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第7話 オーダー「短弓を3本」

村人達も獣人美少女がカワイイからお客さんとして扱っている。


特にリオンが積極的だ。

どこからか椅子とテーブルも持ってきて獣人美少女を座らせている。


村のおばさんがハーブティをカップ入れて出している。

甘い木実を添えて。


「わー、ありがとう。羊も捕まえてくれて」

「うー、かわいい。うちの子にしちゃいたい」

「駄目だよ、おばさん。ちゃんと帰してあげなきゃ」


ずいぶんと紳士的だな、リオン。

僕だって、同じ村への訪問者なのに扱いが全然違うじゃないか。


獣人美少女に話を聞いてみると、彼女は遊牧民の集団で生活しているらしい。

村からみて北の方角にある高原で羊を狩って生活しているようだ。


「そのあたりは獣人の遊牧民が多いのよ。たまに村にも穀物と羊毛を交換しにきたりするのよ」


遊牧民は広い高原を生活の場としていきている。


農業をしないので、定住することなく、羊とか餌になる草があるところを転々といる。

今は開拓村からすこし行ったところにテントを張って生活をしている。


うまく遊牧民と接点をつくれば、この開拓村と交易ができるんじゃないか?と感じた。


今は遊牧民の都合でやってくるだけで、定期的な交易にはなっていない。

羊の毛は織物にすると暖かいので街では人気があって高い。

もし、この村を接点にして街に羊毛を売ることができたら、大きな村の収入になるんじゃないか。


しかし、カワイイな~。モフモフしたい。

村の大切なお客さんだから勝手にモフモフする訳にはいかないな。

何か仲良くなる方法ってないだろうか?


「お茶、ごちそうさま。木実もおいしかったぁー。でも、もう帰らなきゃ」


あー、もう帰っちゃうのか。話しかけることもできなかった。

陽もそろそろ暮れ始めたし、帰らなきゃダメだよね。


僕は獣人美少女とあまり関係がないから、ちょっと離れた所で見ていただけだ。

それでも僕を魅了するくらいに美少女なんだな。


「ちょ、ちょっと! 待ってくれよ!」


おや、村の入口で騒動が起きている。

なんだ?


馬に乗った人が、いち、に、さん。3人いるぞ。


馬は開拓村で農業のために飼っているがっちりした種類じゃない。

もっと、小柄だけどスマートで走ると速そうだ。


「おい! ここに12歳くらいの女の子は来ていないか! 隠し立てするとタメにならないぞ」


おや、先頭の馬上の人は女性か。声が高い。

ちょっと距離があるから顔までは見えない。


短弓を構えているようだ。馬に乗ったまま使える短弓ってあるんだな。


「います。います。だから、そんな物騒な物はしまってください」


門のところにいる男がなだめている。

きっと、女の子が見つからないで気が立っているようだ。


「お姉ちゃん!」

「リサ! 駄目じゃないか、こんなとこまで来て」

「ごめんなさい。羊が逃げてしまって」

「見つかったのか? 羊は!」

「うん。村の人達が捕まえてくれたの」


うん、よかった。妹さんを誘拐した訳じゃないってこと分かってくれたらしい。

おおっ、なんと。彼女は美人の獣人さんじゃないか。


妹と同じ金髪、青い瞳。ただし、髪は腰まであるロングだ。

髪をまとめもせず、馬に乗ってきたのか、すごいな。


そして、ぴんと立った三角耳。

しっかりと獣人であることを主張しているな。


もうひとつ目に付くのが立派なバスト。

おっきいなー。革の胸当てで押さえているけど、それでも大きさを隠せはしない。


ウエストは細くてヒップはしっかりと主張している。ナイスバディだ。

お近づきになりたいな。声を掛けてしまおう。


「こんにちは」

「なんだ? お前は」

「えっと、この村の客人をしている者ですが」

「ん? その客人が何用か?」


いかん、声を掛けたのはいいけど、話すことがないぞ。

まさか、いい天気ですね、じゃダメだよね。

なんか、話のネタはないか…あ、いいのがあった。


「あなたのところでは羊を飼っているんですよね」

「ああ、そうだが」

「羊の毛が欲しいんです」

「羊毛か。何と交換するのか?」


テキパキと話す人だな。

もっと会話を頼んでもらいたいというか、なんというか。


「えっと、穀物などはどうでしょう?」

「穀物は今年の分はもう確保してあるから、いらんな」


あー、そうだよね。

小麦をはじめ、麦類は収獲は初夏だから、秋が近づく今は確保が終わっていなきゃダメだよね。


「あー、そうですか。他に何か入用な物はないですか?」

「おまえ、商人なのか?」

「いえ、しがない職人ですが」

「それならなぜ、羊毛を欲しかる? まさか、男の癖して織物職人なのか?」

「いえいえ、違いますよ」


困った。羊毛は儲かるとは思うが、今、仕入れるタイミングでもないか。

だいたい、遊牧民に提供できる物がこの村にあるのか?


