商人の街へご招待ー♪
安全な場所に向かう道中この異世界についてもう少し詳しく聞くことにした。
この世界は魔法というものが存在していて魔法はこの世界に住む種族なら誰でも使えるとか。
(まぁ……異世界からきた俺には関係なさそうだ)
そして、使い魔について。
使い魔にするためには2つの条件がいるらしい。
1つ目はこの世界の住人では無い人や生き物、つまり異世界からやってきた生き物だけがなれるらしい。
なので、俺はこの世界出身じゃないので使い魔になる条件を1つクリアしている。
もう1つの条件は、主人に仕えている子供のドラゴンに噛まれること。
俺はこの世界に来てすぐに小さなドラゴンに噛まれた。
しかも、俺を噛んだドラゴンはすでに主人をもっている。
つまりこの条件も満たしている。
なので、俺は2つの条件を満たしているので俺晴れて、使い魔になれたのだ。
「……って、全然嬉しくないよ!」
「あれー?そうなの?使い魔って結構楽しいって聞くよ?」
「楽しいの!!?」
……楽しいのか?俺のイメージとしては奴隷みたいなのだが。
「うん。そうだよ~。あっ!そういえば自己紹介がまだだったね。私の名前は、ナナ。この先にある街で商売してるんだよー♪」
「俺の名前は、杉原 勇輝。突然異世界に迷い込んだ人だよ!」
「へー、変わった名前だね。でもなんか面倒くさい名前だね……そうだ!じゃあ、キミのことはユーって呼ぶね~」
「……えっ?いきなり!?ってか、一文字だけ!!?」
「だって、なんか面倒くさいんだもの~」
相変わらず、ふにゃふにゃな声で言う。
「ユー」って。「YOU」と混ざりそうだ。
名前ぐらいちゃんと呼んで欲しいが……別に良いか。
ちなみに、ナナはドンちゃんと一緒に街で売る植物を採取しに来てたらしい。(その帰りでドンちゃんがどっかに行って探しているときに俺を見つけたんだとか)
「そういえば、そのドラゴンは何処行ったんだ?」
たしか俺と一緒に吹っ飛ばされて行方不明になったんじゃあ……。
「あぁ多分、先に帰ったんだと思うよ。早く荷物を届けるように言ってたからね。多分、思い出して今頃、焦って届けてるんじゃないかな~?」
な、なるほど。別に心配する必要なかったか。
ガシガシ嚙まれたとはいえ、修羅場をくぐったからな...。
そういえば、契約魔法について聞いてないな。
「そういえば契約魔法とか言ってたけどなんなの?」
「あぁ、契約魔法は約束の時に使ったり精霊や使い魔とかに契約するときに使われるものだよ。約束を破ったりするとバツが与えられるんだ。上位のものになると破ったものは、怪物に食べられるんだとか。ん?なんで、そんな暗い顔してるの?」
「いや、だったら俺も使い魔の仕事をしなければ死ぬってことだろ?さっき、ドラゴンの契約は強力だって言ってたじゃん!」
「あぁ!!そういうことね~。大丈夫だよ。ドラゴンが使う契約魔法はこの場所に留めるための契約魔法なんだから」
「……わかりやすく言うと?」
「キミはこの世界から一生住むしかないって事。まぁ、ドラゴンが死ねば契約魔法は切れるけど、そんな事は滅多に無いんだよね~。ドラゴンは最強の種族で子供でも侮れないよ?ドラゴンの寿命は千年だし種類によっては五千年以上も生きるしね~。あと、私達は古からある契約によってドラゴンに危害を加えれないし~」
………嘘だろ。じゃあ、俺はここで一生住むことになるのか。
というか、最強の種族ならさっきの修羅場助けろよ!
左手の印をみながらため息がでてしまう。
「……ハー」
「あり?大丈夫?元気ないね」
「そりゃね。この世界にいるんなら、それなりに覚悟しないとだし……」
「大丈夫だって♪異世界から来る人はとてもこの世界が住みやすいって言うんだよ-?」
「へー、そうなのか……」
学業も進路もないなら住みやすいかもな。
とりあえず今は街に向かうことが先だ。ずっと森の中をウロウロしていたらクリーチャーに食べられてしまうからな。街でこれからについて考えることにした。そして、街についたらもう少しこの世界について詳しく聞くことにしよう。
「あっ!見えてきたよー」
「ん?あっ、ホントだ」
坂道を登り切ると街が見えてきた。
中々大きな街だ。街の中央にはとても高い時計塔が見える。
立ち止まって街を見てみるとテナントらしきものも見えて、商売しているのがわかる。
そして、ナナがこちらを向いてこう言った。
「ようこそ!商人の街、エルラウドへ!!」