表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/22

第20話 オーダー「おいしい料理」

デブ役人は開拓村で楽しく過ごしているよ。

もう2日経ったから、明日には帰る。


このままいけばミッションコンプリート。

今年の村の年貢と、僕とソフィちゃんのリア充が両立できる予定。


もちろん、そのために僕はちゃんとがんばっているんだよ。


デブ役人に出す飲食物の多くは僕が強化を施している。

基本は味を2割強化しているだけど、お酒は酔いやすくするための強化をした。

他にもスタミナが付くように強化したり。


おかげで、街でうまい物を食べているデブ役人も「美味いじゃないか」と喜んでいる。


村の出す食事は材料が限られているから、豪華にはできない。

だけど、新鮮な物は手に入るから素材を活かした料理を出す。


味の強化もあって、食べたことがない物になっている。


身の回りの世話をしているセクシーメイドさんにも、いろいろと頼まれて強化してる。


夜着は手触りをよくする強化をしたり、お肌がすべすべになる化粧液も強化した。


「どう? 美人になったでしょ」

と、迫ってくるから、丁重にお断りした。

あのデブ役人に、見つかったら困ることはソフィちゃんのことだけにしたいのでね。


「あと、1日。なんとか問題が起きなきゃいいんだけどな」


どうも悪巧みは、僕には向いていないな。

心臓に悪すぎる。


だけど、ソフィちゃんとのリア充のために、明日までがんばるぞ。


☆  ☆  ☆


「いよいよですね」


デブ役人を迎えに馬車がやってきた。

少しは歩いた方がいいと思うんだが、あの身体じゃ少し歩くとぜいぜい言いそうだ。


「あと少しだ。年貢のこともうまく話しがついたから」

「税率が3倍になるんですから、耕作地の面積は少なく見積もってもらわないと、ですね」

「ああ。そのあたりはうまく話しができた。とにかく村で楽しくすごせたのが大きい」

「じゃあ、耕作面積は去年と一緒ということで済みそうですか?」

「いや、去年の8割で話が決まった。税率3倍は大変だろうと気を利かせてくれたのだ」


なんと!

去年より面積が少ない評価となったのか。

やるなぁー、村長さん。


「それなら、なんとかなりそうですね」

「ああ。増産計画がどこまで成功するかにもかかっているが」

「間違いなく可能性があがったということですね」

「もちろんだ。ただ、あと少し。あの馬車が出ていくまで気は抜けないからな」


うん。その通りだろう。

お土産に渡す強化精力剤はもう用意してある。

村長さんが渡すだけだ。


「おー、出てきたみたいですね。僕は隠れます」

「そうしてくれ」


向こうから、デブ役人が女性3人を連れて上機嫌でやってくる。

セクシーメイドだけでは足りなくて、追加で身の回りの世話をする女性を2人追加したらしい。


デブ役人は40代だから、彼から見たら相当若い女に囲まれて本当に楽しそうだ。

村長さんがやってきて、挨拶をしている。

女性達はキスをしまくって最後のサービスをしている。


「これはお土産です。夜のためにお役立てください」

「ん? なんだ、これは」

「精力剤です。そろそろなくなるかと思いまして」

「おー、気が利くな。その件を相談しようと思っていたのだ」

「前にお渡しした物の3倍入っていますので。当分の間は足りるかと」

「うん。苦しゅうない。だが、無くなったらどうしたらいい?」

「使者を寄越してくだされば、用意しておきますよ」

「よし。そうしよう」


そんな話をしているらしい。

離れて隠れているから、声が聞こえないが手振りで分かる。

お、御者が呼びに来た。


そろそろ時間だろう。

最後に女性3人に抱擁とキスをして馬車に向かっていった。

村長さんと女性3人は深々とお辞儀をしている。


ふぅー、終わった。


「ちょっと待ってください!」


ん? なんだ。デブ役人に向かって走っていく奴がいる。

それもデブ役人には敵わないが、そいつも相当太っている。


うわっ、村長さんの息子じゃないか。

何をしようとしているのか?


村長さんが止めようとしているけど、突破した。

手に手紙みたいな物を持っているじゃないか!


手紙を受け取ってデブ役人が読みだすと、みるみるうちに顔が赤くなり、村長に向かってどなり始める。


「お前! 俺に嘘を言っていたのが? ソフィーはこの村にいたそうじゃないか!」

「そ、そんなことは」

「お前の息子だろう、こいつは。すべてばらしたぞ。お前達の嘘は」

「そ、それは…」


なんてことしてくれるんだ、あのバカ。

何、にやにやして、こっちを見るんだ。

それもドヤ顔で。


こういう嫉妬心ですべてを壊す奴がいるんだよな。

僕はそういうことに巻き込まれたくなかったから、街では工房に籠って強化ばっかりしていた。


もっとも、侯爵様の跡目争いに巻き込まれて、ここに逃げてきたんだけどな。

たった一人の暴走で、村が危機になってしまったじゃないか。


「あー、もう時間がない。出発せねばならない! 上に報告しておくからな。今年は耕作面積は2割アップだと」

「ええっ、2割減の約束ですよ、2割減の」

「ええい、うるさい。役人の俺を騙す奴らはきつい思いをするがいい。耕作面積2割アップに税率3倍だ。びた1文まけないからな。収獲の時、しっかりと用意しておくように」


村長さん、すがりつくようにしていたが、蹴られて倒れた。

役人は馬車の乗り、馬車は出発した。


「どう責任をとるつもりか」と、村長さんの息子の方を見たら、もう逃げていなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] なんと!? 村長の息子が!? 想像を絶する愚か者だったんですね……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