第14話:広がる証明──村から世界へ繋がる医の灯
ご覧いただきありがとうございます。
今回の話では、リクトたちが村を越えて「王都」へ向けた動きを加速させていく中で、
医療の意義と、それを守り続けてきた仲間たちの心が丁寧に描かれます。
村で生まれた“医学”という選択が、信仰や癒術の枠を超えて、次にどこへ届くのか。
静かに、しかし確かに、未来への扉が開かれ始めます。
どうぞ最後までお付き合いください。
診療所の裏庭に、今日も小さな椅子が並べられていた。
集まっているのは、村の若者たち。農家の子、商人の弟子、孤児だった者──年齢も背景もバラバラだが、皆に共通しているのはただ一つ。
“リクトの治療を目にして、自分も人を救いたいと思った者たち”だ。
「……えー、というわけで、今日のテーマは“感染”についてだ」
俺がホワイトボード代わりの大きな羊皮紙を掲げると、若者たちの目が一斉にこちらを向いた。
「人の体には“目に見えない敵”がいる。風邪、熱、腫れ、下痢……原因は魔力の乱れでも呪いでもない。小さな生き物──“病原体”だ」
「びょうげん……なに?」
「目には見えないけど、体の中で悪さをする連中だ。それが傷口に入ると膿む。口から入れば下痢になる。だから、“清潔”が大事になる」
その説明に、最前列に座っていた少年が手を挙げた。
「でも先生、癒術でも“浄化魔法”ってありますよね? それで病原体も消せるんじゃ?」
「いい質問だ。癒術が効くこともある。“魔力が作用する種類の病原体”に対しては、確かに消毒効果がある」
俺は頷いて続ける。
「だが、それは“万能”じゃない。“火で炙る”“湯で煮沸する”“薬草の力を使う”──魔法以外にも病原体に有効な方法はある。それを学ぶのが、今日の授業だ」
後ろで見守っていたセリアが、ぽつりと呟いた。
「こうやって“教える”先生って……なんか、王都にいた時と雰囲気違いますね」
「そうか?」
「うん。“言葉を渡す人”っていうか……“大人”って感じ」
「……それ、褒めてるのか?」
「もちろんですっ」
元気に笑うセリアに苦笑しつつ、俺はふと、教室を見渡した。
この数ヶ月、俺は“治療”ばかりしてきた。
けれど、それだけじゃ足りないことに、ようやく気づいた。
命を救う手が、俺一人では足りないなら──
“育てるしかない”。
「……次の項目に入るぞ。“手洗い”と“器具の煮沸”について。まずはセリア助手、実演頼む」
「はーい!」
セリアが用意した鍋に水を張り、薪に火をつける。
熱せられた湯がぐらぐらと泡を立てる様子に、生徒たちがざわついた。
「水が沸騰することで、中にいる病原体が死ぬ。だから治療器具は、これで“清める”んだ」
「魔法じゃないのに、そんな効果があるんだ……」
「“科学”ってやつさ。根拠があるんだ。“信仰”じゃない。“観察と記録”が支えてくれる」
ふと、一番後ろで黙っていた青年──元盗賊のカイが、低い声で言った。
「……その“記録”って、そんなに大事か?」
俺は彼を見やった。
「カイ。“助けられる側”だったお前が、こうしてここにいる。それを支えてきたのが“知識”と“記録”だ。医療は、過去の積み重ねなんだよ」
「……ふん。なら俺も、少しは“積む側”になれるかね」
「なるさ。手を動かして、知識を書いて、人を見て……時間はかかるが、必ず形になる」
講義の終盤、生徒たちに課題を出す。
「今日学んだことを、明日までに“誰か一人に教えてこい”。内容は簡単でいい。“病原体がいるから手を洗おう”──それだけでもいい」
「それって、授業の“宿題”ですか?」
「違う。“伝える”という訓練だ。医療は独り占めするものじゃない。人に渡して初めて、命の役に立つ」
夕暮れが近づく頃、生徒たちはそれぞれ帰っていった。
