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タイトル未定  作者: 懲役
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第1章 壱

第1章

第1項 古代魔法に関する言い伝え


先史時代以降において、人々は魔術―とされていたものを活かして暮らしてきた。

代表的なものとして、薬草や、儀式、呪文、入れ墨などである。しかし諸君がお分かりのように、それらは実際に魔術効果を期待できないものだ。

例えば薬草はその中に含まれる成分が素直に影響しているか、プラセボ効果だろう。

他も同様である。人々はこれらの事物に様々な願い、思いを込めていたが、実際に思い通りにいかないときもあったはずだ。

そんな時には都合よく「神がお怒りになった」とのたまえば、すべての整合性が取れる(じっさいは、もともと整合性すら存在しないのだが)。ある意味がさつな仕組みである。

(中略)

しかしながら、この時代のことはまだまだ研究の余地がある。今後の大発見にて、再評価されることを期待している。


第2項 初期都市国家における「呪職」の存在


我々の国では、先史時代を過ぎて文明が発達し始めると「都市国家」の形成が始まる。都市国家では様々な役職が置かれ、都市国家の長のため働いた。その中で、国家の行く末から明日の天気、方角の吉兆に至るまでを推測する「呪職」という役職が(幾つかの都市国家で)存在した。全体的には先史時代の「魔術」を継承しているが、星や惑星、太陽、月の観察技術の発展によりパターン化された暦が生まれたことは「魔術」の精度向上に大きく影響している。

最初期の呪職は、地元の年長の女性たちが複数人で任ぜられた。

そのうち、呪職は一定の年齢以下である一人の男性に任されるようになった。

都市国家時代後期になると、「一人の男性」の子孫が役職を受け継ぐ世襲制になり、その地位も大いに向上した。

我が国にあった都市国家「パルス」の事例を例に上げると、当時呪職であった人間に田畑4メロンド(現在の250ヘクタール)、金10モーグ(現在のおおよそ326グラム)、奴隷20人が与えられている。このことからも、いかに大事に扱われていたかがうかがえる。


第3項 中世の魔術改革


我が国では、都市国家の長がやがて国を統べる王となった。それに伴い、「王」に仕える者たちも、都の近くに住まわされた。そこにはもちろん「一人の男性」の子孫が居た。

中世になると外国との交流も増える。当時の噂の一つには「東方に物を浮かす老人が居る」と言うものがあった。

子孫たちはその言葉に触発され、「揺るぎない魔術」の確立に向けて行動し始めた。

当時子孫として「マスター(呪職の名が変わったもの)」の継承を期待されていた「ガブリエレ」という青年は、彼の家臣とともに東方の老人を求めて船出をし、貴重な術を学ぶ。

それは「特定の周波数(音階)と発音の組み合わせで、物体に干渉する」術だ。

東方の老人は、物を浮かせることができる特定の「詠唱」を行い、物を浮かせていたのだ。

ガブリエレはその音節、音階について詳細に記録し、自国の言語で真似して詠唱し、術が再現できることを確認した。


彼はそれを「詠唱魔術」と名付けた。


船旅を終え、国に戻ったガブリエレは早速様々な詠唱パターンを開発し、王宮を騒がせた。

そして彼はほどなくしてマスターを継承し、王から名を与えられた。


彼はそれ以降、自らを〈ガブリエレ・モルデンツ〉と称した。


―――

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