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掌編小説集9 (401話~450話)

ガスの効果

作者: 蹴沢缶九郎

暇を見つけた恰幅(かっぷく)の良い男が犬を散歩させている。空は雲一つない抜けるような青空、気持ちの良い晴天に男は思わず犬に話しかけた。


「今日は天気が良いなあ。なあ、ツン」


男がツンと呼んだ飼い犬は、素知らぬ顔で遠くを見つめている。

そんな時だった。突然男の鼻を異臭がつき、次の瞬間、男は身体の自由が失われていく感覚と共に、意識が遠のいていった。



地球の遥か上空で静止した宇宙船の中で、ピボ星人が話し合っている。


「どうやら実験は成功のようです」


「うむ、我々が開発した生物を硬直させるガスの成果がこうも素晴らしいとは」


「しかし、ガスを浴びせたあの星の生物には悪い事をしましたね」


「それは仕方がない。我々で試すわけにもいかないからな。ガスの効果を知る為に、他星の生物には犠牲になってもらう。今回は、たまたま犠牲になったのが彼らだったという話。それに、ガスの効果はいずれ切れる」


ガス実験の成果にご満悦のピボ星人達を乗せた宇宙船は、一路、帰路についた。



「お父さん、この銅像生きているみたいだね」


「ああ、そうだな。今にも動き出しそうだ」


と、公園を散歩中の親子は、飼い犬と硬直した西郷隆盛を見上げた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 犬の硬直は記述がなかったので、どうなったのだろうと、きになっての、あのオチ。おもしろかったです。 [一言] 今年の大河ドラマの主役ですね。ツンという名前なんだ?知らなかった。
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