目が覚めたのは見知らぬ世界でした
気がつくと僕は大の字になって寝ていた。
もう、だいぶ時間が経ったのだろうか?
太陽はもう、真上にあった。
「うっ………」
身体を起こしてみるとそこは、森の中だった。
ぐるっと見渡しても木があるだけ。
そして地面を見ると道の上にいることがわかる。
道の上といってもアスファルトの道じゃない。土でできた道だ。
「……えっ?どこだここは?」
とりあえず、立ち上がって周りを見渡すことにした。とても、天気の良い日だ。ポカポカしてるので昼寝でもしたら気持ちいいだろうなー………。
そうじゃない。ここはどこだ?ってか、なにがあった?
たしか変な魔方陣に触れて……そこから記憶がない。
ん?じゃあ、あの変な魔方陣に触れたせいでここに居るのか?
なら、どこだよここ?
日本なら、田舎の方だよなー……。
アスファルトの地面じゃないとすれば中々の田舎である。
もう一つある仮説が立ったが現実ではありえないので、その仮説は消すことにした。
「………それにしても腹減ったなー」
俺のお腹が、ぐぅーっと、鳴った。
よく考えれば朝ご飯なんか食べてない。
しかも、今は昼ぐらいだ。
ちょうど昼ご飯を食べる時間帯でもある。
ジャージ(昨日は奉仕作業だったのでそのまま寝てしまったからこの格好なのである)になにかないか探ったがなにも無かった。
とりあえず、この場所にとどまっていても仕方がないので、とりあえず移動する事に決めた。
ついでに、なにか食べ物がないか探してみよう。
少し歩けば民家が見つかるだろう。
だけど、この甘い考えのせいで俺は後々後悔するのをこの時はしりもしなかった。
………1時間がたった。
しかし、まだなにも無い。
道を歩いても建物が見える気配もない。
木が多い茂ってるのでなにか木の実でもあるかなと思ったが、なにも無い。考えが甘かったのかな……。
ノドも乾いてきた。このまま死ぬのかもしれない……。
だけど、普通ならそろそろ建物があってもおかしくない。
そして、森の中をいい加減に抜けても良いはずだ。
田舎にしてもこんなに抜けないもののなんだろうか……。
そろそろ休みたいので、ふと足を止めると、ゴソゴソガサガサ。っと、そんな音が左の方から聞こえてきた。
なんだろう?ウサギとか狐かな?もしかするとイノシシかもしれない。それなら、もういっそのこと出てきた動物でも食べようか?
解体する道具も持ち合わせていないのに、なに言ってるんだ俺は……。
そんな事を考えていたらバーッとなにが俺に向かって飛び出してきた。
「う、うぁー!!!」
なんとも情けない声が出た。
……ってか、森が響くぐらいの声だった。
鳥がバサバサと逃げている。ここまでの声を出すと男なのかと疑ってしまう……。
とりあえず落ち着いて現状を確認した。
飛び出してきたものは何かと、見る必要がある。
俺はビビりながら目を開けた。
……するとそこには、漫画や小説に出てくるような、紅い鱗で覆われた小さなドラゴンがいた。
そして、俺の左手を美味しそうにガシガシと噛んでいる。
………って、「痛ってー!!!!」
さすがにガシガシと噛まれたら痛い。
絶対に甘噛みとかじゃない!ってか、こいつはなんだよ!!!
「は、離せ!!!痛いんだよ!!!!」っと、手をブンブン振ってもこいつは、離す気配がない。
……こんな生物は見たことがない。
俺の頭に最悪のイメージが湧き出てきた。
「………もしかしてここ、俺が居た世界じゃない?」
ってか、もしかすると地球ではないかもしれない。あんな変な魔方陣みたいなものに触れたことがまた脳裏に浮かんできた。そして、否定した考えが浮かんだ。
小さなドラゴンにガシガシ手を噛まれながら俺は思った。
「………もしかしてここ、異世界!?」