机を片付けながら、セリアがぽつりと言った。
「伝えるって、治すより難しいですね……」
「そうだ。“言葉”は、治療より繊細だ。けど、ちゃんと届けば──何人分もの命を支えられる」
──だから俺は、教える。
“科学”を、“癒し”を、そして“命の尊さ”を。
村の教室は小さい。
だが、ここから広がる未来はきっと、どんな王都の塔より高い場所へ届く。
その日、診療所は朝から妙な緊張感に包まれていた。
理由は単純だ。村の門に現れた“訪問者”の姿──
それが、人間ではなかったからだ。
「……あれは、魔族、ですよね」
セリアが診療所の窓から外を覗きながら、小さく息を飲んだ。
黒髪に深紅の瞳。身長は十歳くらいの人間の少女と変わらないが、背には膜状の小さな翼、頭にはわずかに湾曲した角が生えている。
「見た目だけなら“可愛らしい少女”だが……この村じゃ、ただそれだけで問題になるな」
「村の人たち、騒ぎ始めてます。“なんで魔族が”って……」
「……対応する。診療所に来るということは、患者なんだろう」
すぐに扉がノックされた。
開けると、立っていたのは中年の男性──王都の癒術院関係者らしい旅装の男と、その傍らに例の魔族の少女がいた。
「失礼。俺はバルスと申します。この子は“フィネ”。ある“症状”の件で、先生に診てもらいたくてお連れしました」
「診療所へようこそ。中へ」
俺は一切の迷いなく、扉を開けて彼らを通した。
──たとえ誰であれ、“診療を求める者”を拒む理由はない。
フィネは小さくお辞儀をしてから、用意された椅子に座る。
肌は透けるように白く、指先が少し赤く腫れているのが目に入った。
「症状を教えてくれ」
「……火を吸いすぎると、胸が苦しくなるの」
「火を……吸う?」
バルスが代わって説明した。
「フィネは魔族の中でも“熱を吸収する器官”を持って生まれました。炎を取り込むことで生理機能を保つ……しかし、ある時期から“熱を溜め込んだまま処理できなくなる”ようになり、周期的に強い発熱、痙攣、意識混濁を起こします」
俺はすぐにノートを取り出し、手早くメモを取る。
──代謝異常? あるいは熱エネルギー処理の障害?
「これまで何度か癒術で対処されたそうですが、“魔力干渉”が逆効果になってしまうらしく……」
「魔法が“症状を悪化させる”タイプの体質、か。なるほどな……」
俺はフィネの脈を取り、目の動き、舌の色、皮膚の温度を確認する。
異常な発汗と呼吸頻度、そしてなにより──体温が妙に“低い”。
「……これは、“冷え”じゃない。“排熱ができない”状態だ。まるで鍋の蓋を閉じっぱなしで火にかけたまま、蒸気の逃げ道がない」
「……苦しいのは、火が足りないからじゃなくて、外に出せないから、なの?」
フィネの声は、わずかに震えていた。
「セリア、すぐに“冷却シート”と、冷水布を。あと、胸を締めつける衣類がないようにしてくれ」
「わ、わかりました!」
急いで処置を始める。
だが、この症状の根本には、“種族そのものの代謝機構”がある。
“癒術”では届かない。だが“科学”で全て解決できるわけでもない。
「先生……この子、治るんですか?」
セリアが、布を交換しながらそっと問う。
「……正直に言えば、“完全な治癒”は難しい。器官そのものが異常なんだ。けれど、“苦しまないようにする方法”はきっとある」
「……ありがとう、ございます……」
フィネが、泣きそうな声で言った。
“治らない体”。
医者にとって、それは常に壁だった。
だが、治せないからと言って、手を離していい理由にはならない。
俺は彼女の頭をそっと撫でる。
「フィネ。お前の体は、人と違う。でも“異常”じゃない。だから、恐れなくていい。“できること”を、一緒に探していこう」
