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光の呪符術

 朝、日の出と共に俺は目醒める。

 ベッドから立ち上がり、部屋の隅にある金の杯に御祈りをする。

 大人の掌ほどの大きさで、作りも綺麗だ。


 この一ヶ月間、ずっと大叔母様の部屋に通い続けている。

 この杯は、部屋に通う俺を見たアメリアが心配して渡してくれた物だ。

 よほど落ち込んでいるように見えたのだろうか。


 家ではそんな俺を見せない為に頑張っているつもりだが、エレナとファリスは何か感じているのだろう。

 エレナは以前に比べて優しくなったようなきがするし、ファリスは俺によく自分から話しかけてくるようになった。

 気を使わせていると自覚する日々が続いている。


 それに比べてファリアの態度はあまり変わっていない。

 彼女程の剣士ならば、それこそ今まで色々と経験してきたからだろうか。

 悟らせないように努める俺を見て、そういう時期もあるだろうと思っているのかもしれない。


 クライムもあまり変わっていない。

 彼は男だから、男の俺にはなんとなく解るところもある。

 ほっておくのが一番だと思っているのだと思う。


 ファリア教の祈りを5分程で済ませ、食事をしてから家に迎えが来るのを待つ。

 その間にもう一度金の杯に祈りを捧げる。

 神頼みならぬ精霊頼みだ。

 以前の俺が今の俺を見たら、何やってんだ、と首をかしげただろう。

 俺も変わったな。


 祈るのは家族のことだ。

 俺は家族というものを解ったつもりでいたんだと思う。

 それをあの日、大叔母様につきつけられたような気がした。

 お前のそれは、ただの自己満足だ。家族を見ているようで見ていない。家族を想っていない。家族ごっこでしかない。家族というものが何なのか、お前は解っていない。

 大叔母様はそんなこと言わなかったが、俺にはそう聞こえた。


 それは昔の俺がまたフィールドバックしてしまっているというのを自覚させてくれる。いわゆる被害妄想だ。

 だけどそれでいい。今の俺には必要だ。

 それを乗り越えなければ、何も解らない。

 理想の現実を得る為、これも自分磨きなのだろう。

 そしてその理想の前に立ち塞がる悪夢。

 国が滅ぶ運命を変えることが、今の俺のやるべきことなのだ。


 だけど、実際何をすればいいのかまったく解っていない。

 祈る内容は家族以外は、そこだ。

 何をすればいいか教えてほしい。

 が、もちろん精霊ファリアは何も答えてくれない。


「リリス、お迎えが来ましたよ」

『ありがとう、ファリス姉さん』


 祈りを終えて準備していると、ファリスが部屋に伝えにきてくれる。


『母さんとエレナは起きてるの』

「まだ寝ています。たぶんそろそろ起きると思いますけどね」


 姉っぽいファリスと違って、エレナはどちらかといえば友達感覚が強い。

 なのでエレナと呼び捨てにしても、別に変な気はしない。

 今度エレナに向かって、『お姉様』とか書いてみようか。

 露骨に嫌な顔をされると思うが。


 生前の俺の感覚でいえば、朝の6時前といったところだろうか。

 いつものように迎えに来た城の兵に頭を下げ、家を後にした。



 …… …… …



「おはようございます、リリス様」

『おはようございます』


 4階まで上がったところで、丁寧に手を胸に当てて頭を下げるアメリアに文字術で挨拶して、胸に手を当て頭を下げる。


 毎日朝早く、4階の階段前まで迎えに来てくれるアメリア。

 最近その気品に満ちた丁寧な挨拶の仕方を、大叔母様の部屋に行くまでに強制的に学ばされている。


「歩きながら話しましょう」


