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寵妃にはなりません

「寵妃として王宮には上がられないと言うことですか」


「王宮には上がりません。庶民として王宮を外から見た方が色々な事がよく見えます」


クラウスは愕然とした。今度こそはロザンヌの暗殺を阻止し裁量を最大振るえるように仕えようと前世以上に準備をしてきた。


「ロザンヌ様が王宮に上がらなければ私は何の為に転生したと?それはあんまりです!貴方こそ国の頂点にいるべき方なのに何故なんですか!」


クラウスが下を向き悔しそうに言う。ロザンヌはクラウスを睨むと王妃であった時の口調で言う。


「クラウス、私は黙って言われる事をするだけの者は要らぬ。前世でクラウス、お前を側に置いたのは宰相だからではない。お前は何もしなかった国王でも使えた。そんな、お前なら主が間違った判断も正す事が出来ると思っからだ」


「ロザンヌ様は、私が宰相だったからでなく、私を選んで下さったと言うんですか?」


「そうだ。クラウス、間違うでない。前世も今世でも私は国王でも女王でもない。私とて一人の駒でしかない。王も一つ判断を間違えれば国は滅びる。クラウス、お前とて前世で見てきたであろう?ガーネル国とて小さい国と言えども100万人の民が住んでいる。王が間違った判断をもう二度とさせてはいけない。この国の国王にはクラウス、お前が必要だ」


クラウスはロザンヌの方みて諦めたように言う。


「分かりました。私はどんな愚王でもロザンヌが満足する様に仕えて見せましょう」


ロザンヌは頷くとクラウスに微笑むが、すぐにロザンヌの顔が曇る。


「とは言え、今世での元王太后の動きも気になりますね、私が生まれてないとすると帝国がどう出るかも分かりません」


「まだ、気になる事があるんですね」


ロザンヌは頷く。クラウスも同じように疑問を抱いている。


「ロザンヌ様の育てていると言う騎士は知り合いなのですか?2年後に騎士の試験を受けると言う事は歳は10歳ぐらいですよね」


「私の兄です」


「前世ではナディア妃にはご兄弟いませんでしたよね…ま、まさか!ナディアはロザンヌ様のお兄様に転生されたという事ですか?」


ロザンヌはこくりと頷く。


「国王の近衛には適材の人物だと思いませんか?国王にとって最も信頼できるものとなりましょう。そして、今世ではガーネル国の滅亡を救う事になるかもしれない」


クラウスはロザンヌを見る。そしてクラウス苦虫噛んだ顔で呆れたと言わんばかり言う。


「ロザンヌ様は、今世も国王陛下の事を避けながらもそうやって手を差し伸べられるのですね」


「仕方がありません。出来が悪くても国王です。今世こそはガーネル国の民を護らればなりません」


クラウスは前世での国王が嫌いであった。大事な判断ではいつもそれぞれの大臣に話を振り責務から逃げる。能力的にもロザンヌの方が上なのに正妃として扱わない。なのに何故、ロザンヌは国王を甘やかすのだろう。クラウスは、ロザンヌの言葉に国王の事に関しては賛同出来なかったので敢えては国王の事は何も言わない事を決めた。


「寵妃にならないとするとロザンヌ様はこの後はどうするつもりなんですか?」


ロザンヌは溜息を吐く。


「今世は私は子を産まなければなりません。帝国の創立者、第一代目皇帝アーネストが転生します」


「伝説の皇帝英雄アーネスト様でしょうか歴史書の事しか知りませんが英雄が転生とは良からぬ事が起こるのでしょうか」


「神の言葉を聞く限りでは、今世、救世主として生まれなければいけないらしいです」


クラウスは顎に手を当て考え込み言う。


「そんなに重要な方ならやはり寵妃として王宮に上がり王族として生まれた方が良いのではないでしょうか?」


ロザンヌは首を振る。


「後継者争いの火種になりかねないです。後、十数年後成人になるまでに父親になる方を見つけます」


「父親…私ではいけませんか?私は次男で爵位も継ぎません。今世も国王の側近になればそれなりの地位に付けます」


ロザンヌはクラウスを見て十数年後の前世の時クラウスを思い出す。出会った頃は宰相の仕事に明け暮れて目の隈は酷く疲れた感じだった。ロザンヌが国王の代わりに政務の仕事をしてからはかなりマシになったが、今と雲泥の差だ。