その言葉に、フィネは小さく──けれど確かに、頷いた。
数時間後。症状が安定し、彼女は控室で休むことになった。
その夜、日誌にこう記す。
> 治せない病は、必ずある。
> だが、“支えられる命”は、常に存在する。
> 医者はそれを、見捨ててはならない。
この村に、また一人、診るべき患者が増えた。
それは、“未来の医学”が挑むべき、新たな扉の始まりだった。
翌朝、診療所の外はざわついていた。
理由は明白だった。
──魔族の少女がこの村に“泊まっている”。
その事実が、あっという間に広まったのだ。
「なあ、聞いたか? 診療所に、魔族の子がいるって……」
「なんでそんな奴を……! 村に災いを呼び込む気かよ!」
「いや、でも先生が診てるってことは……ただの患者なんじゃ……」
声は、噂とともにすれ違い、尾ひれをつけて広がっていく。
診療所の中では、フィネが毛布に包まりながら静かに眠っていた。
夜中に一度、熱がぶり返したものの、冷却と水分補給でなんとか安定している。
「体はまだ不安定だけど、昨日よりはずっと落ち着いてる。脈も安定してるし、吐き気も止まった」
俺はそう診断しながら、カルテに記録をつけた。
「……けど、村の空気が怖いです」
セリアが小声で言う。
彼女にしては珍しく、口調が重い。
「外で、“なんで魔族なんか診るんだ”って、言ってる人がいた……」
「想定の範囲内だ」
俺は淡々と返す。
「人は、自分の理解できないものを恐れる。“癒術が効かない体”も、“火を吸う器官”も、この村にとっては“異常”に映る」
「でも、フィネちゃんはただの子どもだよ……?」
「それでも、“種族”という枠を超えて見るのは難しい。“違う”というだけで、壁ができる」
その時、診療所の扉が叩かれた。
「……先生。少し、よろしいか」
現れたのは、ゴルド村長代理だった。
背後には数人の村人。誰もが、複雑な表情をしていた。
「中に、魔族の子がいると聞いた」
「いる。名はフィネ。王都から紹介を受けた患者だ。昨日、代謝異常による熱発作で倒れた」
俺の言葉に、村人たちは互いに顔を見合わせた。
「魔族……我らの先祖が戦った相手だ」
「それでも、“患者”だ。癒術では対応できない体を持ち、命に関わる症状を抱えてる。俺の診療所は、“誰でも診る”。それはもう、決めたことだ」
沈黙。
やがて、ゴルドが静かに口を開いた。
「……先生。わしは、あなたを信じている。だが、村人すべてが“割り切れる”わけではない。……どうか、“守り方”を考えてくれぬか」
その言葉に、俺はわずかに頷いた。
「わかった。“開かれた診療所”は守る。“閉じた安全”にせず、“信じられる場”にする。……そのためにも、誤解は一つずつ解いていくしかない」
セリアが、小さく手を挙げた。
「じゃあ、あたしがみんなに話すよ。“フィネちゃんがどんな子か”って。私が患者だったとき、先生が信じてくれたみたいに──今度は、私が伝える」
ゴルドは目を細めて、しばらくセリアを見つめたあと、ゆっくりと頷いた。
「……なら、ひとまずは任せよう。わしからも村に伝える。“診療所の判断に、干渉はしない”と」
村人たちが帰ったあと、俺は診療室に戻り、静かに眠るフィネを見下ろした。
「……“種族の壁”は厚い。けど、医者が見ているのは“命”であって“名前”でも“出自”でもない」
その夜。
日誌の最後に、こう書いた。
> 変化には、静かな勇気が必要だ。
> 恐れに支配される前に、信じるための“証拠”を積み重ねていく。
> 俺の医療は、それを諦めない。
──次に救う命は、どんな偏見の中にあるのか。
それすら楽しみに思えるほどに、俺はこの村と向き合う覚悟を、もう決めていた。
朝、診療所の窓を開けると、少し冷たい風が入り込んできた。
村の広場にはいつも通りの人影がある。
