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キリリ

 オレは少し得意げに鼻息をつきながら言った。


「では、僭越ながら……。リモートワークを導入する事での会社にとってのメリットが書かれていないと思います(大好き)」

「メリット? メリットならここに」


 いつも強気な佐藤パイセン、あたふたしている。

 カワイイ。



「佐藤パイセンは、リモートワークを導入する事で、オレ達、課の皆の安全度が上がる=会社にとっても利益になるし、会社のそういう取り組みは社のイメージアップにも繋がる――そう上を説得しようとしたが、上には響かなかった。そうではないですか?(大好き)」

「そうだ」


 佐藤パイセンは渋く頷く。

 佐藤パイセンのいつもキリリとしたお姿はとても愛おしい。



「理由はセキュリティ要件を満たしていない、生産性が落ちる――他にありますか?(大好き)」

「おおよそ、そんなところだ」


 佐藤パイセンは続きを期待した目をしている。

 佐藤パイセンカワイイ。



「上はクライアントとの契約内容に作業場所もあるはずですからね。調整作業が面倒臭いというのも有るでしょうが、1番はセキュリティ、2番に生産性の話でしょうね(大好き)」

「だとすると?」


 佐藤パイセンは完全に餌を待っている犬状態だ。

 実家の犬のジョリーの目をしている。

 わんこ佐藤パイセンカワイイ。



「セキュリティについては、オレじゃなくて2課の大垣おおがきセンパイが相談相手として適任と思われます。ですので生産性を維持する提案をします(大好き)」

「(ゴクリ)」


 佐藤パイセンがツバを飲み込む。

 期待している佐藤パイセンカワイイ。



「実は、もうすでにリモートワークを導入してうまくいっている他社の友人に教えてもらったやり方があります。テレビ会議のパソコンアプリをずっとONにするというやり方です(大好き)」

「テレビ会議を?」



 オレにとっての1番の山場がきた。

 この案を佐藤パイセンの深層心理に「絶対必要条件」として刻み込むっ!


「そうです。オレの提案はこうです(大好き)。『ずっと画面をオンにしましょう。課ごとに。』マイクはOFFでいいんです(大好き)。テレビ会議の画面をずっとつけながら作業する事で、会社で他のひとと作業している環境に近付けるのが目的です(大好き)。他のひとに質問したい時はチャットで呼び掛ければいいのだそうです(大好き)。この情報を教えてくれた会社も別のリモートワークの先駆者的企業に教えてもらったそうです(大好き)。もし他の課がやらなくともウチの課では必ず取り入れるべきと思います!(大好き!)」

「なるほど……」


 オレが一気に説明した内容を佐藤パイセンはすぐには飲み込めていないようだ。

 目を白黒している佐藤パイセンカワイイ。

 そして息継ぎをしながらの口パク(大好き)は、最後ホントに声が出そうで危なかった。



 この時またしてもオレは、『アレっ? この風景前にも……?』という既視感デジャブを覚えていた。


 無数のオレが佐藤パイセンに必死に説明している。全ての景色が懐かしい。その時見えた風景の中には、また、オレが女で佐藤パイセンが男になっているものも見えた。男の佐藤パイセンも懐かしい……。


 ――あ、既視感デジャブ治まった。



 オレにとってのリモートワークたったひとつの問題点は、佐藤パイセンに毎日会えるかどうかなのだ。

 オレ的にはリモートワークでも佐藤パイセンのお顔がパソコン画面の中にあれば大丈夫。

 むしろマスクの下の美しいお顔に久々お会い出来るかもしれない。


「佐藤パイセン、コーヒー入れましょうか?(大好き)」

「ああ。頼む」


 佐藤パイセンはオレの出した案を提案書にどう盛り込むか考え込んでしまったようだ。

 仕事に夢中な佐藤パイセンカワイイ。


 佐藤パイセンのコーヒーを入れに給湯室に向かった。





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