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scratch.
今日
自分の腕に鎌を立てた
うっかりなんて笑い話で
ついた傷はしばらく消えない
道具は自分の延長線
だからよく見えもするし
だからよく見えもしない
自分が腕を振ったつもりで
その先がどこに当たるかなんて
普段はそんなこと考えなくて
タンスの角に小指をぶつける
そんなくらいの失念が
消えない血の跡を残してく
鎌についた血の味を
僕は確かめようとしない
きっと味気ないものだろうと
想像して眺めるだけ
腕の先の指の先に
気を配っているほど暇じゃない
巡り巡って自業自得
自分勝手っていうものは
いつだってそこにいる