洗濯物を干す老女、牛を連れて行く男、子どもたちの笑い声──
けれどその空気の中に、昨日までとは微かに違う“波”が混じっていた。
「……あの魔族の子、まだ診療所に?」
「らしい。でも、悪さはしてないって」
「先生が診てるなら、大丈夫……かな」
否定から、疑念へ。
疑念から、警戒へ──
そして、ようやく今、“観察”へと変わり始めた。
診療所の中、フィネはテーブルに座り、静かにスープを啜っていた。
「……おはようございます」
「おはよう、フィネ。調子はどうだ?」
「昨日より、胸が軽い気がします……でも、少し寒い」
「そうか。まだ体内の熱が均等に抜けきっていないな。代謝の不安定さはあるが、表層の炎症反応は落ち着いている」
俺は彼女の脈を取り、顔色を確認する。
血色は昨日より良い。皮膚の乾燥も減ってきた。食欲が戻ってきたのが何よりの好兆だ。
「今日は少し、診療所の外に出てみないか?」
「……え?」
「外の空気に触れることは、治療の一環だ。もちろん俺かセリアが付き添う」
フィネは少し悩んだあと、こくりと頷いた。
午前中。
診療所の前のベンチに、フィネとセリアが並んで座った。
俺は少し離れた場所で、広場の様子を見守っていた。
最初に通りかかったのは、果物を持った老婦人だった。
ちらりとフィネを見たあと、足を止め──
「……その子、魔族なんだってね」
セリアが立ち上がり、少しだけ緊張した声で答える。
「はい。でも、“患者”です。高熱のせいで苦しんでいて、先生が診てます」
「そう……。あんたがついてるなら、まあ、少しは安心だよ」
老婦人はそう言って、フィネの足元にそっとリンゴを置いていった。
フィネはそれを見て、まるで触れてはいけないもののように戸惑った表情を浮かべる。
「……これ、どうして?」
「村の人、きっと気になってるんだよ。怖いって思ってても、見に来る。話してみたい。でも、どう話しかけたらいいかわからない」
セリアは優しく答えた。
「先生が、あたしにそうしてくれたみたいに……今度は、あたしが誰かに伝える番だって思ったの」
昼過ぎ、数人の子どもが広場に現れた。
「ねーねー、あれ魔族の子でしょ?」
「角がちっちゃい! 可愛いじゃん!」
「熱吸うんだって!」
フィネが少し身体を固くする。
セリアが言葉を挟もうとした瞬間──
「……あたし、火を吸えるよ」
フィネが、自分から口を開いた。
子どもたちは目を丸くした。
「ほんとに!? 火って……どうやって?」
「……うまく説明できないけど、火のそばにいると、体の中があったかくなるの。でも、吸いすぎると、熱くなって苦しくなる」
「……なんか、“ストーブの中に閉じ込められる”みたいな感じ?」
「……うん、近いかも」
子どもたちは“魔族”というフィルターを通さず、“不思議な体を持つ友達”としてフィネに接していた。
俺は、ゆっくりと息を吐いた。
“壁”は、まだ残っている。
けれど、それに手をかける人間が、少しずつ──確実に、現れ始めている。
夕方。
診療所の裏で、フィネが空を見上げながら言った。
「……あたし、村に来てよかった。怖い目もあったけど、ちゃんと見てくれる人もいた」
「人は、理解できるものしか信じない。でも、“信じようとする気持ち”さえあれば、それは届く」
俺はそう答えながら、彼女のカルテに書き添えた。
> “治療”とは、体を癒すことだけじゃない。
> “存在”を認めることもまた、医療の一部だ。
この村は、まだ発展途上だ。
だけど、“命を見つめる眼”が育ち始めている。
それは俺にとって、何よりの希望だった。
夕暮れの空に、淡い茜色がにじむ頃。
診療所の裏庭では、焚き火の準備が静かに進められていた。
「木材は乾いてる。薪の組み方もこれでいい……セリア、火打石は?」
