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文明の利器

「ふあぁーあ,もう朝か」


「さて,学校に行く準備をしないと...っと」


やけにベットが冷たいなぁ.

あっ,ここはもう日本じゃなかったんだな.


制服のまま,ごつごつの地面の上で雑魚寝したせいか,体中が痛い.

それに,昨日の昼から何も食べてないのでかなり空腹だ.

オマケに,森のなかで探索していたので虫にも刺されていて体中がかゆい.


「ああ...体調は最悪だな...」


「あー,いきなり女神が目の前に現れてチートを与えてくれないかなぁ」

俺はため息を漏らしつつ,ぶつぶつと自分の置かれた状況に文句をつぶやいた.


しかし,こんな悠長なことを言っている暇はない.

今日からは誰の手も借りず,己の力のみで生きて行かなければならないのだ.

ポジティブに行こう!!


「よし! とりあえずこれからするべきことをリストアップしてみるか」


俺は早速その辺に落ちていた木の枝を使って書き始めた.


~1時間後~

うーん,ざっとこんな感じかな

生きるために必須な物一覧


火:食料の過熱,水の煮沸消毒,モンスター除け,暖房等などに必要

水,食料:人間が生きる上で必要

刃物:モンスターを狩るために,または捕獲したモンスターを捌くために必要

土器:川から組んだ水を貯めるために必要


あったら便利な物一覧

ろ過装置:おそらく水は汚れているので,安全に飲むために必要

カゴ:森での採集に役立つ


これらに加え,この森を抜けだすために必要な準備を少しずつ進めていかなければならない.

おそらく一緒にこちらの世界にきたクロスフォードを探したいからな.


「よし!こんなものだろう.まずは,火を起こすことから始めるか.」

早速俺は火を起こすために必要な材料を集めに,森へと駆けていった



~30分後~

「これで大体そろったかな」

俺は森からかき集めた木の枝,板,大量の枯れ葉,をそれぞれ並べた.

今自分の手元にはライター等文明の利器は一切ないので,原始的な方法で火を起こすしかない.

そう,皆さんもご存じの通り,ひたすら木の棒を回転させて摩擦熱で火を付ける「キリモミ式」だ.

まさか典型的現代っ子の俺が火を起こすことになるとは...全く思いもしなかった

まあでも,木の棒と板を高速で擦ればいいだけだからそこまで大変じゃないだろう


なんて,そう思っていた時期が僕にもありました....

この摩擦で火を付けるという単純作業が,とてつもなく地獄だった.





「オーラオラオラオラオラオラオラオラオッ!!!」

俺は死ぬ気で木の枝を回し続けた.

腕がパンパンに膨れ上がるまで枝を回し続けた.

元の世界で空手部に所属して鍛え上げた自慢の二の腕がもうすでに瀕死の状態である.

まさか,平成生まれがこんな原始的な方法で火を起こすことになるとは...


クッソ,腕がもげそうだ!!!


異世界に行くならライターでも持ってくればよかったよッ!!

と,頭の中で延々と後悔し続けた

Yout〇beの動画では楽々と火をつけてたのになぁ


いざやってみると大変なものだ



そんなことを考えつつ腕が悲鳴をあげてから30分たったころ,ようやく白い煙が少しづつだが立ち始めた!!


「はぁっ,はぁっ!!やっと...やっとついた!!!」


俺は大慌てで木のくずに火を移し息を吹きかけた.

そして枯れ葉,木の枝...と徐々に移し,火を大きくして行き,薪に火を着火させることに成功した.

「やった!!やったぞ!!ついに火を手に入れた!!」


俺は感動のあまり,涙が出そうになった.

だが同時に,火をつけるという作業でさえ簡単にできない己の無力さと不安感からくる涙も流れていた.



しかし,火を付けるだけでこんなに大変な作業になるとは...この先大丈夫なのだろうか


もっとこの感動に浸って居たいが,そんな悠長なことを言ってられないな.水の確保,食料の調達など,するべきことは気が狂いそうになる位にたくさんある.


異世界に来てまでこんなガチサバイバルをする羽目になるとは...


でも,今日の進歩でちょっとだけ希望が見え始めたことは確かだ.


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