 アメリアの俺に対する態度は、少し変わった。

 最も気落ちしていた頃は優しかったのだが、最近は厳しい。

 それには理由がある。


 一度、頭を下げるアメリアの横を素通りしたことがあるのだ。

 別に悪気があった訳ではないのだが、その行動がアメリアの教育観念に火をつけたらしい。

 突然肩を掴まれ、「リリス様には相手への配慮がどういったものか、知る必要があるようですね」と、その日から貴族風な挨拶や振舞を教え込まされている。


「リリス様。先ほどの挨拶、右手はもう少し左肩に寄せて添えるのです。

 指もちゃんと全部閉じてくださいね」


 大叔母様の部屋へ向かいながら、今日もそんな指導をされる。


『はい、ありがとうございます』


 光の文字を連ね、にこやかに笑う練習。

 これも自分磨きだと思い、一応受け入れている。

 どこかで役に立つのだろうか。

 分からないが、習っておいて損はないはずだ。


「リリス様、今日は大叔母様に御先客がいらっしゃいます」


 部屋に通じる扉まできた所でアメリアに告げられた。

 大叔母様に客なんて、この1か月間なかった事だ。


『どのような方ですか』

「バッファ様の御友人で、詳しくは知りませんが、大叔母様の下で働いていた方だそうです。

 元は学者だそうで、【幻惑の死霊魔術師】との称号を持っていらっしゃる方です」

『部屋に入っていいのでしょうか』

「はい、大丈夫です。大叔母様からはリリス様を部屋へ招くよう言われております。

 ですが、くれぐれも粗相の無いようにお振舞ください」


 死霊魔術師。

 闇系魔術の上級魔法に、たしか死んだ者を操る魔法があった。

 称号を持っている魔術師だとすれば、相当な手練れなのだろうか。


『分かりました』


 文字術で答え、目の前の扉へと向き直る。

 そして最近大叔母様から教わっている魔術。

 その術式を、自分なりに改良した術を使う。


 扉に人差し指を当てて、あるイメージを浮かべながら文字を書く。

 書いた文字は〝開〟という日本の漢字だ。

 別にイメージが出来ていれば文字はなんでもいいのだが、やはり文字のイメージは大切。

 この場合、声の代わりに文字を書く事で魔法のプロセスを補っている。


 すーっと音も無く開く扉。


『では、失礼します』

「はい、行ってらっしゃいませ」


 文字術で文字を書いて、さっき注意された事を考えながら、左肩近くに右手を添えてお辞儀をする。


 使った魔術は、大叔母様が使っている呪符を文字術を使って俺なりに改良したものだ。

 俺が大叔母様のところへ出向くようになってから、大叔母様は魔術を教えてくれながら城の中も色々と案内してくれた。

 そして1階の礼拝堂へ入る時、大きな扉に大叔母様は紙で作った呪符を扉に張り付け、その分厚く重い扉をなんなく開けたのだ。


 自動で開く扉。鍵や支え木などで開かない扉も、この術式で開ける事が出来る。

 なんとも便利な呪符だ。そう思った俺は、文字術でそれが出来ないかと試行錯誤を始めた。

 もちろん初めは出来なかったが、大叔母様から呪符とはなんたるかの講義を受け、そして最近になってやっと出来るようになった。


 呪符という文字通りの呪い魔術ではないが、それもこの世界ではイメージで別物となる。

 呪符とは、紙に魔力を送り込みながら書いて使う、ストック式魔術。

 この世界では、大叔母様の固有魔法になっているのだ。

 いわば即席魔法陣といったところか。


 そして、それを文字術で改良した俺。

 予め作った呪符を使うあたり、魔法速度や魔力の残量を考慮に入れると大叔母様の呪符には負けるが、ストックが魔力残量に比例して無限にある分、俺の術式も中々のものだと自負している。

