第11話 ゲット「新しい人生」
ちゅんちゅんちゅん。
小鳥の声で目が覚めた。
暖かい日差しが窓から感じられる。
うん、いい朝だ。
いままで味わったことがない幸せがここにはある。
快適に過ごすことを考えて、しつらえた部屋。
豪華とは言えないけど、あちこちに心配りを感じられる調度品の数々。
そして。僕の横に寝ている女性。
むにゃむにゃとまどろんでいるのが分かる。
幸せだな。僕って。
たったひとりの女性がこんな幸せ感を連れてきてくれるんだ。
びっくりだね。
今まで、女性はよくわからなくて、面倒くさいもの。
そうだと信じていた。
性欲はあるから、そういう店でときどき処理する。
相手してくれる女性いる。
お金を払って、決められた時間を相手してもらう。
まぁ、出すだけ終わったら、さよならの関係。
だけど、今、横に寝ている女性は違う。
昨晩、本能のまま、抱いた彼女。
素人の女性は初めてだから、びくびく物で手を出した。
だけど、喜んでくれるのが分かる。
抱きしめて、キスをして。
焦る気持ちを抑え込んで、やさしく愛撫をする。
知識だけはあった、女性が喜ぶ方法を実践する。
初心者がやってうまくいくはずがない。
そう思っていた。だけど、違っていた。
ちょっとしたことを喜んでくれる彼女。
「ずいぶんとやさしいのねぇ」
「そうか? まぁ、歳はとっているからな」
初心者だとばれないようにと余裕があるふり。
だけど、それがバレることなく、うまくいく。
不思議だった。こんなはずはない。
きっと、気を利かせて合わせてくれているだけだ。
感じているふりだけだろう。
だけど、違った。
手を触れたところが体温があがってくる。
抑えようとしているのに、声がでる。
物語の恋人同士のエッチと同じ反応が返ってくる。
「おはようこざいます」
「うん、おはよう」
はにかんだ笑顔。
エッチで感じた昨晩のことを思い出しているのかな。
「えっと、帰らなくていいの?」
「えっ、帰らないとダメですか?」
「ん? 一緒にいていいの?」
「もちろんです。私のお仕事は身の回りの世話ですので」
あー。
幸せをまた実感してしまった。
始めての素人女性だし、下手と思われないかなとドキドキしてエッチしたら、
妙に反応がいいから、エッチの後に身の上話を聞いたんだ。
元々は10年前に両親と兄でこの村に入植した。
だけど、入植3年で畑仕事をしていた両親がゴブリンの一群に襲われて亡くなった。
兄は冒険者になるんだと、街に向かったけど、それ以来、連絡がない。
10歳で一人残されて、途方に暮れていたときに、手を差し伸べてくれたのが村長さん。
養子として育ててくれた。
だけど、村長さんには3つ上の息子がいて、一緒に育ってきたけど、14歳のときに強引にエッチされてしまった。
村長さんに相談したけど、元々、息子の嫁に、と考えていたとあって、いずらくなった。
その年の徴税役人が来たとき、村長さんが身の回りの世話をする人を探していたけど、ちょうどいい人がみつからないで悩んでいたから、立候補した。
村長さんに恩返しして、息子さんと仲良くできなくても、立場がなくならない方法だった。
でっぷりした50過ぎのおじさんだったけど、若い子が好きで、私が身の回りの世話役だって言ったら、すごく喜んでくれた。
だけど、村長さんの息子もそうなんだけど、エッチはただ、自らの欲望を満たすだけの物。
自分ができることはそんなことしかないと、あきらめていた。
今年も来月、徴税役人が来るから身の回りの世話をする予定だったらしい。
でも、その前に僕が来て村長さんから身の回りの世話を言いつけられた。
まぁ、いつものことと来た。
そんな話を聞かせてくれた。
すごくやさしい僕のエッチに、ラブラブな恋人同士みたいって思ったようだ。
「さて。朝ごはんはどうしよう」
「作ってきますね」
「それより、誰かに作ってもらえないかな。まだ一緒にいたいので」
「はいっ」
気持ちいい朝に、ラブラブごっこの17歳と一緒に過ごす朝。
これこそ、リア充ってことだね。
リア充になったらしい。
元々、強化スキルは価値のある物だった。
しかし、雇用者がそれをどう評価するか、その違いだったようだ。
適切な評価はやっぱり、大切だね。
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