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くつした
寒いなぁ
と思っても
靴下の
片一方にしか行き当らない
だいたいそう
いつだってそう
いいよ
もうすぐ使わなくなるんだから
そんな思いで床に放る
脱ぎっ放しの靴下の
もう片方はどこへ行ったんだろう
きっとベッドの下の方にいて
くしゅくしゅに丸まって
捨てられたんだなって
その程度の感想だけ持って
日の当たらない毎日を過ごす
そのうち
誰かが拾ってくれるよ
きっとそれは
僕じゃないけど
だって僕は
探すことを放棄して
忘れ去ろうとしているんだ