 それにこの術式は、まだまだ進化の途中にある。

 色々な文字にイメージを載せることで、大叔母様の攻撃呪符魔術と同じ効果が期待できるからだ。

 ひとつ難点は、大叔母様の呪符のように、前に飛ばす事が出来ないという事。

 それは、後々考えていけばいいだろう。


 自動で開いた扉から、大叔母様の部屋へ通じる通路へと入り、アメリアに向かってまた頭を下げる。

 開いた扉は、自動でまたゆっくりと閉まってゆく。


 これも書いた時にイメージしていたので、そのように扉は閉まる。

 もちろん日本の自動ドアの様に、そこに人がいれば閉まらないようにと、それもイメージしている。

 そしてやはり体験している差なのか、大叔母様の呪符では、それが出来ない。

 自動で閉まるのは閉まるのだが、人がそこにいても閉まるので、少し危険だ。


 しかし俺も文字術も、開いている時に消えれば開きっぱなしになってしまう。

 色々考えたが、永久稼働は実現出来そうにない。



 通路の先にある扉も文字術で開いた。

 中に入って大叔母様が座っているテーブル席と見ると、片目に眼帯をしている男と、その隣に座っている男の子の姿。

 扉が開いた瞬間、眼帯男の方はすぐにこちらに気付いたようだが、男の子は大叔母様の話に夢中になっているようで気付いていない。

 行儀よく足音を立てずに近づいて、テーブルの前でお辞儀をした。

 状態を起こして文字術で文字を書こうとした瞬間、ガタっと椅子から立ち上がる音がする。


「シャーナっ シャーナだよねっ!」


 立ち上がって大きな声を上げたのは、さっきまで大叔母様の話に夢中になっていた男の子。

 俺を見て、そして興奮した様子で近づいてくる。


「シャーナっ! 元気だった!? 君と別れた後、すごく心配したんだよっ」


 シャーナ?

 誰だそれ。

 俺はリリスなんだが。


 俺の手を取り、男の子は笑顔で話してくる。

 少し戸惑っていると、大叔母様が助け船を出してくれた。


「その子はリリス。今は儂の所で術を学んでおるが、エミリアの護衛を務めるファリアのとこの子じゃ」

「え!?」


 男の子は驚いた表情で大叔母様の方へ振り向き、また俺の顔を覗き込んでくる。

 俺は掴まれた片方の手をゆっくり優しく抜いて、文字術で自己紹介をした。


『初めてお会いします。リリスといいます』


 光の文字を見た男の子は明らかに動揺している。

 俺の掴んでいたもう片方の手をさっと放すと、赤くなりながら頭を下げた。


「ご、ごめんなさいっ 昔友達になった子にすごく似てたからっ」


 まあいいんだけどね。

 人違いなんてどこでもあるものさ。


 あ~でも、ダークエルフは全滅したんじゃなかったっけ、今の俺以外。

 まあ、探せばどこかに、逃げ延びた人もいるかもしれないが。


 眼帯の男の視線も俺を捉えていた。

 この男が死霊魔術師か。

 まさかこの男の子がそうでした、ってことはないよな。

 漫画の世界って、そういうのよくあるからな。


「そうか。別人としても似ているな。

 別れたのは3年程前だったと思うが、成長していたとしても、そっくりだ」

「で、ですよね師匠……」


 眼帯男の言い分に、俯きながら悲しそうにしている男の子。

 師匠と言うからには、やはり眼帯が死霊魔術師か。

 

