第7話:狂愛の防衛戦
アルベルトが放った一撃は、騎士団の先遣隊を一瞬で氷像へと変えた。
あまりの力の差に、エドワードの顔から余裕が消え失せる。
「……化け物め、これほどの力を持っているとは! だが、聖女の力が混ざっているのなら、これでおしまいだ!」
エドワードが懐から取り出したのは、赤黒く脈打つ「魔力喰らいの枷」だった。
それは、相手が放つ魔力が純粋であればあるほど、その主を縛り上げる禁忌の古代遺物。
「行けッ!」
放たれた黒い鎖が、大気を切り裂いてアルベルトに襲いかかる。
アルベルトはそれを氷の盾で防ごうとしたが、鎖は氷をすり抜け、彼の腕に食い込んだ。
「ぐっ……!? これは……」
「ははは! それは愛し合う者同士の魔力を餌にする呪具だ! 貴様らが深く想い合えば合うほど、その鎖は貴様を内側から引き裂くのだ!」
アルベルトの膝が折れる。
彼の腕から、浄化の光と冷気が無理やり引き剥がされ、鎖が赤く発光した。
「アルベルト!」
私は叫び、鎖に縛られた彼に駆け寄ろうとした。
だが、その時――。
私の胸の奥から、これまで感じたことのない激しい「熱」が爆発した。
それは守られるだけの令嬢の力ではない。愛する者を傷つけられた怒りが、私の「聖女」としての力を、真の姿へと変貌させていく。
「……私の大切な人に、触るな!!」
私の叫びと共に、氷晶城の空が黄金色に染まった。