「公子様、私には勿体ない話ですが十数年後に貴方が今世も行き遅れていたら考えましょう。一つ公子様に忠告させて頂きます。恐らく、公子様の婚期は王宮に入るまです。よくよく考えてください」


クラウスは少し考えて前世での自分の姿を思い出したのか顔を赤らめる。


「ロ、ロザンヌ様!今世は前世のままの私ではございません。前世のようにくたびれた者にはなりません」


ロザンヌは笑顔でクラウスに言った。


「そうなると良いですね。十数年後を楽しみにしています。そろそろ、お暇させてもらいます。人を待たせていますので」


クラウスは慌てて言う。


「送らせて頂きますよ」


帰りは、クラウスに馬車でラッセンと待ち合わせだ場所まで送って貰った。そして、手をつけなかったテーブルの上にあった菓子を手土産にクラウスからもらった。サラとラッセンは甘い物が好きだから喜ぶだろうとありがたくロザンヌは貰った。

馬車を降りたところでクラウスと別れるつもりだったが、どうしても付いていくと言い張る。噴水の近くまで行くと不機嫌そうにラッセンが立っていた。ロザンヌ達を見つけると勢いよく向かってくる。


「遅い!どこに行ったかわからないし、父さん達の所に戻れば大事になるかもしれないし…あれ?後ろにいるのはクラウス?」


「ご無沙汰しています。ナディア妃でよろしかったですか?お姿が随分違うので…」


「うわぁ、クラウス!久しぶり、何だか若くてカッコいいね、前世ではくたびれたおじさんだったのに()()()()()きっと令嬢にモテるよ」


クラウスはラッセンの言葉に苛立ったのか笑顔が引きつる。


「ロザンヌ様、お兄様をお預かりする時は特別に丁寧に指導するよう騎士団長に伝えて置きますので、では帝国から戻りましたらご連絡致します」


「公子様、宜しくお願いします」


ロザンヌは頭を下げる。ラッセンはその姿を不思議そうに見つめる。


「ねぇねぇ、何だかクラウスとロザンヌの立場が逆転したみたいだね」


ロザンヌは無表情で目線だけラッセン向け言う。


「みたいではなく、事実だ。私達はただの庶民だ。兄上も立場を弁えて下さい」


「あ、そうだったね。ロザンヌはそう言う所は固いんだね」


「私は、全部に対して固いんだ」


クラウスは思い出したようにロザンヌの手にカードのようなもの渡す。


「それがあれば王立図書館に入れます。ではまた、ロザンヌ様」


「助かりました。ありがとうございます」


「いえ、私も貴方の出す答えに興味があるので気にしないで下さい。ではまた、近いうちに」


クラウスの後ろ姿をロザンヌとラッセンは見送った。





いつも、お世話になっています。私的な事のゴタゴタと色々ありまして執筆を中断していました。ようやく、画面に向き合う気になりました。

私ごとですが、10月からの環境の変化も変わります。


連載中のものはなるべく早くアップさせたいのは山々ですが、「冗談ではありません!」の感想、意見で面白いけど読み辛いと言う意見を頂きました。勢いで書いた作品なので、意見を頂けるとは思ってもいなかったので、大工事を先にしたいと思います。ご指摘は、少し戸惑いましたが真面目に読んでいただいて嬉しいです。


「聖女と〜」や「政略結婚〜」は順次、仕上がり次第、アップしていきますので宜しくお願いします。


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― 新着の感想 ―
[一言]  かなり良かったです。  続きが楽しみです。  作者様 お疲れ様です。
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