俺、注目され殴られる
今日も二話投稿と言ったのですか、投稿しようとしていたデータが消えてしまったため、今日は1話投稿に変えさせていただきます。
本当にすいません……。
やはりこうなったか。
昼休み、俺の席には不機嫌な白石と無表情の桜井が弁当をもって集まっている。
元カーストトップに現カーストトップが俺の席に集まっている光景は周りから見ればおかしい光景なようで、視線が集まる。
「人たらしの正孝、この視線不愉快だわ。 どうにかしてきて」
「確かにこの視線は不愉快です。 周りを囲まれるより不愉快なことがあるとは思いませんでした」
俺にどうにかしろと言うが、俺にこの状況をどうにか出来るだけの権力はない。
それ以前に俺だからこそ今の状況が注目されているのだ。
なぜあんな奴が、キモオタの分際で、周りにいる人からの視線にはそういった感情がわかりやすいほど含まれている。
「こんな視線が嫌なら俺のとこに来なければいいんじゃない?」
「それこそ嫌だわ! 正孝の近くにいないと囲まれるじゃない」
「いや人をカラス除け扱いするのやめない?」
「カラスより厄介だわ!」
その原因を作ってるのは自分たちなのだが、しかしカラスより厄介と言われて周りにいる人はどう思うのだろうか。
現に一部の女子、白石の周りにいつもいた女子は今にも泣きそうな表情でこちらを見ているし、男子、高橋などのヤンキー、いや気の強いものは言われたことに機嫌が悪くなりこちらを睨んでいる。
実際自分が他の人と同じ立場で同じことを言われたらどう思うだろうか。
「実際、周りの人は二人と仲良くしたいから注目するし、俺の近くにいることに疑問を持つんだよ」
逆の立場だったら自分も今の状況に疑問を持ち、白石が言ったことに機嫌を悪くするだろう。
だからこそ今の状況は俺にも周りにも悪影響を与える可能性が高い。
白石は自分を偽ることをやめ、転校生で毎日囲まれていた桜井はいつの間にか俺の近くにいる。
この二年間、一度もなかった状況がこのクラスに与える影響は大きい。
「この状況が落ち着くのを待つしかないと思いますが」
「確かに私の時も一週間で少しは落ち着いたし、待つしかないか」
二人は自己解決したようで、おとなしく弁当を食べ始める。
しかし自己解決したのは二人だけで、周りの者はそうはいかない。
今こそこの状況に対して何も言わないが、時期に何か問題が起きるかもしれない。
一週間前、白石が高橋に殴られたときのように。
***
「というわけで修学旅行の行先は例年通り沖縄に決まったから、自分たちで班作っとけよ」
担任はそう言うと荷物をまとめ教室から出ていく。
この学校は三年に進級した一か月後に修学旅行が行事として組み込まれている。
受験前の最後の息抜きだとか、クラスの仲間で旅行して一致団結して受験に望むだとか色々言われてはいるが実際のところ、三年の担任になった教師へのねぎらいが一番の理由らしい。
今日は四月十七日、行くのは五月十日~十四日の三泊四日だ。
「正孝! 一緒の班になりましょう!」
「正孝さん私と同じ班になってください」
同時に二人から誘われた俺は即座に言わなければならないことを言う。
「俺、修学旅行の積み立てしてないから行けない。 一括で払うお金もないし」
俺の両親は学費こそ払ってはくれているが、修学旅行などの行事に参加したければ自分で稼いでどうにかしろ、そんな風に言ってきたのだ。
実際二年の時の林間学校も行ってないし、行く気もなかった。
友達もいない、話す相手もいない俺がそんなのに行って何になるのだと。
だからこそ親の言ったことは俺にとって最高の言葉だったのだ。
「積み立ててないって正孝の親は何してるのよ!」
「俺の親、俺のこと嫌ってるから。 最低限のものしか払ってくれてないぞ」
「嫌ってるからって学校の行事に必要なお金なのよ!? 私が家に行ってーーーーーー」
「正孝さんは現在1LDKのアパートに一人暮らしのため、貴女が家に行っても意味がありません」
桜井がそう言うと最初こそ驚いていた白石だったが、徐々にその表情を険しくしていく。
「何で桜井さんが正孝が一人暮らししてるのを知ってるのかしら」
「私は二回正孝さんのお家に行ったことがありますので」
背筋に嫌な汗が吹き出し、目の前に立っている白石の顔がみれない。
確かに桜井は二回俺の家に来たことがある。
一回目は俺を助けたとき、二回目が今朝だ。
「何か言い訳はあるかしら」
「誤解です、勘違いです、俺は何もしてないです・・・・・・」
「そう、誑しは地獄に落ちなさい!」
白石から放たれる女子のものとは思えない重い拳で俺は頬を殴られ意識を一瞬にして失う。
その後我に返った白石が保健室に運んでくれたらしいが、意識を失った俺は放課後まで目を覚ますことはなく一人寂しくベットに横になっていた。
よければブクマ、評価お願いします!