「はい、これです。えっと、でも、フィネちゃんが火を吸っちゃうって話だったら……焚き火、危ないんじゃ?」
「実験だ。少量の火なら、彼女の“体の反応”を確認できる。危険性を確かめずに、いつまでも“隔離”するわけにはいかない」
焚き火──といっても、本格的なものではない。
調整された小さな火皿に、手のひらサイズの乾燥枝と草。点火後も火力が広がらないよう、石の囲いで完全に制御された状態だ。
フィネは少し離れたベンチに座り、不安そうな顔で俺たちの準備を見守っていた。
「フィネ。無理はさせない。ただ、少し近づいて、自分の“体”を観察してほしい。自分の中に何が起きているかを、ちゃんと知ることは、治療への第一歩になる」
彼女は黙って頷いた。
その小さな足が、火皿へと近づく。
セリアが息を飲んだ。
俺は慎重に火打石を打ち、火をつけた。
草がぱち、と小さく音を立て、青白い炎がひと筋、立ち上がる。
──その瞬間だった。
空気がわずかに揺れた。
火が、“吸い込まれるように”消えた。
まるで、何者かがそっと口を当てて吹き消したかのように。
セリアが目を見張った。
「……今の……」
フィネの体が、わずかに震えていた。
顔が赤くなり、こめかみに汗が滲む。
だが、本人は苦しむ様子もなく、ゆっくりと胸に手を当てていた。
「……あったかい。すごく、落ち着く……」
「痛みは? 胸の苦しさは?」
「ない。すうっと、体の中に“熱”が広がったの。前みたいに、暴れる感じじゃない……」
俺は慎重に彼女の脈と瞳孔を確認する。
異常なし。体温は、むしろ安定していた。
「……火を“摂取する”こと自体は問題じゃない。問題は“処理しきれなかった時の蓄積”だ。今の程度の炎なら、逆に“体調維持”に使える可能性がある」
「つまり、火を“上手に与えれば”健康にもなるってこと?」
「その通りだ、セリア。“毒にも薬にもなる”とは、まさにこのことだ」
焚き火がもう一度、小さく灯される。
今度は、フィネがそっと手を差し出した。
まるでそれが、特別な贈り物でもあるかのように。
「……あたし、怖かった。自分の体が、なんでこんな風になってるのかも分からなくて……ずっと、誰にも触れられなかった」
「フィネちゃん……」
「でも、先生が言ってくれた。“違うだけで異常じゃない”って。それが、本当に……嬉しかった」
セリアが、そっとフィネの手を握った。
「……あたしも、前に“普通じゃない”って言われたこと、いっぱいあるよ。体が弱かったとき、村の人から後ろ指さされた。でも、先生が助けてくれた。だから今度は、あたしが“隣にいる”」
火のない焚き火。
それは、恐れを消した炎の象徴だった。
見えない火──それでも確かに温かい火が、そこにあった。
夜空の下で、二人の少女が並んで笑う。
それを見届けながら、俺はそっと日誌に書き記した。
> 火を吸う少女に、“灯す火”を教える。
> 燃やすためじゃない。温め合うための火だ。
> 医療とは、時に“体”ではなく“心”を調整する技術でもある。
俺たちの“診療所”は、医療の場であると同時に、
“信じてもらえなかった命が、もう一度信じられるようになる場所”でもあるのだ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今回の第14話では、村の医療が“王都へと繋がっていく”ための準備と、その裏で揺れ動く仲間たちの思いを中心に描きました。
セリアの成長と揺れ、ティマの視点、そしてリクトの不変の覚悟──
外へ出ることは、ただ物理的に動くだけではなく、“何を背負って出るのか”を問うことでもあります。
次回はいよいよ王都入り直前。
新たな出会い、そして再び問われる「医学とは何か」が描かれていきます。