波乱の翌朝
太陽の丸いシルエットが地平線の向こう側からちょうど全て現れ、当たり前のごとく陽の光を街へ照らす
養鶏場ならおそらく一番うるさくなる頃
目を覚ました飛鳥は布団から重い体を起こす
昨日帰ってくるなりすぐ寝てしまったようだ…あまり記憶がないがすぐにそうだと予測がついた
まず服装、例のダサい制服のままだ
次にお腹が物凄く空いている、晩御飯を食べなかったからだろう
さらにいつもなら鞄は勉強机の端に置くのだが鞄は床の隅の方に置いてある
しばらく放心する
そしてもう一度状況を見直す
「…………何からやろう…………」
とりあえずスマホの電源をつける
液晶には《5:05》と表示されている
それを見ながらリビングに行く
リビングの中央辺りにあるテーブルの上にはいくつかのお皿の上に様々な料理が作ってありさらにその料理はラップで包まれている
昨日の私の晩御飯だろうか
それらを食べたい気持ちはあるがそれより先にしたいことがあった
「着替えたいな……あとお風呂……」
とりあえず部屋に戻って着替えを探すがふと思った
飛鳥は基本的に7時10分頃家を出る
つまりあと2時間しかこの家にはいない
そう考え、私服ではなく今着てる同じダサい制服を取る
そしてそのまま風呂場へ
制服を脱ぎシャワーを浴びて髪や体を洗う
いつもなら浴槽に浸かるのだがさすがに時間がないと思いシャワーだけにした
ぱっぱと風呂場を出て体を拭きそのまま制服を緩めに着る
着替え終わるとラップに包まれている料理をレンジに入れ《温める》のボタンを押す
ついでに全部の料理を温め終わるまでドライヤーで髪を乾かす
髪を乾かしたあとは温めた料理を食べる
こうして一通りのことを終える
少し休憩しながらテレビの上に掛けてある時計を見る
時計の短針は7と6の間辺りを、長針は6を指している
あと30分程余裕がある
何をしようか考えようとするが
「………………」
昨日のことを…杏里の顔を思い出す
杏里はあの後どうなったのだろう
今日学校で会えるかな…会いたいな
そういえば杏里の連絡先を知らない
図書館で2人は仲良くなったがつい話し過ぎてしまい、連絡先を交換しなかった、というより忘れていた
飛鳥はちょっと後悔した
そんなことを考えていると後方からドアを開ける音が聞こえた
「……おはよう飛鳥…………」
「お母さん、おはよう」
そこには母が立っていた
…………酷い見た目だ
ボサボサの髪、所々ほつれている服、立ってはいるが目は閉じているように見える
朝の母はいつもこんな感じ、完全に夜行性タイプ
いつも通りの残念な母に呆れていると母が喋った
「昨日の夜学校から連絡きてね、大体のことは聞いたよ」
「え…………あ……」
突然のことに驚いて言葉を失ってしまったが母は続けて言った
「あー喋らなくて大丈夫……つらかったでしょ」
「お母さん…………」
「今日の放課後詳しく話したいってさー」
「そっか…わかった」
下を向いて返事をする
気持ちを察してくれてるのだろうか、それ以上の会話はなく母は身支度を整えに部屋に戻る
またしばらく静寂が訪れる
《つらかった》と母に言われた
確かにそうかもしれないが私よりも杏里の方が辛い思いをしたに決まってるだろう
杏里…大丈夫かな
また杏里のことを考え、時間が過ぎていく
あんまり暗いことを考えるのはやめよう
そう思い荷物を整理して学校に行く準備をする
自分の部屋にある姿見を見ながら制服をきっちり着て、青のリボンをつける
相変わらずダサい制服に苦笑いする…もう1年も着続けてるのに
そう過ごして家を出る時間になる
「行ってきまーす」
「気を付けてねー」
母の声を背中で聞きながらドアを開け、階段を降りて家を出る
家から駅、電車の中、そして駅から学校
その約40分、杏里のことしか考えられなかった
個人的に飛鳥のシャワーシーンをもっと掘り下げて書きたかったんですがそれ書くとR15、下手すればR18になりそうだったので書きませんでした
よく耐えたオレッ!
あとですね、みどじょの制服はダサいって設定ですが何の制服かって書くの忘れてて慌てて1話に情報追加しました
制服はブレザーですね、ダサいブレザーです
こういうミスとかこれからも多分してきます
先に謝りますごめんなさいm(__)m
ここまでご愛読ありがとうございます
時間もよろしければよろしくおねがいします




