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異世界転生・転移の文芸・SF・その他関係

国ごと異世界転移した日本、隣国に侵略される

作者: よぎそーと
掲載日:2023/05/12

 脈絡もなく日本は異世界に転移した。



 国土ごと異世界に移っていった日本。

 出現した場所はファンタジーというのがふさわしい世界だった。

 中世……少なくとも産業革命前のヨーロッパの様相をした国々。

 存在する魔術とモンスター。

 どこからどう見てもファンタジー世界だった。



 そんな世界の大陸に近い位置に日本は出現した。

 早速、他国との接触を求め、日本は大陸に渡った。

 食糧に資源、早急に輸入しないと国民生活が潰滅するからだ。



 しかし、異世界はあまくはなかった。

 基本的に産業革命前の世界である。

 石油などの資源が採掘されてるわけがない。

 あるにはあるが、燃料としてさほど用いられてるわけではない。

 引火や爆発の危険が大きいからだ。

 使われてるのはせいぜい石炭。

 それとて、日本が必要とするほどの需要があるわけではない。

 採掘量は少ない。



 食糧も日本が求めるほど生産されてるわけではない。

 そもそも農業技術が違いすぎる。

 品種改良に肥料、その他を含め、日本の農業生産力は図抜けている。

 それに比べれば異世界の農業生産力は低い。

 人口を維持するギリギリ程度の生産力しかない。

 というより、生産できる食糧ギリギリの人口しかいない。

 余ってる農作物などあるわけがない。



 そんな異世界の国々が日本の求める量を提供出来るわけがない。

 仮にそれだけの在庫があっても、日本が対価を提供できるわけもない。

 この世界の通貨などを持ってるわけがないのだから。

 通貨以外の価値あるものを提供できるわけでもない。



 あるとすれば知識や技術。

 これ以外に与えられるものはなかった。

 やむなく日本は技術や知識を小出しにしていく事になる。

 日本からすれば何百年も前のもの。

 しかし、異世界からすれば最先端を凌駕するもの。

 それを提供していくしかなかった。



 それで異世界の国々に目をつけられた。

 日本の内情も少しずつ知れ渡っていくのも災いになった。

 異世界に転移して10年。

 日本は異世界の国に侵略された。



 単純な戦力を見れば異世界の国が勝つ可能性は低い。

 しかし、転移後の日本の実情を分析した国は、「勝てる」と踏んだ。



 まず、転移後の物資不足で日本はかなり衰退した。

 食糧不足による飢え死に。

 そうはなるまいと発生した奪い合い。

 これにより、人口は3000万人にまで減少した。



 この人数は江戸時代の頃とほぼ同じである。

 石油などがない時代の技術で養える限界といえる。

 ここまで減って、ようやく奪い合いが大幅に減った。

 食うに困る事はないからだ。



 だが、そんな状態の日本が国力を維持できるわけもない。

 知識や技術はある程度記録されてるが、担う者が大幅に減った。

 当然、喪失してしまう経験則などもある。

 これらが日本の知識・技術水準を大きく落とす事になる。

 それでも、一般的な生活が昭和初期くらいになる程度で済んでいるが。



 単純な国力はこれだけでもかなり減少している。

 それでも戦争になれば異世界では歯が立たない可能性は高かった。

 だが、これを覆す条件が日本にはあった。

 憲法である。



 当たり前だが、日本国憲法は戦争を禁じている。

 自衛隊という戦力があろうがなかろうが、そんなものに何の意味もない。

 少なくとも法律からすれば、戦争そのものが不可能になっている。

 いかなる解釈をしようが、そんなものに何の意味もない。

 厳然たる事実として、日本は戦う事ができない。



 法律による訂正・修正もされていても意味がない。

 仮にされていても、憲法に従う以上どんな法律があろうと戦闘禁止を覆す事は出来ない。

 憲法に逆らう法律など存在してはいけない。

 仮にあったとしても憲法で即座に存在を抹消される。



 もちろん、一部の部隊はこのようなものを無視して行動する可能性はある。

 だが、国として戦争を認める事は無い。

 戦えば間違いなくその部隊・兵士個人は法律によって裁かれる。

 裁くために取り締まりが行われる。

 少なくとも、日本国内はこれで分裂する。



 国会議員などの政治家からして戦争反対の者が多い。

 一般人にも戦争反対の者は多い。

 そのような者達が戦争をさせないように動く。

 ここでも日本国内で分裂が発生する。



 仮に戦うにしても、手を出したら取り締まり対象。

 犯罪者になる。

 相手から攻撃されるまで手出しできないのが日本だ。

 自衛隊は一方的に殺されるしかない。



 攻撃されれば反撃は出来るのは確かだ。

 だが、攻撃されるということは、殺されるという事だ。

 死体がどうやって反撃をするのか?

