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掌編小説

夢十夜~一夜~

作者: 斎藤康介

夏目漱石の夢十夜に影響され、見た夢を書きました。

 階段の先には祭壇があった。壊さなければならない。その思いだけが、体を突き動かしていた。これは予測した未来とは違う。けれど願った結末は迎えなければならない。それだけが望みなのだ。

 とても長い階段だった。ここはまるで青い空に浮かぶ孤島のようだった。人間が造り出した『聖地』という名の矛盾。間違っている。彼女ひとりが罪を背負う必要はない。われわれは各々自身で罪を負うべきなのだ。そしてそれを見つめ続けるのだ。誰かが苦しまぬように、誰かの苦しみを知るために。


「―――(りん)」空を人差し指と中指を立てた刀印で横に切った。それは静かな声であった。周囲を沈黙が支配する中、その声はよく響いた。

(ぴょう)(とう)……」縦、そしてまた横に切る。九事と呼ばれる呪法。縦と横、交互に空を切り、場に結界を張っていく。

(しゃ)(かい)(じん)(れつ)……」夫人は顔を歪めた。これは通常の九字とは異なる。本来の九字切りはまず横に一字を切り、続けて縦にきる。それを上から下に、左から右に九字を切るのである。しかし男は下から上へ、左から右に九字を切った。“逆さ九字”であった。


「馬鹿者ッ!おまえはすべてを台無しにするつもりか?!」

 逆さ九字、破邪の法。

「……(ざい)(ぜん)

 最後の印を切る。

「破ッ!!」切った九字の右上に気合いを足す。

 結界に命令が下す。

「一槌ッ!」

 空間が次々と破壊されていく。

 空が割れた。

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