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ビニル傘
ツルツルと滑っていく
あなたと僕の
ビニル傘
跳ねるような水玉も
紫色に曇った空も
触ろうとしても触れない
まるで他人事の様に向こう側
涙も
天気も
向こう側
隠れることも
隠すことも
二人の間には
きっとないけど
見えているようで
見えていない
それはほんの
少し歪んで
水色に
虹色に
きらきらしている
きっとまぼろし
先から逃げる滴にそっと
手を伸ばしてみた
傘を握ったままで
空いた手を伸ばしてみた
その手は今まで
どこにいたんだろう
握っていたのは
誰なんだろう
君は
濡れている?




