人力発電所の真実【2】
■技術担当の報告
――その構造物の大きさは、高さ数メートル、直径は50メートルくらいです。回転させるための棒の長さを含めると150メートルくらいになります。無数の人間がその棒をつかんで歩いています……。ええ、その巨大な軸を回転させるためだと思われます。また、地下にも設備がありそうです。
――さらに詳細なデータを得るために、必要な機材を整え、再調査する必要があると思われます。
――ええ、数名を確保して翻訳装置の語彙登録を行いましたが、サンプリングは困難を極めました。彼らの語彙が少ないのです。われわれから見ると、知的レベルも低そうです。おそらく人間同士で複雑なコミュニケーションを取る必要性が低いからだと思われます……。ええ、その通りです。機械に管理されているという理由もあるかもしれません。さらに綿密な調査が必要です。
――彼らは機械に管理された社会に何ら疑問を持っていません。調査対象として聞き取った誰もが、祖父母、曽祖父母、さらにその前の代から続いていると答えていました。その管理の仕組みが気になります。
――ええ、もちろん。その時はかなり動揺しましたが、彼らの記憶はきちんと消してあります。心配はありません。
――その構造物を回転させる以外に、産業はないと推測できますが、断言はできません。彼らの衣食住も気になります。再調査の指示をぜひお願いしたいです。