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かえる
軒先の蛙に
霧吹きで水をかけるのが
最近の僕の日課です
でも
それ以上のことは
しないって決めてます
だって
手で包んだら
熱で弱って
死んでしまうし
どこかに逃がしてやったなら
何に喰われてしまうかも
わかったものではないのだから
いつそのこと
見えなくなるまで遠くの方へ
投げてしまってもいいのかしら
そうすれば
どうなろうともう
知ったことではないのだから
そんなことを思いながら
今日も僕は
霧吹きで君を濡らします
身動ぎする蛙と
両手両足を広げて落ちていく
あなたが帰るのを待ちながら




