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F級冒険者と、役立たずの『図書館』  作者: 綾瀬蒼


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第4話:C級ゲートの崩壊と嫉妬の魔石

1. 混乱するC級ゲート


悠真は、氷室咲から提供されたC級ゲート『廃駅メトロ』の非公開データを解析していた。このゲートは通常、A級ランカーが率いるパーティーによって安定して攻略されていたが、この数日、内部で異常な事態が多発していた。

(【観測対象:C級ゲート『廃駅メトロ』】異常事態:パーティー間の連携不全、装備の意図的な破壊、無根拠な裏切り行為。魔力残滓:嫉妬レヴィアの残留魔力が通常値の200%増)

レヴィアの策略、すなわち「嫉妬の魔石」の影響が、ゲート深層の冒険者たちの精神を蝕み始めていた。

悠真は、表向きはE級冒険者として、そして裏では特対庁の極秘解析員として、このゲートに潜入した。

彼の任務は、戦闘ではなく、「レヴィアの魔力の作用範囲と、嫉妬の魔石の正確な製造場所」を観測することだった。

「俺は、他人のために戦わない。だが、悪魔卿の策略を看破し、その力を自分のものにするためには、現場の情報が不可欠だ」

ゲート内部は、通常のC級ゲートとは明らかに雰囲気が異なっていた。通路のあちこちに、放棄された装備や、魔物によるものではない刃物による破壊跡が残されている。


2. 観測される裏切り


悠真は、図書館の知識で回避した最短ルートを通り、深層へと進んだ。やがて、彼は一つのパーティーが休憩している現場に遭遇した。彼らはC級の上位に位置するランカーたちだが、その間に流れる空気は極度に張り詰めている。

【観測対象:C級パーティー『ブラッド・ソード』】

リーダー: 剛田(筋力A)。現在思考:『副リーダーが魔石を隠しているに違いない。裏切る前に始末すべきだ』

副リーダー: 志村(敏捷A)。現在思考:『剛田が最近おかしい。俺の功績に嫉妬している。アイツが俺を狙っている』

魔術師: 斉藤(魔力B)。現在思考:『どうせみんな裏切る。自分の命を守るため、一人で脱出ルートを確保しよう』

悠真の『天使の図書館』は、彼らが互いに対して抱いている根拠のない疑念と殺意を観測した。彼らは、レヴィアの魔力によって増幅された「嫉妬」に蝕まれ、自滅へと向かっているのだ。

(これが、レヴィアの力……精神を操作し、戦わずして人類の戦力を削ぐ。悪魔卿たちは、単なる武力ではない)

悠真は、彼らが口論から殺し合いに発展する直前、彼らの装備に付着している微細な魔力残留物を観測した。

構造解析アナライズ完了】:残留魔力は、剛田が拾った特定の魔石の粉塵から発生。その粉塵は、仲間の功績や魔石の数に対する執着を、通常の100倍に増幅させる効果がある。

「嫉妬の魔石……これを製造している拠点を突き止めれば、レヴィアの策略を根本から断てる」

悠真は、争いが激化する前にその場を離れた。彼らが自滅しても、悠真には何ら関係ない。重要なのは、「嫉妬の魔石」の製造拠点へ向かうための正確な座標だった。


3. レヴィアの座標を特定


悠真は、ゲート内の魔力ノードと、レヴィアの魔力残滓が最も濃い場所を、数学的な精度で追跡し始めた。

【効率化された動作(ルーティン・最適化)発動】

数時間後。悠真は、誰も近寄ろうとしない古びた地下鉄の車両基地に到達した。そこは、既知のゲート構造の範疇外で、外部からは観測不能な「隠し空間」となっていることが、図書館の解析によって判明した。

(座標:北緯35度39分、東経139度44分。ゲートの空間座標から、さらに次元の歪みを一つ跨いだ場所。ここが、レヴィアの製造拠点だ)

悠真は即座にその座標を暗号化し、氷室咲のタブレットへ送信した。

『嫉妬の魔石 製造拠点座標特定。座標は【非公開】。潜入ルートは単独での次元の歪み通過が最短』

送信直後、氷室から即座に返信が届いた。

『理解した。これはS級冒険者数百人の命より価値のある情報だ。あなたは一旦ゲートを離脱し、待機せよ』

だが、悠真は氷室の指示に従うつもりはなかった。彼は、この製造拠点こそが、自分が最初の悪魔卿を救済し、その力を奪い取るための、運命の場所だと知っていたからだ。

(次の段階に進む。悪魔卿レヴィア、お前の力をいただく)

悠真は、単なる解析員としてではなく、成り上がりを始めたばかりのF級冒険者として、氷室からの指示を無視し、製造拠点の入り口へと足を踏み入れた。

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