彼女と出会ったら
通学路を歩きだした自分は庭の掃除をしている大家さんに挨拶をする。
「大家さん、おはようございます。」
「あら、おはよう。学校?」
「はい。」
「いってらっしゃい。」
「いってきます。」
自分は大家さんと別れまた歩き出す。
この辺りは住宅街で最寄りの駅までが遠い。
だから早めに家を出なければならない。
アパートの前の道路を道なりに進むとようやく駅に続く大通りに出る。
その大通りは朝早いのに通勤通学する人が多い。
「人が多い、、、。」
自分は暫くこのような人がたくさん歩いている道を利用していなかった所為か少し学校に行くのが嫌になった。
でも、変わりたいなら。
「行かないと。」
こうして自分は再び前を向く。
すると「おはよう。」と後ろから挨拶される。
「あ、あの。」
2年間閉じこもっていた自分にとってはキツイものがあった。
「おはよう、、、ございます?」
「あれ?私たち同級生だよね?制服のラインからして。」
目の前にいる女子にそう言われ制服のラインを確認すると同じ色だった。
「そう、みたいだね。」
「同級生なのに硬くなっちゃって。」
久しぶりに女子と話したんだからしょうがない。嘘はついてない。
「いきなり挨拶されたから。」
「そうだよね。いきなり知らない人に挨拶されても困るよね。私は平気だけど。」
平気なんだ。でも分かっているならしなければいいのにと思ったが声には出さなかった。
「そうだ!まだ名前を聞いてなかったね。あーあー。えーと、私の名前は滝上悠月。桜町中学校出身です。よろしくね。」
「自分の名前は黒井湊です。よろしく。」
「どこの中学校?」
「余所から来たから分からないよ。」
ここは地元からかなり離れているし。県自体違うから。
「そっかー。余所から来たんだ。親の転勤?」
「そうだよ。」
自分は嘘をついた。
「それは大変だねー。友達と離れちゃうと寂しいもん。」
ズキッ
痛い。苦しい。心臓が締め付けられる。けど初めて会った人に心配をさせてはいけない。
「だ、大丈夫!?苦しそうだけど?」
「平気。」
「そうならいいけど。」
そう言いながら滝上は心配そうにこちらを見てくる。
「早く行かないとバスに間に合わないよ。」
自分は話を変えるために腕時計を見せる。
「本当だ!急ごう!」
すると滝上は自分の手を取って走り出す。
「ちょっと!」
「だって私が遅刻だと湊君も遅刻だよ。」
それはそうだけど時間的にかなり余裕がある。
そのことに滝上は気付いてない。
昨日試しに通学時間を確かめたから。
しかし、滝上の手を離すことはできない。なぜなら彼女の、、、いや、自分の力がないからだ。
そして、丁度よく来たバスに乗った。
空気を読んでほしい。
「遅刻しないでよかったね。」
「、、、」
「どうしたの?」
こうして自分と彼女、、、たちとの賑やかな高校生活が始まる。
続けられるといいな。




