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不安と優しさ

一週間の始まりの朝のチャイムが鳴る

その音を聞き皆自分の席へ座り朝のホームルームが始まる

外人が変顔をしてるような写真がプリントされている服を着た安藤先生が1年3組の教室へと入る

それを見た大半の生徒は声に出さないようにと必死に笑いをこらえる

それらを見て見ぬふりをして先生は朝の挨拶をする


「皆さんおはようございます、えー今日は先週伝えた通り身体測定があります」


新年度になったら必ず行われるであろう身体測定、その中には知らなければよかったという情報もあるかもしれない

少しざわざわする教室


「この後ここで体育着に着替えてから各教室に行って色々測定します…………それと園田さん」


「……あ、はい」


急に名前を呼ばれてびっくりしたが表情には出さず、とりあえず返事をする


「園田さんは体育着を持って先生についてきてください」


「はい、わかりました」


(…何かしたっけ?)

先生に直接呼び出されるなんて…何か怒られるのかな

ホームルームが終わり、若干不安になりながらも言われた通り体育着を持って安藤先生についていく

教室を出て階段で1階まで降りる

歩いている途中で安藤先生が喋った


「飛鳥がね、あなたのことを心配していたの」


「飛鳥さんが?」


急に先輩の名前が出てきた


「…まーあとは2人で話してみて」


そう言い生徒会室と書かれている教室のドアを開ける

教室には一番私と親しい先輩がいた


「園田さんを連れてきたよ」


「先生…………ありがとうございます」


「はいよー、じゃあ私は先にドロン!」


THE昭和と思わせるような単語を発して安藤先生は生徒会室を出ていった

少し状況が理解出来ないところで先輩が喋った


「ごめんね杏里、急に呼び出して」


「いえ、大丈夫ですけど何かするんですか?」


「うん、これから身体測定をやるけどそれのお手伝いをしてほしいの」


「お手伝い…ですか?」


何をするのかな

でもこの人のためならなんでもしてもいい

…あの時からそう思う


「生徒会はね、色んな学校行事を仕切ったりお手伝いをしたりしてるの、今日は身体測定のお手伝いをするんだけど杏里にも手伝ってもらいたいの」


「それって…私は生徒会じゃないですけどいいんですか?」


「大丈夫だよ、生徒会もお手伝いって範囲だからそれの延長って感じ?」


みどじょでは飛鳥の言った通り様々な学校行事に生徒会は関わっている、単純に信頼できる点もあるが最近どこの委員会も人手不足という理由もある

生徒会のメンバーが何かの学校行事のときに一般生徒にお手伝いをお願いすることも珍しくない


「わかりました、お手伝いやります」


「ありがとー杏里」


感謝の言葉と共に先輩は笑った

私もつられて笑顔になる

だけど笑っていた先輩は少し暗い表情に変わってこちらを向いた


「……それでさ杏里」


「なんですか?」


「体育着に着替えてもらうんだけど…………その……肩を見せてもらえる?」


言われて気付いた

私の右肩は今……


杏里は袖をまくって肩を見せる

先週負ってしまった傷…杏里の右肩は青く腫れていた

このアザを見る度思い出す…あの日のことを……

私の肩を見て先輩は言う


「やっぱりまだ腫れてるね…ジャージは持ってきた?」


「はい……持ってます」


「じゃあ一緒にそれも着ようか」


そうして2人は体育着を着てその上にジャージを着る、当たり前だが長袖なのでアザは見えない

全身青っぽい色のジャージ……これも制服と同様にダサい


「よし着替えたね、じゃあ杏里行こう」


「…はい」


気分が良いとはいえない、飛鳥さんと一緒にいるのに…

生徒会室を出てそのまま先輩の後ろをついていく

何か…話したいけど言葉が見つからない、もっと話したいのに…

1人で考えていると先輩が先に喋った


「…さっきの安藤先生の服見た?私は今朝も見たんだけど何回見てもおかしいよね」


安藤先生の服…なんか変な外人が写ってた服

それを思いだし思わず笑ってしまう


「あれは…何なんですか?」


「私もわからなーい、生徒会で約1年お世話になってるけど安藤先生のセンスは異次元過ぎて謎」


「確かに謎ですね」


笑いながら話す

こういった楽しい話を飛鳥さんとしてると自然とさっきの悩みなど忘れられる、自然と笑顔になれる


「まだあの服よりもっと面白いものがあってね…」


それからしばらく安藤先生の服の話で盛り上がった

過去にはカタツムリと傘が合体したような写真がプリントされている服とか金と銀が混ざったような眩しい色の服とか言葉では説明しきれないようなおかしい服がたくさんあるらしい…想像するだけでも楽しい

そうしてまた2人の時間はどんどん過ぎていく


もっと話してもっと先輩の笑顔が見たい

楽しそうに話す先輩の顔を見て杏里はそう思う

(飛鳥さん…)

その想いは先輩に届いたのだろうか

歩きながら、2人は誘われるようにそっと手を繋いだ

今回は杏里視点の物語です

基本は(恐らく)主人公の飛鳥中心だと思いますが今回みたいにたまに別キャラ視点でやろうかなと思ってます

あと前回登場した《ファブイーズ》とか《RINE》とかはあれです、著作権がなんたらかんたらってやつです

何が元かは皆さんのご想像にお任せします


ってことを前回の後書きに書き忘れた私です

なんで忘れた!ネタになったのに!!


ここまでご愛読ありがとうございます

次回もよろしければよろしくおねがいします

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