その一
どこにでもいる人。しかし、その人は他の人とは少し違っていた。
(あ〜、お腹減った。ファミレスでも入るか? いや、ハンバーガーも食べたい)
と、思いつつ。
(う!)
説明しよう。一人で飯を食べる事に恐怖するこの精神、誰かに「あの人一人だよ」と笑われるのではないかと自意識過剰になる状態!
(コンビニで済ますか……)
これを、コンビニ症候群という!!
ちょっとイケメンな男子がいた。小学生の卒業式、好きな女の子に告白しようとするも用事があり、急いでいた。結局告白はせず終わる。今思うと、この時告白でき、成功していたら人生は大きく変わっていたであろう。
中学生になった。男女制服。その大人びた女子に男子はドキドキした。男子の名前は【初雪白金】。皆からは【ゆっきー】と呼ばれている。
「おい、ゆっきー!」
「うん?」
これが男子から声をかけられた時。
「ねぇ、ゆっきー!」
「……」
これが女子から声をかけられた時。本当は同じように応えたかった。でも、制服マジックよ! ゆっきーは女子に目を合わせる事さえできなかった。すっかり女子恐怖症になった。
時は経ち、ゆっきーは新社会人へ。それに伴い家を出て一人暮らし。
「よーし! 頑張るぞー!」だが未だ童貞。
ピンポーン! と、チャイムが鳴った。インターホンに出る。
(うわっ、女性じゃねぇか! し、しかも、美人だ!)
「は、はい!」
『すみません、隣の【小坂】です』
あわわわわ。まだ隣へは引っ越しの挨拶をしていなかった。
ガチャ!
「すすすすみません! ははは、初雪と申します!」インターホン越しなら緊張もしなかっただろうに、バカなゆっきーはドアを開けてしまった。
「大丈夫ですか? 慌てさせちゃったかしら?」
「だだだ、大丈夫です!」
「良かった。良い人そうで」くす。っと笑う笑顔がまた可愛らしくもろに童貞殺しだった!
「?」
声が出ない。緊張し過ぎだ。ドアノブを掴み、バタン! と、ドアを閉じた。失礼過ぎる。ドアの向こうでは小坂が「あのー」と、言っているが心拍数が異常になり、過呼吸を起こし……。
救急車で運ばれた。笑笑。
「あれ? ここは……」見慣れない景色。一人暮らしを始めたがこんな天井だったか? と、自問自答する。
「白金!」
背の高い中年男性が向かってきた。父だ。
「心配したのよ!」
小太りの中年女性、母だ。隣にずっといた。
「一体何が?」
ゆっきーはことの経緯を両親から聞いた。過呼吸で倒れたゆっきーを小坂が救急車呼んで、一晩中気絶していて、やっと目が覚めたとのこと。




