ひとり心中
短編小説に初挑戦いたしました。ほんのりホラー、な薄味小説で良ければどうぞお付き合い下さい。
そもそもこれは小説の体をなしているのでしょうか・・・?
気づけばこんなところにいた。冷たい風に凛とした夜空の下。
素足に重く沈んだ砂の感触。一歩ずつ歩みを進める。沖へ、沖へ。波音に吸い寄せられて。暗く冷たい水がまとわりつく。
一歩ずつ死に向かって歩いている。それは世間一般の人間だって普通に生きてりゃ皆同じだが。
少し、僕の生涯を振り替えってみたい。
まず、僕はいつからか、「異常な者」として忌み嫌われ、誰からも疎まれた。家族も友達も僕の正体を知った人みんな。僕の何が「異常」だったか、理解できなかった。
ただ、「ココロの穢れが移る、消えろ」と言われてきた。
「異常」だから、僕の存在は禁忌なのか。禁忌だから、「異常」なのか。
膝下まで水が来たとき、前方から何かが流されてきた。
人だ。水死体ではなく、人形の様に美しい人だ。恐る恐る確認してみると、髪や爪、肌の感触は紛れもないヒトのそれだった。
彼女は随分前から息をしていないようだった。目は固く閉ざされ、脈もない。だが水死体の様に膚がふやけて腐敗している様子もない。
中学生位の女の子か。真っ白なワンピースを身にまとっている。白磁の肌に彫りの深い、西洋的だがどこか日本的でもある顔立ち。儚げな雰囲気とは対照的に、短いスポーティな髪が寝顔を縁取っていた。もし生きていたらきっと社交的な、自分と違う世界で生きていく人間だっただろうと直感し、胸が苦しくなった。
無意識のうちに彼女を抱きかかえていた。自分の来ていたコートを彼女に覆い被せて浜に戻ろうとした。人でなしと言われた自分が、最期に人助けするのも悪くない。
だが僕の足は沖に向かうばかり。どんどん、どんどんと。
死にたくないという思いが頭をよぎる。もう死んでいるとはいえ、彼女を冷たい水の中に沈めたままで良いわけない。何とかして、せめて彼女の体だけでも寒くないように陸へ持っていきたい。
突然、頭にこの子を連れて逝こうという考えが閃いた。どうせ死人なら。陸に上がっても誰もいないような場所。その上今は夜更け。託す相手もいない。
その時、急に大きな波が来て、潮の流れが速くなった。ここで潮の流れが速くなるか。事実は小説より奇なり。一気に足下を掬われる。バランスを崩し海の中へ。沈む。寒く、体が重いが不思議と息は苦しくない。沈む。泳いでて水が鼻に入るととてつもなく痛いのに。口から泡を吐き出しながら沈んでいく。僕は、死ぬのか。
海底から、誰かの声がする。行こう。
彼女が、呼んでいる。
ここまで読んで頂きありがとうございます!!
気づいたら夜中12時から1時間で短編を書いていました。
いつもと趣向を変え(?)、的確なあやふやさ、浮遊感を意識しました。大した文章も書けないのに偉そうなこと言ってごめんなさい。そして厨二臭さは通常運転です。
時代はいつ頃なのか?少年は何者なのか?ご想像にお任せします。
あ、拙作「Egoism」を読んでいただいた方。美少女は奈結乃ちゃんとは関係ございません。
とにかく、ここまで読んでいただきありがとうございました!