 あと少し気になった言葉。3年前。

 俺がこの世界にに来て、1年と7~8ヶ月くらい。

 その1年前にダークエルフ王国は滅ぼされたから、大雑把に計算しても、2年と10ケ月程前まではまだ、ダークエルフ王国は滅んでいないと言う事になる。


「で、でも、ほんとに似てる……」


 3年前なら、まだ生きている者がいっぱいいただろうな。

 間違えるのも当然か。

 エルフ、ダークエルフは、皆似たような顔をしているって、本で見た事あるし。


『心中お察しします。どこかでお友達が生きていればいいですね』


 男の子に向かって文字を書くと、何とも言いようのない顔で下を向いてしまった。

 バッファの友人というのは眼帯男のことだろう。

 その男を師匠と呼ぶ男の子。

 なら、ここに毎日来ているダークエルフの名前を聞いていなかったんだろうか。


「とりあえずリリス。今日のところは、ちとこの男と話があるでの。

 悪いがルイスを連れて、ちょっと部屋を出てくれるかの」


 大叔母様が言うと、男の子はびしっと背を伸ばして左肩に手を当て、そしてゆっくりと頭を下げた。


「ル、ルイス・グレモル・シーズベルトです。先程は失礼致しました」


 セカンドネーム的なものがあるとすれば、この男の子。どこぞの貴族か。

 バッファの友人の弟子なら、それも当然か。

 まさかどこぞの王子様ってことはあるまいな。

 ないか。王族が師匠と呼ぶ存在を持つのも変だし。


 とすれば、やはり貴族だろうな。

 この場合、たしか最後の名前で呼ぶのが正しいんだっけ。

 大きな領土を持っている可能性もあるから、呼び方には気を付けないと。

 シーズベルト男爵……って歳でもないよな。シーズベルト卿……でもなさそうだし。


『ご丁寧にありがとうございます、シーズベルト様。リリス・ラングレーです』

「ル、ルイスでいいですっ」

『分かりましたルイス様』

「さ、様もいらないからっ い、いらないです」


 キョドってんなー。

 まあ本人が言うなら、別にいいか。


『ではルイスさん。部屋を出ましょう』

「あっ はい!」


 俺は大叔母様と眼帯男に頭を下げ、ルイスがテーブルの上に置いている本を片付けるのを待って、大叔母様の部屋から出た。

 そして階段を一緒に下りる。


「あの魔族の子、また中に入ってきてますわよ」

「あらやだ。ほんとだわ」

「バッファ様もいったい何を思って、あんな子供を城の中に入れるのかしら」

「子供といっても魔族なのにねぇ、襲われでもしたら大変だわ」


 一階へ下りる途中、二階三階から魔族の俺を非難する声が聞こえる。

 わざと聞こえるように言っているのだろう。

 名前も知らないおばさん達だ。

 俺は別に気にしなかったが、なんとなしに大叔母様にそれを話したところ、朝早くに部屋に来ることになってしまった。その時間なら城の中も護衛の兵しか出歩いてないらしい。


 でも、家を出てから一時間くらいでもうこれか。

 意外とみんな朝早いんだな。

 王族や貴族はもっとだらしない生活を送ってると思っていた。

 偏見だな。一応反省しておこう。


「リリスさん、その……」


 呼ばれて振り返ると、ルイスと呼ばれた男の子は泣きそうな悔しそうな顔をしていた。

 さきほど俺に浴びせられた誹謗厨房に腹を立てているのだろうか。

 サーシャってのは俺に似てるらしいし。


『別に気にしていません』

「あの、でも……」

『レイマールに私と姉以外の魔族は住んでいませんが、魔族の商人や冒険者は出入りします』

「え……?」

『バッファ様は人族ですが、魔族に理解がある方です』

「はぁ……」


 道徳を語ろうと思ったのだが、子供には難しかったか。

 あとバッファの話を持ち出して仲良くなろうと思ったのだが、少し欲張ったか。

 まあいいか。

 

 しかし、今からどこへ向かうかだな。

 城の中にいたらまた邪魔者扱いされそうだし。

 何も考えずに階段下りてたな。


『ついてきて下さい』


 俺は剣の稽古をしているファリアとエレナの元へと向かった。

 よく考えたら、俺が面倒見る必要もない。

 

