第10話 エラー「身の回りの世話人」
「ふぅ、今日は良く働いたな」
強化した小麦種の苗床をはじめ、いろんな畑を視察した。
今はあちこちで、10日後の小麦の播種に向けて苗床の準備をしている。
行く先々で畑仕事をしている村人達に小麦強化の話をするから大騒ぎになる。
「我が村の救世主だ」
なんて、大げさに言う村人さえいて、ちょっとこそばゆいな。
でも、期待してもらえるって、なんかいいな。
期待に応えようと頑張れる気がする。
「こんばんわ」
ん? 誰だ。こんな夜更けに。
何か約束をしていたっけ……あっ、身の回りの世話をしてくれる人か。
挨拶だけ、今夜しておこうということか。
「今、開けます」
鍵をはずして扉を開くと、そこには綺麗な女性が立っていた。
すらっとした感じなのに、胸だけは大きい。間違いなく巨乳だな。
ゆったりとした服を着ているけど、それだけ主張しているみたいだ。
亜麻色っていうのかな。金色と茶色の間のような色。
すごく美しい亜麻色の腰まである長い髪。
年のころは18歳くらいか。僕より一回りくらい下だな。
「あ、えーっと。村長さんが言っていた身の回りの世話をしてくれる人、ですか」
「そ、そうです。身の回りの」
てっきり、僕より年上のおばさんが来ると思っていた。
でかいエプロンをしていて、ハタキを持って。
「ほら、邪魔だからどこかで時間つぶして」
なんて大きな声で言われてしまうような。
そんなおばさんだとばかり思っていた。
「あ。そ、そうですか。それじゃ、明日からよろしくです」
「えっ、明日?」
「えっと、今日はもう遅いから」
「……私じゃダメなのかな」
ダメって…ダメなのは、あなたじゃなくて時間でしょ。
もう、掃除とかする時間じゃないよね。
「えっと。これから掃除はちょっと」
「掃除じゃなくて、ほら」
「ん? 洗濯?」
「そうじゃなくて」
「えっと、料理…じゃないですよね」
いかん、ネタが着れた。
他に身の回りの世話ってなんだ?
あっ、もしかして。
「ま、まさか。服の着替えとか」
貴族じゃないんだから、そんなことないよね。
「寝着に着替えた後に……」
「寝るだけですよね」
「だから、夜伽」
「ええーー。夜伽って」
夜伽というのは確か、夜、おとぎ話を聞かせてくれるってあれ?
子供じゃあるまいし、ひとりで寝られるんだが。
「私じゃダメですか?」
えっ、えっ。もしかして。添い寝してくれるって、こと?
「ひとり寝は寂しいでしょうし」
一緒に寝るって、そんなの寝られそうもないよ。
若くてきれいな人と一緒だなんて。
「やっぱり、私じゃダメですか?」
「えっと、ダメじゃないです」
「嬉しいっ」
それまでお互い戸惑っていたけど、いきなり抱き着かれてしまって。
僕の敏感なとこが主張してきて。
だって、若い女性のいい匂いがするんだもん。
これに抵抗できる奴は男じゃない。
「やさしくしてください」
「もちろんです」
もっとも。
商売の女性以外だと、ほとんど経験がない僕。
どうしたら、いいのか?
教えて欲しいんだけど。
まぁ、なるようになれってことですね。
難しく考えるのをやめて、本能に従うことにした。
職人は男の世界だー。ってことで。
あんまり女っ気がなさすぎだから、村長さんが気を利かせてくれました。
やるなー村長さん。
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