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月夜に仰ぐ  作者: 小狐
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I don't have any dream

「だから、いい加減に福岡に帰って来いよ」


聞き飽きたセリフが飛び交う。


「職ならいくらでもあるだろ。」


顔を赤らめた友が言う。


「そうは言ってもこちとら、売り手市場で国立ストレートの新卒というゴールドカードを手にして就活に負けた身じゃ。何も実績がない今ではどこも採らんじゃろうよ。」


返す言葉もこの4年変わらない。

社会人になって4年。まだまだ若手だが、新卒というには過ぎ去り、ベテランというには歳も実績も足らない何とも中途半端である。


「お前ならなんとかなるよ」


「そうかのう……」


正直、またか。という思いではある。

社会人となって遊んでいたわけではない。もちろん自分なりに真面目に仕事に取り組んではきた。しかし、営業ではなく一般事務の仕事であり、つまりはわかりやすい売り込みポイントがないのだ。


営業成績をこれくらい稼いだ、とかはない。ましてやこんなペーペーが会社の事務を変えれるわけもない。そんな不明確な人材を中途で採るよりは新卒を採った方がマシという考え方は普通だろう。


「すーぐそうやって諦める」


これも何度も説明するものの、目の前の友人は納得しない。これもお決まりのパターンだ。

この次は、もう1軒回り、ラーメンを啜って1時くらいに変えるのがお決まりのコースだ。長期休暇の木を置けない仲でしかしない心地よい時間。


その後もお互いの給料やボーナスの少なさ、残業時間の多さを自慢し、上司の愚痴に始終し笑い倒して居心地の悪い実家へ帰り、盗人みたいにこそっと鍵を開けて帰るのであった。

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