、あたしに"存在"を証明できるものはなかった。
文字通り、世界に捨てられたのだと思っていた。
水の揺れるその場所から助けられたあの時を始まりにしようと思った。
あたしを証明するものはこの身一つと助けてくれた仲間だけ。
力がなければ証明すらできなかったんだから、仕方ないでしょ?
他者はいらない。
あたしはここに居られればいい。
ここに、いるべき人間がいれば、それでいいんだ。
だから不思議だった。
あの時他者に興味を持ったことが。
あの日家族だと発言したあの女に殺意を抱かなかったこと。
…もしかしたら、あたしは知るべきなのかもしれないと思ったこと。
物心つく前からすべてが見えていた。
汚い、醜い、そんな人間が隠す心の底の本音まで。
だけどわからなかった。
俺にはなにも、わからなかった。
引き裂かれた前世の俺の心は壊れ、業として現世の俺には感情がないと言われている。
それでも幼いころから一緒にいた彼女と共に居たいとそう感じた。
魂が、そう訴えているのか、それだけははっきりと言える。
それもただの執着だと、彼女にはっきりと告げられたけど。
彼女が姿を消したときすぐに後を追った。
そうしなくては、いけない気がした。
それが己の感情なのか、前世から続く魂の号哭なのかは、未だわからないけれど。
ただ、欲しかった。
あの子が欲しくて、僕らは罪を犯した。
そそのかされたとはいえそんなもの、あの子には関係ない。
あの子がこのことを知るまでは、そばにいたいと願う醜い己に呆れる。
それでもあの子が欲しいんだ。
あの日この手で殺したあいつと重ねてるってわかってる。
罪を犯したこの身はあいつらには逆らえない。
それもこれもきっと僕に与えられた罰なんだ。
いったい誰がどこで間違えたのだろうか。
僕らの運命は決められていたのだろうか。
それはいったい、いつからだったのだろうか?
ずいぶん昔から設定だけで来てたものを仕立てるのはなかなか難しそうです。
少しずつ進めていけたらいいなぁって思っています。
とりあえず今は話が分かりにくくなる可能性が否めないのが一番怖いです。
たどり着く先がはっきりとしてなくて…。
そんな感じで不定期更新で頑張りますのでよろしくお願いします。