「あの……リリス、さん。どこに行かれるのですか」


 まったく、ほんと挙動不審だな。

 まあ、俺が言えた義理ではないが。


『母の所です』

「リリスさんのお母様の所ですか。お母様も、無事なんですね」

『わたしの母は、ダークエルフではありませんよ』


 光の文字を見てきょとんとした顔を浮かべているルイス。

 そして「ああっ」と頷き、俺の顔を見なおした。


「育ての親ですね」


 そこで俺の足はピタっと止まった。

 言い表しようのない怒りが込みあげてくる。


「うっ!」


 俺の顔を見ていたルイスが、半歩ひいて後ろに下がっている。

 そしてすぐに頭を下げた。


「す、すいません! 悪気があった訳じゃ……お母様の事は、本当に残念でした」


 なんだこいつ。

 もしかして、ダークエルフの母親の事を言っているのか。


『わたしの母は死んでいません。今いる母がわたしの母です』


 俺の母親はファリアだけだ。父親もクライムだけ。

 貴族ってのは金があるから、乳母とか教育母とか、そんなのがいっぱいいると聞いた事がある。

 けど、そんなものと一緒にするな。


 光の文字を書いて、頭を下げているルイスを無視して歩き出した。


 育ての親が、それとはまた別だという事は解っている。

 なんで俺は、こんなにも腹を立てているんだろうか。


 ……違う。

 俺は生前、愛してもらったという感覚がない。

 恋は人並みにしたつもりだが、俺から誰かを愛したという記憶もない。

 だいたい、愛というものが何か解っていない気もする。


 施設のみんなにはお世話になったし、面倒もみてもらった。

 けど、俺の頭に浮かぶ愛ってのは何だ?

 大叔母様に伝えた時、俺はどんなことを考えてたんだ?

 よく考えたら、なんで俺はこんなに腹を立てているんだろうか。


『行きましょう』


 考えても解らないものは解らない。

 しかし、他人に対してこれほど腹を立てたのは、転生前でも転生後でもこれが初めてのことだった。



 …………



 剣の稽古をしていた場所。

 城壁内の一角、鍛錬施設まで来た。

 施設とは俺が勝手につけたのだが、藁で出来た人形などもある。

 そんな立派なものではないが、意味合いは合っているはずだ。

 遠目に、エレナがファリアと木剣を交えているのが見える。


 最近になって、エレナはファリアと打ち合い(組手)を始めたらしい。

 もちろんまだまだファリアには敵わないが、それでもなかなかに鋭い斬撃を放っている。


 昔ファリアに試合を申し込んで、何も出来なかったエレナはもういない。

 ファリアはほとんどの斬撃を避けながらも、たまに木剣で受けてガードしている。

 そしてもちろん打ち返してもいる。エレナもそれだけ成長しているのだ。


 近づきながら、ふと後ろを振り返る。

 ルイスは俯きながら、トボトボと俺の後を付いてきていた。

 確かに腹は立ったが、ちょっと大人げなかったか。


『家族を紹介します』


 俺は、ルイスの手をとった。

 ルイスは戸惑いを見せながらも、少し安心した表情を浮かべている。


「あっ リリスっぃたっ!」


 エレナがよそ見して、木剣を頭で受けている。

 打ち返させてはいるが、ファリア余裕だな。

 本気の返しだったら頭カチ割れてるだろうし。

 でも、なにやってんだか。


「エレナ! 剣に集中しろ!」

「だって、リリスが……」


 怒号を飛ばしたファリアに言い訳をするエレナ。

 そう、これが俺の家族だ。


「シャーナ、あっ いえ、すいません……」


 間違ったことを想い直したように頭を下げる。

 ルイスって何かこう、ちょっと難しい子だ。

 シャーナというダークエルフと、どんな関係だったのだろうか。


「リリス、どうした。大叔母様の所へ行ったんじゃなかったのか。それにその子……」


 エレナを軽く叱っていたファリアがこちらを向いた。

 目が笑っている。

 近づく俺達に気付いていた筈なんだが、何か勘違いしている目だ。


『これには訳があって』


 慌てて俺はルイスの手を離し、文字術を使って今の状況を説明する。

 変に勘違いされたままだとアレだし、今日は大叔母様の所へ行ってないと勘違いされるのも癪だ。

 うちの母さんは、さぼりに厳しいからな。


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