 異世界にある魔術を使い、死体をゾンビとして再生させるのか?

 そうでもしなければ、自衛隊が合法的に戦う事はできない。



 極端な話、国内に敵国の軍隊が侵入してきても戦う事は出来ない。

 やるとしたら威嚇くらい。

 だが、威嚇しかしないのだから何の意味もない。

「やるぞ、やるぞ!」と言ってるだけの人間に何が出来るのか?



 実際、厳格に法律を適用するならこうなる。

 さすがに入国管理関係の部署は動くだろうが。

 しかし、それとて対処できる人数に限界はある。

 動けるのが入国管理に関係する機関だけで、他が動けないなら全てに対応出来るわけがない。



 警察が動くかもしれないが、それも厳密に取り締まれるかどうかは悩ましい。

 不審人物として逮捕は出来るだろうが。

 しかし、交戦が出来るわけではない。

 銃器で武装してるので、異世界の軍隊相手でも戦えるかもしれない。

 だが、警察の銃器使用の厳しさを考えれば、これも難しい。

 犯罪者相手でも銃を使う事が糾弾されるのが警察だ。

 なので、使える武器は警棒くらいの可能性がある。

 下手すれば、襲われて銃を奪われる可能性の方が高い。



 こうした事を考慮して、異世界の国は攻めこんだ。

 その目論見は成功した。



 法律に縛られて自衛隊は何も出来ない。

 大量に押し寄せる船を海上で止める事も出来ない。

 これは海上保安庁も同じだ。

 何百どころか何千隻という数で押し寄せる敵の全てを押しとどめる事はできない。

 一応、押し寄せる敵船に乗り込み逮捕を試みる。

 しかし、それもすぐに反撃を受ける。



 その反撃をもって自衛隊が動ければよいのだが。

 あくまで警備行動の一環として処理された。

 攻めこんできた敵軍ではなく、不法に入国をする者達として。

 これには自衛隊を決して動かそうとしない国会議員をはじめとする者達の働きがあっての事だ。

 有識者やマスコミも動く事を糾弾していたのも大きい。



 実際、自衛隊が動く法的根拠はない。

 国会議員が自衛隊の防衛行動を止めてるのは憲法をはじめとした法律からすれば正しいのだから。



 国内に敵軍が入ってきてもどうにもならない。

 警察が動くも、まともに取り締まりが出来ない。

 銃の使用も厳禁なので、警棒で取り締まるしかない。

 そんなものが鎧兜や盾、槍に剣に弓で武装した兵士にかなうわけがない。

 警察は次々に殺され、拳銃が奪われていく。



 当然、国内の敵軍の行動も侵略ではなく治安の一部とされた。

 不法入国した犯罪者として扱われる。

 自衛隊の出動は全て遮られていく。

 仮に出動しても、何か出来たわけではないが。



 さすがに一部の自衛隊部隊は動こうとした。

 だが、自衛隊内部でまず騒動になる。

 同じ部隊の兵士同士で衝突が発生する。

 法律をもとに動く警備部隊と、出動しようとする部隊での衝突も発生する。



 それを乗りこえて出動しても、今度は警察との衝突が発生する。

 警察からすれば当然の行動だ。

 かくて警察と自衛隊での衝突が始まる。



 仮にそこを乗りこえたとしても、戦闘らしい戦闘にはならない。

 出動できた自衛隊有志の数は少ない。

 どんなに多くても一個中退、おおよそ100人程度。

 大半が一個小隊である30人あまりにもならない。

 たったそれだけの人数で何千・何万という敵軍を撃退できるわけがない。



 また、補給や補充がない。

 勝手に出動しただけなのだ。

 自衛隊の支援があるわけがない。

 出来るだけの銃弾などを持ち出しているが、そう多くを持ち出せるわけでもない。

 何回か戦闘を繰り返せば銃弾を撃ち尽くす。

 そうなれば、銃器による優位性は無くなる。

 接近戦になれば、自衛隊の装備による優位性などほとんどなくなる。



 この時点で自衛隊有志は終わった。

 多くても100人の部隊では、数千人の敵軍に囲まれて潰える。

 あとは警察と同じ末路をたどる。

 殺されて、装備を全て奪われて終わった。

 ある意味、敵軍に武器を提供した、補給をしてるだけといえる。



 そうした小さな騒動があっても、敵軍は円滑に日本各地を制圧していく。

 それこそ自衛隊基地にすら侵入し、装備品などを強奪していく。

 さすがにこれには自衛隊も抵抗しようとしたが、政治と法律が許すわけがない。

 戦わずして自衛隊基地は占領されていく。

 武器弾薬を全て奪われて。



