-蒼鏡と絳鏡の紡ぐ獏の夢-
如何も今日は。今回も分かり易いタイトルで御送りします。ってか只の動物ですよね。(失礼)
然う、獏です。あれじゃあないですよ。豚っぽい躯に像の鼻した円らな瞳をしたあの子じゃあないですよ。
夢を食べる子です。躯が熊で、像の鼻、目は犀で、牛の尾をしています。足は虎です。実際の子より随分と大きいみたいですね。でも犀の目って良く分かりますよね。(前もこんな戯言言った気がする。)
元は邪気や悪夢を払う力が毛皮にある―とか言った具合だったのが何時しか夢自体を食べちゃう子に。大きく成長しましたね。
獏は割と有名な筈なのに余話に出たの見た事が無いなーと思ったのでちょちょっと書いてみました。個人的にはまま、気に入ってる世界観です。落ち?知ってる癖にぃ~。
さて、そんな皆さんの安眠の味方の獏ですが、其の悪夢を見続ける彼等はどんな夢を見るのでしょうか。
絳鏡の沈まぬ世界に一人の旅人が居た
旅人は世界を見て来た
永遠の葩卉を揺らす凱風に乗って皓く輝く絳鏡を眺める
旅人は眠る事等無かった
こんなにも美しい世界を見ずに眠るなんて、馬鹿げた事だと思っていたからだ
旅人は歩き続けた
・・・・・
蒼鏡の昇る世界に一人の旅人が居た
旅人は世界を見て来た
見果てぬ零星を紡ぎ、皓く煌く蒼鏡を仰ぐ
旅人は眠り続けた
夢の旅程美しい物は無いと思っていたからだ
旅人は微睡み続けた
・・・・・
ある時、絳鏡の旅人は、仄日の世界の獏の蜃気楼に会った
ある時、蒼鏡の旅人は、月窟の世界の獏の夢を見た
獏は言った
他の世界へ行きたくないか、と
他の世界も屹度美しいに違いない
二人の旅人は肯定した
仄日の獏は言った
ならば汝の持つ鉄の懐中時計を渡せと
然為れば、他の世界の蜃気楼を見せようと
月窟の獏は言った
ならば汝の持つ銅の砂時計を渡せと
然為れば、他の世界の夢を見せようと
二人は鉄の懐中時計と銅の砂時計を獏に渡した
獏は其を食み、言った
蒼鏡と絳鏡が一巡りした時、汝を元に戻そうと
斯くして絳鏡の旅人は蒼鏡の世界へ、蒼鏡の旅人は絳鏡の世界へ赴いた
だが絳鏡の旅人は直ぐに飽いで来た
如何して斯うも何も無い世界なんだ
眠くて仕方ないと
蒼鏡の旅人も飽いで来た
色んな物が目に入り過ぎて全く眠れないと
二人は元の世界へ早く帰りたくなった
だが懐中時計を失った旅人は今の時を知る事が出来ない
砂時計を失った旅人は時が進んでいるのか分からない
永遠に絳鏡の昇らない、蒼鏡の落ちない世界で、旅人は只、時の終わりを待つのだった
-Fin-
はい、ま、ありますよね、こんな事。良いじゃん死んでないんだから。(何て言い草だ)
出出しで早速ですけれども今回特に余書く事ないんですけれど、まぁあれです、メルヘンな感じの世界を書きたかったのです。結構書き易かったのでちらっと丈続編?みたいなのを考えていたりいなかったり・・・。
ささ、ちゃちゃっと次回予告しましょう。此処で引っ張っても誰も得しません。
次は大好きな海蛇?さんです。フフ、あ、もう分かりました?フフ、フフフ・・・。
では良い物語を。