「野菜もいらんぞ。なにか、もっとないのか?」


野菜もダメか。そうなると村で作っている物はダメだな。

あ、そうだ。


「その弓の強化はどうでしょう?」

「はぁ? 武人の誇りの短弓をどこのだれかも知らない者に任せることができると思うか?」


うーん、とりつくシマもないな。

だけど、つっけんどんだけどお話はできたな。

なんとか、信じてもらえる方法はないか?


「おっちゃんの弓強化はすごいんだぞー」


おー、いいとこに来たな、リオン。

もっと言ってくれっ。


「ほう。少年。すごいというなら、何か証拠はあるのか?」

「それは、これだ!」


おっ、僕が強化した弓じゃないか。

いいぞ、自慢してくれ。


その後、リオンの弓を通して、僕の強化スキルがすごいことを証明してくれた。

まだ、強化をしていない弓もあったからちょうど良かった。


「疑って、すまなかった。素晴らしい強化職人だと分かった。私からもお願いされてくれ。この短弓を強化してもらえないか」

「お嬢! ずるいぜ。それなら俺のも頼む」


結局、お供の二人の男の短弓も強化することになった。

まぁ、3本くらいの弓矢なら、それほど大変でもないんだが。

そろそろ陽が暮れて暗くなったから、強化は翌日ということになった。


☆  ☆  ☆


「2割おっちゃん、やっぱり、すごい人だったんだね」

「そうか?」

「だって、遊牧民の狼獣人が頭を下げたんだよ。ありえないよ」

「えっ、そうなのか? 彼女たちだって、見込み違いをしたら頭さげるだろう」

「狼獣人は誇り高い種族で、まず頭を下げないって有名なんだよ」


それは知らなかった。

でも、頭さげてもらったのいいことだ。


あの美人獣人さんと良い関係ができたってことだからな。


そういえば、3本の短弓を強化する約束はしたけど、対価の約束はしなかったな。

羊毛と交換してもらえるのだろうか?


☆  ☆  ☆


「素晴らしい! この短弓があればどんな魔物だって仕留めることができるぞ」


うん、美人さんが喜んでいる顔を拝めるのはいいな。

まだ20歳だという彼女は、満面の笑みを僕に向けて話しかけてくる。


「今回は3本だけだが、他の短弓を頼むことはできるか?」

「もちろんです。ただ無料というわけには…」

「おお、そうだった。まだ、強化代を払ってなかったな。受け取れ!」


羊毛をもらえるのかなと思っていたら、羊その物をもらってしまった。

まだ成長しきっていない子羊だ。


「今は羊毛を刈る時期じゃないから羊毛は難しい。その代わりに子羊を3匹だ」

「そんなにもらっていいんですか? 子羊って大切な財産でしょう?」

「もちろん財産だ。しかし、この強化した短弓には適わないさ」


嬉しそうに短弓をすりすりしているぞ。

僕も美人狼獣人さんをモフモフしたいな。


「だから、短弓強化に子羊1匹と決めたのだ。どうだ? 適性な交換だろう」

「それはもちろんです。僕の強化の価値を認めてもらってうれしいです」


子羊1匹だと、肉が10㎏くらいとれるんじゃないか。

200gのラムステーキが50人前も取れる。すごい価値だ。


「ただ。ひとつ願いがあるんだが」

「なんでしょう」


美人さんの願いなら、なんでも応えてしまいたいぞ。


「できれば、他の遊牧民には短弓をはじめとする武器の強化は断ってくれないか」

「それはどういうことです?」

「遊牧民の氏族の中には、乱暴なのもいるからな。強い武器を持つと戦争をはじめたがるしな」


たしかに。遊牧民は乱暴だと村の人達も言っていた。

彼女たちはどうなのか、ちょっと分からないが少なくても、その短弓でこの村を襲うことはないだろう。

でも、ちゃんと確約をもらっておかないとな。


「分かりました。その代わり、このあたりの村や町を襲わないという約束をしてください」

「もちろんだ。この短弓は戦争のためではなく、平和のために使わせていただく」


おー、かっこいいな。

美しくて強い、彼女のために強化スキルを使えたは嬉しいな。


だんだんと主人公のスキルが正当に評価されだしたぞ。


できたら、☆評価もして欲しいな。↓でぽちっとね。

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