第15話 入浴?
フィリアside
リオスさまとキューリアさんが一通り話し終わった後、なぜか私はキューリアさんに別のお部屋に連れ出されました。お二人のお話の邪魔にならないようにずっと黙って聞いていたんですが、話がギルドのお話だったようで私にはほとんどわからず、途中からこれまでの事をつらつらと思い出していたのでどうしてこうなったのかが解りません。
リオスさまは「大丈夫だよ」と言って私を送り出したのですが、今の私にはリオスさま以外に頼れる人がいないのでとっても心細いです。
うぅ~、一体どこに連れて行かれるんでしょうか?
「は~い。じゃあお湯かけるから、目つぶってね~。」
「は、はいぃ~。」
言われた通り目をつぶると頭の上からお湯を掛けられました。掛けられたお湯で髪を洗っていた泡が洗い流されます。
「・・・うわ~。なにこの髪の毛。すっごく綺麗。」
「そ、そうですか?」
「ええ、とっても。洗う前から綺麗なんだろうな~とは思っていたけれど、ここまで綺麗な銀色の髪の毛なんてちょっと見たことないわね。」
そう言って後ろからキューリアさんが私の髪の毛を軽く触ってきます。この髪はおじいさんもおばあさんもよく綺麗だと褒めてくれたので好きです。こうしてキューリアさんにも綺麗だと言われると嬉しくなります。
キューリアさんに連れられてきた先はなぜかお風呂でした。訳もわからず混乱している私の服を手際よく脱がせてそのままお湯の入った浴槽に、半ば放り込まれるように入れられました。
最初は何がなんだか解らない私でしたが、家を出てから初めての温かいお湯に、次第に体から力が抜けて肩までつかっていました。そうやって呆けているうちに、服を脱いだキューリアさんも一緒に入ってきました。
浴槽は大きくて二人が入っても大丈夫でしたが、よくよく考えると私、おじいさんとおばあさん以外とお風呂に入るのはこれが初めてです。その事に気が付いた途端になんだか恥ずかしくなってしまいましたが、キューリアさんはそんな私のことには構わずといった風に、今度は私の髪や体まで洗い出そうとされたのでたまらず自分で出来ます!っていったんですけれど聞き入れて貰えませんでした。
人に体を洗ってもらったのは、ちっちゃいころ、おばあさんに洗って貰った以来です。くすん。
そうしてキューリアさんに色々洗われている間に、そもそもどうしてこうなっているのか聞かされました。とは言っても私が聞いていなかっただけみたいなんですけれど・・・。
何でも色々と汚れている私をお風呂に入れようにも、リオスさまの泊まっている宿にはお風呂がないらしくて、町にある湯所を使っているそうなんですが、そこに私を連れて行くのは色々と心配なのでどうすれば良いかとキューリアさんに相談したところ、だったらギルドにある職員用のお風呂を使わせてあげるという事になったそうです。
そんな訳で今私はキューリアさんと一緒にお風呂に・・・
「う~ん、それにしても体細いのに、この胸は・・・」
「へっ?っ、ひゃうんっ!?」
むっ、胸を揉まないでくださいぃ~。
キューリアside
よく磨けば光るなんて言葉があるけれど、実際に目の当たりにするととんでもないわね。灰かぶりならぬ泥かぶりといった状態だったのが、ものの見事に大変身。
まさに絶世という言葉が似合う美少女と言ったところ。未だにおどおどした態度が抜けきっていないけれど、それを払拭して余りある輝きがある。
私もエルフ族に出会うのは初めてだけれど、やっぱりこの娘のような美男美女なのかしら?これでこの娘はハーフだと言うのだから純血のエルフ達はどれほどの美しさなのやら。
私自身、容姿にはそれなりの自信を持っているし、結構な数言い寄られたりしているけれど流石にこの娘を見ていると自信をなくしてしまう。
それになにより・・・
「すみません。お洋服まで貸していただいて。」
「・・・ううん、いいのよ。ワタシノアマッテイタモノダカラ。」
お風呂からあがった後、彼女の着ていた服、と言うかもうほとんどぼろきれと言った具合のそれを着させるわけにもいかず、私の予備の服を渡したのだけれど。
「・・・っぅん。」
彼女が少し着心地悪そうに身じろぎする。実際私が渡した服は、ちょっと、サイズが合わなくて。
・・・ええ、ちょっとだけね。
彼女が身じろぎするたび、特にサイズの合っていないせいでくっきりとラインが浮き出てしまっているそれがゆさゆさ揺れるわけで・・・
そしてその服は自分にはちょうど良いサイズな訳で・・・
なのに私よりも小柄で細い体躯のはずなのにそこだけがぱっつぱつな訳で・・・
・・・・・・・そりゃね、風呂で見て、触って、大きいのは解ってたのよ?私だって決して小さいわけじゃなくて、むしろ平均より在る方なのよ?
だと言うのに、何なのかしらこれは?私よりもある?そんな事は百も承知。でもね、こうも自分との差を見せ付けられるとね?
どうしても、こう、あるじゃない?
「・・・?えっと、キューリア、さん?」
ああ、だめ。このどうしようもないこの気持ち。どこかにぶつけないと気がすまないっ。
「えっ、あ。へっ?ええと、あ、っひ、ひやあああああぁぁぁんっっっ!?!?」
やっぱり柔らかいなちくしょうめっ!




