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俺、トップに絡まれる

本日三話目です!

残りあと二話投稿します!

休み時間、授業が終わるとクラスメイト達は桜井の席に集まり質問攻めにしている。

やれ彼氏はいるのか、好きなタイプはだとか、どうでもいいような質問が桜井の席を中心に飛び交っている。

騒がしすぎて迷惑だが、いつも絡んでくる高橋が絡んでこないのが物凄く有り難かったりする。

少しの間の幸せだろうが絡まれないことがこんなにも幸せだとは思っていなかった。


「ねぇ、ちょっと話があるんだけどいいかしら」


貴重な俺の幸せをそんな言葉で破壊する者がいた。

白石美雪、カーストトップにしてお姉さまと呼ばれる人物だ。

もちろん俺はこの白石美雪と同じクラスになってから話したこともないし、接点もない。


「いつもは周りに人がいるけど、今はあの子に夢中みたいだから」


確かに白石美雪は一人でいることは少ない、いや見たことがない。

だからだろうか、カースト最下位の俺に話しかけるなら今しかないと思ったのだろう。


「ここで話すんですか?」

「いえ、少し場所を変えましょうか」


教室から出て行った白石美雪の後を追うようについていく。

幸いクラスメイト達は、転校生に夢中のようで誰一人俺が教室から出ていくのに気づく者はいなかった。



***


場所を変え屋上。

転落防止の柵に体を預けこちらに視線を向けている白石美雪。

何を話すでもなく、非常に居心地が悪い。


「あの、俺に話ってなんですか?」


正直言ってカーストトップの白石美雪が最下位の俺を呼び出してまで話すことはないと思っている。

普通の男子なら告白かもと浮かれるのだろうが、そんな勘違いは虚しいだけだ。


「昨日・・・・・・君が虐められてるのを見て、その後この柵の上から・・・・・・」


なぜ俺が見た夢の内容を知っているのだろうか、それとも夢ではなく本当にあったことだとしたら・・・・・・。


「噂で君が虐められてるっていうのは聞いたことがあったし君が時々顔に痣を作ってるのも見たことがある。 だから昨日君が虐められてるのを自分の目で見てやっぱりって、でもその後君がこの柵の上に登って飛び降りたのを見た瞬間、なんで見て見ぬふりをしたのか、自分は何かできたんじゃないかって思ったの。 でも・・・・・・あれ? 私何の話をしてるのかしら?」

「いや、それを俺に聞かれても・・・・・・。 とりあえず、順序立てて話せばいいんじゃないんですか?」

「そっそうね。 えっとまず、君が虐められてるのを知ってたのに見て見ぬふりをしてごめんなさい」


そう言って頭を下げる白石美雪、この光景をクラスの誰かに見られたら一部の人間に虐められているのが、クラス全員に変わりありもしない噂を流されるだろう。


「別に白石さんに謝られても、状況は変わらないし、虐めに加担してたわけでもないし謝らなくてもいいです」

「そうかもしれないけど、本当にごめんなさい。 それで、よかったらなんだけど私と、お友達にならない?」


なにがどうなれば友達になるなんて発想になるのだろうか、例えば友達になったとしてクラスの人はどう思うだろうか、確実に虐めは悪化し、なぜ友達になったかと疑問に思うだろう。

その結果、友達になった理由を俺が脅しただの、弱みを握っただの、勝手に思い込んで責めてくる。


「そういうのいいです。 白石さんと友達になる気はないです。 それに白石さん友達多いじゃないですか、そんな人がわざわざ俺と友達になる必要がないじゃないですか」

「えっと、君は私に友達が多いように思ってるの?」

「現にそうじゃないですか。 周りにいつも人がいて、クラス、いや学年の人気者でそんな人が友達がいない?  それこそ信じられません」

「君はそんな風に思ってるのね・・・・・・。 けど君のその考えは間違いよ。 だって私一人も友達いないもの。 確かに周りに人はいるけど、それって友達と呼べるのかしら? それに学年の人気者なんて私には興味ないわ」


何なんだこの女は、カーストトップにいるくせに、その地位には興味もなく周りにいる人を友達とも思わない。

いつも楽しそうに周りにいる人と話してたのは何だったんだ・・・・・・。


「そうね、君の勘違いを正すのにもう一つ。 私、人気者に躍起になって縋りつく人って大嫌いなの」


心底呆れたように、そしてどこまでも馬鹿にしたように言い放つ白石美雪。

こんな奴だとは思わなかったけど、ちょっとだけ共感できる部分もある。


「いい性格してるよ。 何でこんな奴がカーストトップの人気者なのかわからない」

「あっ砕けた話し方になったわね! それで君、いや河合正孝君、私の本音を聞いた君は私と友達になってくれるのかしら?」

「本音を聞いたところで友達にはならない。 もう少し自分の影響力を考えた方がいいぞ。 友達になったとして、迷惑を被るのは俺だ。 あと、友達は勝手になるもので、友達になりましょうなんて言ってなるもんじゃないだろ」


相手は人気者の白石美雪、そんなのと関わるとか学生生活を地獄にするようなものだ。

普通だったら喜んで白石美雪の誘いに乗るのだろうが、生憎俺はカースト最下位の虐められっ子、考え方は捻くれてるし、極力面倒なことになりたくはない。


「んじゃそゆことで。 友達にならないし、教室でも関わってくるなよ」


ちょうど予鈴がなり、何か言おうとしていた白石を放置して屋上から出ていく。

このまま後一年、何事もなく過ごしたい。

だからこそ、白石と関わることはできないのだ。

よければブクマ、評価、是非是非お願いします!

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