 そうして全ての自衛隊基地が制圧されてから、敵軍は動き出す。

 手に入れた銃器で自衛隊を皆殺しにして。

 警察も撃ち殺していく。

 さすがに戦闘機や戦車は動かせなかったが。

 歩兵が持つ装備は扱える。



 それだけで充分だった。

 自衛隊の持つ歩兵用の現代兵器を手にした敵軍はそのまま国会を制圧。

 皇居の天皇・皇族も捕らえていった。



 完全に迎撃能力を失った日本に、敵国は更に乗り込んでいく。

 各地に出向き、知識や技術を強奪。

 男は殺して、女は犯すという略奪も当然行われる。



 技術者や科学者などはすぐには殺されない。

 だが、必要な技術や知識を吸収したところで殺されていった。

 敵国からすればいつ裏切るか分からない存在だ。

 生かしておけばどこかで脅威になりかねないのだ。

 必要がなくなれば処分するのが妥当な対応だ。



 国会議員などの政治家に官僚・役人なども同じだ。

 生かしておく理由がない。

 たとえそれが、自衛隊などの動きを止めていた者達もだ。

 たとえ裏切りものだろうがなんだろうが、敵国の人間など信用できるものではない。

 重要な地位にいる人間なら特に。

 何かしら不穏な動きをしだす前に殺した方がよい。



 天皇・皇族も同じだ。

 侵略が成功すれば確実に殺す必要があるのが皇族・王族だ。

 象徴的な存在などという日本の都合など関係がない。

 生かしておくのが最も危険な存在なのだ。

 象徴になるだけでも恐ろしい。

 反乱の旗印に使えるのだ。

 好んで生かしておくわけがない。



 国民はもっと簡単に踏みにじられていく。

 国においてもっとも権威があり敬意がはらわれる皇族・王族が殺されるのだ。

 一般人である国民がどうして大切に扱われるというのか?



 敵国からすれば欲しいのは知識と技術、そして土地である。

 人など不要だ。

 産業維持のために当面は生かしておくにしてもだ。

 後々、敵国の民を入れる場所だ。

 土着の先住民など邪魔でしかない。

 統治や管理の手間がある。

 そんな面倒な事をする理由が敵国にはない。



 天皇・皇族が殺され、政治家・官僚が殺されていく。

 産業・経済界の重鎮、科学者なども殺されていく。

 一般国民も例外なく殺されていく。



「いいじゃないか、これで」

 生き残った日本人は毅然と言い放つ。

「生きるために戦う事を放棄した。

 戦わず、殺さず、死ぬことを決意した」

 それが誇らしい事だといわんばかりに言い放つ。

 栄養失調で痩せこけながら。

「憲法を、法律を守って滅びればよい。

 そういう高潔な国が、民族がいたと後世で語られればよいではないか」

 今まさに死にそうな、やつれた子供を抱えながら。

 子供にその言葉は全く届いてない。

 ただ聞くだけの体力すらも残ってないのだ。

 朦朧とした意識で、何か音がするなとかすかに感じるだけだ。

 それも、途中で終わる。

 毅然とした高潔なお喋りの途中で意識を、命を喪っていったから。



 異世界に転位した日本。

 その国は滅びた。

 そこにいた人間全てが滅亡して。

 侵略した敵国の民が国土全てに住み着いて。

 日本があった土地は残ってるが、そこに日本という国はない。



 一応記録は残っている。

「生きのびる事を放棄した愚かな民の国」として。

 そんな日本の事を、制圧した敵国は教材として使う事もある。

 もちろん、それは手本としてはいけない愚劣な例として。

「滅亡を好んでえらんだこの国のようになってはいけない。

 生きのびるためには、果敢に戦わねばならない。

 この事を忘れてはいけない。

 亡国の民とならないために」



 これは日本を侵略した国だけで言われてる事ではない。

 日本という国があった事を知る多くの国が教訓としていた。

 滅びの道を選んだ者達への、これが生存者達の評価だった。

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あと、以前、こちらのコメント欄で俺の書いた話を話題にしてくれてた

覗いてみると良いかも


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以前、こちらのコメント欄で俺の書いた話を話題にしてくれてたので、覗いてみると良いかも

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