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黒龍の御子  作者: taka
第二章 剣と狼
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第17話 苦難、服屋


 なぜか微妙な距離感をかもし出している二人に首を傾げながらも、この後フィリアの服や日用品などの買出しに付き合ってもらえないかとキューリアさんに頼んだところ、快く引き受けてもらえた。


 キューリアさんが手早く引継ぎを終えてから三人でまずは服屋へと足を運ぶ。

 とは言っても俺は手持ちの服などで事足りていた為、服屋を利用してこなかった為場所がわからない。フィリアは言わずもかな。

 そんな訳で結局キューリアさんに最初から案内して貰う破目になってしまった。


 本当にキューリアさんにはお世話になりっぱなしだ。今度何かしら御礼をしないといけないな。


 そんな事を考えていると直ぐに目的地に到着。淡いオレンジに塗装された店の中に入ると、


 「おお~~~~~~」

 「わぁ~~~~~♪」


 外から見たよりも広く感じる店内に多数取り揃えられた多種多様、色とりどりの服の数々が並べられている。


 「中々の品揃えでしょう?ここでは一番大きな店なのよ。」


 そう言って手近にあった服を手にとる。


 「扱っている物も結構いいものだし、もちろん王都にあるものだとかだとさすがに見劣りしちゃうけれどね。ところで・・・」


 手に持った服を俺たちに見せてくる。


 「どういった物にするの?さっきの話だと私生活用のものと、ギルドの依頼をこなす時のものなんかも買い揃えるって事だったけれど。具体的にどういったものにする?」


 その言葉に俺も視線をフィリアの方に向ける。俺たち二人に視線を向けられたフィリアは、もうお馴染みという感じでおろおろしだした。

 「えっと、えぇっと。」と言いながらしばらく辺りをきょろきょろと見回していたが、やがてしゅんとなって俯いてしまった。なぜかその特徴的な長い耳もたれている。

 エルフの耳って感情によって動くんだろうか?そういえばさっき慌てていた時、若干上下に動いていたような・・・。気のせい?


 「す、すみません。その、数が多くでどれがいいのか・・・」


 そんなどうでもいいようなことを考えていると、おずおずといった風に言うフィリア。うん、確かに多いね。右を見ても、左を見ても、服、服、服、だもんね。

 そんなフィリアに苦笑していたキューリアさんは「どうする?」と言った風にこちらを向く。


 「俺も女性の服なんかはちょっと解らないので、さっきの通り普段着と仕事着をそれぞれ数着見繕って貰いたいんですけど。」


 俺の言葉に「う~ん」と、顎に指を添えながら少し考え込んでいたが、すぐさま手を叩きにっこりを微笑んだ。


 「よしっ!それじゃあお姉さんがきっちりフィリアちゃんのお洋服を選んであげましょう!」


 「は、はいっ。」


 「お願いします。・・・あ、そうだ。良かったらキューリアさんも欲しい服とかないですか?良かったら贈らせて欲しいんですけれど。」


 俺の言葉にキューリアさんは少し驚いた表情を浮かべるが、すぐさまにんまりと何やらなにやら怪しい笑みを浮かべる。


 「あらぁ~。リオスくんは私にもプレゼントくれるの?もしかしてお姉さんに気が在ったりして?」


 「違いますよ。今回は何かとお世話になったから、そのお礼です。」


 茶目っ気たっぷりなキューリアさんに苦笑で返す。そもそもお姉さんて。そんなに年齢変わらないはずだけれど。

 いや、でもまあ年上ではあるから良いのかな?


 俺の反応がおきに召さなかったらしく、あら残念、と言った風に肩をすくませるも、すぐさま笑みを浮かべる。


 「それじゃあお言葉に甘えて、私も一着貰おうかしら。っと、その前にフィリアちゃんのお洋服が先ね。さっ、行きましょうフィリアちゃん。」


 「あ、はい。」


 そう言って連れ立っていく二人を見送って_______________



 「こらこら、なに一人だけ関係ないみたいな顔してるの?リオスくんも来るのよ。」


 「えっ?でも俺は・・・」


 「女の子の服がわからないのと、選ばないのとはぜんぜん話が違うのっ。ほら、一緒に来た来た。」


 そんな感じで俺も引っ張っていかっれた。


 いかれたんだけれども・・・・・・





 「あ、これなんかどうかしら?」


 「とっても可愛らしいですね。リオスさまはどう思いますか?


 「うん、俺も良いと思うよ。」




 「う~ん、これは少し色が違うわね~。じゃあこれはどうかしら?」


 「あ、ホントですね。色合いが先ほどのものより綺麗です。」


 「でしょ~。ほらリオスくん、この服どうかしら?」


 「確かに綺麗な色合いですね。」




 「フィリアちゃん、これなんかどう?」


 「今着て見ますね。・・・っと、少しサイズが小さいですね。」


 「・・・・・・・・・」


 「(なんだかキューリアさんが怖い)」




 「これはちょっと地味ね~。逆にこっちは少し派手すぎだし。あ、フィリアちゃん。これはどう?」


 「これですか?わぁ、可愛らしいですね。リオスさまはどう思われますか?」


 「・・・え?あ~、うん。可愛いと思うよ?」




 「この服は動きやすくて弓を扱う時も問題ないはずよ。どうかしら?」


 「はい、動きを阻害する感じはないので大丈夫そうです。どうでしょうリオスさま?」


 「・・・うん、大丈夫だトオモウヨ。」




 「これはどうかしら。フィリアちゃんの銀髪が映えると思うんだけれど。」


 「本当ですか?着てみますね。・・・・・・っと。どうでしょう、リオスさま?」


 「・・・・・・ウン、キレイダヨ。」




 「う~ん、こんなところかしら?あらかた見てみたけど。」


 「はい、どのお洋服もみんな素敵なものばかりでした。」


 「ふふ、フィリアちゃんに似合うものが見つかってよかったわ。」


 「ありがとうございます、キューリアさん。」


 「・・・・・・・・・」




 な、長かった。


 そして疲れた。精神的に。物凄く。


 比喩でもなんでもなく、お店の服を全部見たんじゃないだろうか?そしてまた一つ一つ感想を求められるから気が休まらなかった。

 まさか女の子の服を買うのがこんなにも大変だったとは・・・。

 いやほんと、先頭なんて目じゃ無いくらい精神的に疲れた。


 結局フィリアの普段着4着、戦闘用3着を選び終わるまでにかなりの時間を費やした。

 それでもまあ何とか選び終わったし良かった。


 さて、それじゃあ会計を済ませて買い物の続きに行こう。














 「さて、それじゃあ今度は私の服を選ぼうかしら?せっかくだからリオスくんの意見もしっかり聞かないとね♪」




 ・・・・・・・・・あ゛


 

 

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