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愛する女が他にいる王子から婚約破棄を告げられたのですが、ちょうどそのタイミングである人が現れまして……。  作者: 四季


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2話「晩餐会にて、告げられました」

 ある晩餐会にて、私はルミッセル王子の婚約者として参加したのだが――彼はこんな日ですらもずっとカサブランカとひっついて離れない。


 二人は部屋の中央の椅子一つに二人で座っている。

 互いの身を密着させて。

 間に誰も入れはしないのだとさりげなく主張するかのような座り方で、グラスを手にして、見つめ合いつつ時折飲み物を口にしていた。


 そんな二人が目立たないはずもなくて。


 既に二人は注目の的となってしまっている。


 普通周りから冷めたような目で見られたら「まずいのかな」とか思ってしまうものだが、二人の場合はそうではなくて、むきになっているかのようにより一層身体と身体の距離を近づけていた。


 恥じらいというものはないのだろうか?


 そんな晩餐会の最中、それは起きた。


「おい! ローゼマリン、ちょっと来い!」


 カサブランカを膝に座らせたままでルミッセルが急に私を呼んできたのだ。


「え? は、はい。何でしょうか」


 なぜ今さら私を呼ぶのだろう。

 大人しくして差し上げているのに。


「お前に話がある」

「はい」


 ルミッセルはじっとこちらを見つめて、数秒後、心を決めたかのように口を開く。


「ローゼマリン・ドミトラス、お前との婚約を破棄とする」


 告げられたのは、そんな言葉だった。


 ――そう、彼はついに私を切り捨てるべく動いたのだ。


 驚きはしない。だってもうずっと愛されていなかったから。それに、私が彼と婚約したのだって、国王がそれを望んでいたからというだけ。だからお互いに恋愛的な感情はなかった。特に向こうは、私を嫌ってすらいるかのようで。だから、たとえ婚約を破棄すると言われたとしても、それほどの驚きはないのだ。


「婚約破棄……」

「ああ、そういうことだ」


 カサブランカは濃い紅を塗った口角を持ち上げて勝気な笑みを浮かべつつクスクス笑っている。


 どうやら完全に下に見られているようだ。


 でも、まぁ……ルミッセルからの愛という意味ではその通りだが。


「んもぉ酷いわよぉ? ルミッセル。可哀想じゃなぁい、いくらあたしのことが好きだからって婚約破棄をこんなところで告げるなんてぇ」

「いいんだ、もう決めたことだから」

「でもぉ」

「カサブランカは優しいな、やはり。だが! 馬鹿にははっきり言ってやらないとな」

「さすがにそれは心ないわよぉ。くすくす」


 この期に及んでまだいちゃつく二人。

 周囲からの視線がとにかく痛い。

 でも彼らはちっとも気にしていない様子だ。


 まぁそうか、気にしていたらこんなことはできないわな。


「とにかく、そういうことだ。ローゼマリン、お前はすぐに俺の前から消えてくれ」


 最後の言葉を放つその時まで、ルミッセルは冷ややかだった。


 ――しかし。


「婚約破棄? それはそれは、なかなか良い話を聞かせていただきましたよ」


 割って入ってきたのは、見知らぬ男性。


 知らない人だ。多分これまでに会ったことはない人。しかし、そこそこ良い身分であると思わせるような恰好をしている。厚みのある素材で作られた暗いブラウンのスーツは渋く、セットされた黒髪もまたどことなく大人な雰囲気を感じさせる。


「ルミッセル殿、ローゼマリン様をお捨てになるのですな」

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